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認知度0だった電子マネーが北海道で世帯カバー率70%まで広がった背景 -地域通貨と共感経済の可能性-

皆さんこんにちは!DataGatewayの大角です。

先日、ClubHouseにて『北海道で地域通貨を作ろうとしてる話〜世帯カバー率70%「EZOCA」とブロックチェーンで出来ること』のトークセッションが開催されました。

現在、我々DataGatewayは、北海道の最大手ドラッグチェーン サツドラホールディングス(HD)と連携し『北海道の共通ポイントカードEZOCAにブロックチェーン技術を使った決済システムを導入する』プロジェクトを推進しています。

今回は第2回目のClubHouseでのトークセッションとなりましたが、本日の記事では「認知度が低かったEZOCAが世帯カバー率70%まで広がった背景」について皆さんにシェアします。

今でこそ北海道の世帯カバー率が70%まで広がった北海道の共通ポイントカードEZOCAですが、EZOCAの立ち上げを行ってきた渡部さん(株式会社リージョナルマーケティング CEO )いわく、プロジェクト発足当初は、認知度がほとんどなかったとのことでした。そんな中、実はあることがきっかけで、EZOCAの利用数と認知度が一気に上昇していきました。

その背景には、地域通貨そのものの経済に与える可能性が秘められていました。今日は皆さんに「地域通貨と共感経済」の結びつきについても後半ではシェアしていきたいと思います。

EZOCA事業の始まりと転機

EZOCAは北海道内650店舗以上(2021年3月現在)で使える共通ポイントカードです。EZOポイントを貯めて、お買い物時に使用したり、お買い物券に交換したりできます。

EZOCAの事業そのものは7年前に立ち上がったのですが、新規事業のため認知度が低い時代が続いていました。そんな低迷期が続く中、約5年前にコンサドーレ札幌とつながる機会がやってきました。コンサドーレ札幌とは北海道のサッカーチームで、北海道民なら知らない人はいません。コンサドーレ札幌のスポンサーになれば、多くの北海道民に知ってもらえる良いチャンスです。

もちろん、1事業としてお金を支払い、コンサドーレ札幌のスポンサーとなることも悪いことではないのですが、EZOCAの立ち上げをやってきた渡部さんは「せっかくスポンサーになるなら、EZOCAの利用者にとってもコンサドーレ札幌にとってもいい仕組みはないか」と考えました。

「使うだけ好きなチームの応援へ」新しいスポンサーの仕組みへ

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そこで思いついた仕組みが「カードを使用した買い物額の0.5%がコンサドーレ札幌に還元されるコンサドーレEZOCA」でした。そこには渡部さんの「日常的な接点の中から応援を届ける仕組みを作りたい」という思いがありました。

渡部さん:これまでサッカーの試合というのは、週に1回しかないため、サッカーの試合やサッカー選手というのは、スポンサーにとって非日常の世界でした。日常的な生活の中に、サッカーとの接点がなかったからです。

それと比較して、野球は日常的にファンとのつながりを作り出していました。毎日夜7時になると、巨人とどこかのチームの試合がテレビ放送されていて、それを家族で応援する…生活に溶け込む形で「野球」は日常的なスポーツとなっていきました。

野球と比べ、我々の生活の中でサッカーのことを思い出す瞬間がない…サッカーの選手を応援したいと思っていても、そもそも応援する接点がなかったのです。

それならば「応援したい」という感情が動く瞬間を、もっと日常に生み出していこう…渡部さんはそんな思いで、コンサドーレEZOCAの仕組みを設計しました。結果、多くの方に好評で、初年度の還元額が1億円、昨年では6億の還元額となりました。

さらに調べてみると、EZOCAの半分以上のユーザーが、コンサドーレEZOCAによって初めてEZOCAを利用した方だったのです。コンサドーレとのコラボがEZOCAの利用者拡大に大きな影響を与えていました。

『安いから』から『応援したいから』へ

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EZOCAの普及の背景に見えたお客様の心理の変化に、地域通貨の大きな可能性を感じたと、渡部さんは教えてくれました。

渡部さん:EZOCAを使ってくださるお客様は、確かにEZOCAを利用することでのメリットやお得感が動機になっていた方も多いとは思いますが、それだけではなく「自分の消費活動が好きなチームの応援になるから」という理由で、積極的に使ってくださるお客様も多くいらっしゃいます。

実際のコンサドーレEZOCAの成功事例がきっかけで、現在北海道のスポーツチーム4団体とも同様の仕組みを作っているそうです。

このように、地域通貨には独自のルールを設定することが可能です。それにより、地域通貨を使う動機づけや経済的メリット以外のメリットを生み出すことも可能です。この仕組設計が、将来的な地域通貨による地方創生の大きな可能性を生み出せることが注目のポイントなのです。

「応援したい」が生み出す共感経済

実はこういった「誰かを応援したい」「誰かの役に立ちたい」という貨幣換算できない価値を資本として生み出される経済のことを「共感経済」「共感資本社会」と言います。

一番わかりやすい例でいえば、クラウドファンディングがあげられます。プロジェクトを主導する人の「思い」に「共感」し、クラウドファウンディングでは多くの資金が投資されます。インターネットの普及により、他者への影響がより可視化されたり、これまで遠かった人たちやチームへの距離が縮まり、新たな経済圏が生み出されてきています。

これまでお金は「お得だから、便利だから」という経済合理性が最優先され使われてきました。その中で誕生したデジタルコイン=地域通貨のモデルは、既存の貨幣の経済性も担保しながら、人々が持つ「共感や思い」を経済活動に合体した新しい経済圏を生み出すことを可能にしています。

今回のコンサドーレEZOCAの事例はまさに、地域通貨と共感経済が結びついた実例として大変わかりやすいものでした。今後はこういった、地域やコミュニティへの貢献、所属、応援などを更に経済活動と結びつけていく仕組みが広まるでしょう。


今回はEZOCAが北海道の世帯カバー率70%まで広がった背景について深掘りしながら、地域通貨と共感経済の可能性について共有しました。まだまだ難しい言葉や概念がたくさんあると思いますので、こちらの公式noteで発信していきます。もしご質問がある方は、気軽にコメントいただけると嬉しいです!

Clubhouseでも北海道のEZOCAプロジェクトに関する公開質問を受け付けています!次回は3月25日を予定しています!ぜひこちらもご参加ください!

【執筆者】

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大角佳代

北海道大学医学部卒業後、保健師として2年勤務しスタートアップへ転職。2016年からはインドの現地採用として就業をスタートし、当時からインドビジネスに関する情報発信を継続している。2018年には株式会社メルカリの海外新卒採用のオンボーディングを担当。技術広報や社内研修を担当する。2021年より株式会社DataGatewayのPRに就任。

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