データマネジメント成熟度アセスメント、データ利活用機運アセスメントを行った話
この記事は datatech-jp Advent Calendar 2021 の 5日目の記事となります。
はじめに
全社のデータ利活用を推進して欲しいと要望を受けて、データの専門部署を立ち上げました。
データの部署ということで、まずは状況の可視化をするため、DMBOKを参考にデータマネジメント成熟度アセスメントと全社のデータ利活用機運アセスメントを行いました。
データマネジメント成熟度アセスメントの章はこちらで解説しております。
データマネジメント成熟度アセスメントではデータマネジメントというデータ利活用のための基盤を評価し、データ利活用機運アセスメントでは基盤を使って実際活用できているのかを評価しています。
本noteではデータマネジメントに関する記事を書いてますので、よかったらどうぞ~
著者のDMBOKを用いてCDO室を立ち上げデータマネジメントを推進した経験を基にデータマネジメントの進め方をまとめたkindle本を執筆しました。
データマネジメント成熟度アセスメント
データマネジメント成熟度は、DAMAホイール(※1)で有名な11個の軸と、アセスメントレベルによって計測します。
DMBOKに書かれている定義はこのような感じです。
アセスメントレベル
・レベル0.遂行能力が欠如している
・レベル1.初期段階か場当たり的:成功は個人の能力に依存している
・レベル2.反復可能:プロセスに最低限の統制が行われている
・レベル3.定義された:基準が設定され守られている
・レベル4.管理された:プロセスが数値化され統制されている
・レベル5.最適化された:プロセス改善のゴールが数値化されている
DAMAホイール
※1 DAMAホイール(DAMA公式サイトより)
データマネジメント成熟度アセスメントルールを決める
DAMAホイールの各知識領域に対して成果物を明確にして、その成果物がどのような状態かで計測を行いました。
各知識領域の成果物例
データガバナンス:実効性があるデータマネジメントができる態勢
データアーキテクチャ:データの青写真
データモデリングとデザイン:ER図
データストレージとオペレーション:DWH等データ基盤の運用体制
データセキュリティ:データの区分と活用ルール
データ統合と相互運用:ETLツール
ドキュメントとコンテンツ管理:データに関するナレッジ
参照データとマスターデータ:コード定義書
データウェアハウジングとビジネスインテリジェンス:DWHとBIツール
メタデータ:データカタログ
データ品質:ビジネス側のデータ要求
アセスメントレベル
・レベル0.存在しない
・レベル1.存在する
・レベル2.公開されている
・レベル3.メンテされている
・レベル4.苦労なくビジネス活用されている
・レベル5.常に改善されている
データマネジメント成熟度アセスメントの実行
上で書いた成果物をベースにレベルごとの状態を決めて、現在の状況はどんな状態なのかを計測しました。
このような会社のであれば、2~3の評価となります。
・各業務システムからデータ分析用のシステムにデータ連携されていて、社員が使えるような状態になっている。
・テーブル定義書、コード定義書が公開されていて、システム的なメタデータがわかる
・システム部門がデータ環境を管理しているが、会社としてのデータ戦略は存在しない
・データ環境を使って各々の部門が活用しているが、全社として組織的に使えているかと言えばそうではない
・各々の部門がいい感じに統制しているが、全社としてデータを資産として管理しているわけではない
データマネジメント成熟度の向上
3か月~半年程度の期間にて、目標を定めてデータマネジメント成熟度を向上させる取り組みを行う。
どの知識領域を上げると良いかというと、データマネジメントは直接的なビジネス効果が見えづらいため、ビジネス的な価値を明確にしてスポンサーを獲得することを行うとよい。(データガバナンス、データアーキテクチャ)
例えば、データアーキテクチャを上げることを目標とすると、次のレベルの状態は「戦略が策定され、承認をうけている」なので、戦略を策定しスポンサーにも伝わるように価値を明確にして、取締役会などで承認を得ること、また戦略を誰しもが簡単に見れるところに掲示することをゴールとする。
このように知識領域毎にゴールを定めて、活動しデータマネジメント成熟度の向上を図る
データ利活用機運アセスメント
データ利活用機運アセスメントは、全社のデータに関する認知度を調査するために、アンケートを作成して6か月ごとに定点観測しています。
1.2は認知の調査、3.4はビジネスに活用できているのかの調査、5は機運の調査を目的にしています。
アンケート
1.業務において必要なデータを取得できる場所を知っている
2.データ利活用に関する情報に興味関心がある
3.業務のKPIを理解し、日ごろからダッシュボード等で確認している
4.業務についてデータ利活用を実践している
5.会社にデータ利活用が根付くことが想像できる
回答例
1.できる
2.少しできる
3.あまりできない
4.できない
データ利活用機運の向上
データマネージメント成熟度はデータ基盤の評価をするが、データ利活用機運は人に対しての評価を行っている。
向上させるためには人へのアプローチが重要になってくるため、具体的な活動として全社Slackへの周知、朝礼など全社員へ報告する機会を増やす、E-ラーニングを実施するといったことをこまめに実施して向上を狙う。
データマネジメントを向上させる取り組みを行い、行ったことを適切に周知することで機運を上げるといった正のループを行うことが理想。
おわりに
自分の知識をまとめるためと今後誰かがデータマネジメントをやってみたいと思った時のきっかけとなるためにnoteを書くことにしました。
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ツイッターでもデータマネジメントに係る情報をつぶやいてますので、よろしくお願いします。
データマネジメントを学ぶ人が抑えておきたい本
今すぐわかるデータマネジメントの進め方
著者のDMBOKを用いてCDO室を立ち上げデータマネジメントを推進した経験を基にデータマネジメントの進め方をまとめたkindle本を執筆しました。
DXを成功に導くデータマネジメント
DXを成し遂げるために必要なデータをどうマネジメントしていけばよいかが書かれている。
データ環境より、セキュリティの観点であったり、プライバシーの観点であったりといった非技術者向けの内容が多く書かれている。
データマネージメントに興味を持った人はまずは読んでみるとデータマネジメントでなすべき概要が理解できる。
実践的データ基盤への処方箋
データ利活用を行うために必要なデータ基盤の考え方と、利活用するためにはデータをどのようにマネジメントしていけば良いかを具体的な例を用いて説明されている。
技術が中心になるので現在データ技術に係る人がデータマネージメントに興味を持った時には、まず手に取ることをおすすめする。
個人データ戦略活用 ステップでわかる改正個人情報保護法実務ガイドブック
個人情報保護法を順守するための基本的な考え方が実務ベースで書かれている。2022年4月に施工される改正個人情報保護法で新たに追加される概念も同様に記載されている。
政府の出しているガイドラインよりも俯瞰的に読めるためデータプライバシーにかかわる人、データを使ったビジネスを推進する人は読んでおくとスムーズに業務が進められる。
データマネジメント知識体系ガイド(DMBOK)
自分も要約・解説記事を書いているDMBOK。データマネジメントに興味を持った人がまず手に取ると挫折することは間違いないほどのボリュームがある。
読めば読むほど味が出てくるので、データマネジメントを進めようとしている人は各家庭に1冊は是非買っておきたい。
データマネジメントが30分でわかる本
著者もDMBOKを読むためには非常にボリュームが多く読み解くには苦労するので、かみ砕いた解説書をまとめたと書いてある通り、DMBOKを独自解釈してわかりやすく書かれている。
DMBOKを技術者目線で読み解いた内容になっているので、実践的データ基盤への処方箋と同様データ技術に係る人におすすめする。