初〜中級のデータアナリストにオススメしたい書籍リスト(2023/08版)

※書籍のリンクはアフィリエイト広告を利用しております
まともに書くnoteは初めてですが、後輩や客先の経験浅いメンバーにぜひとも伝えておきたく、気合い入れて書いてみました!あくまで個人の見解です。ご意見あれば優しくDM頂けると嬉しいです。


はじめに

データ分析者にとってのChatGPTの脅威

いきなりですが、、データ分析=データからインサイトを得てビジネスを推進する、という職業は、ChatGPT(特にCode Interpreter)の登場でかなり危うくなると思います。データさえAIに食わせてしまえば、基本的な分布や相関は勝手に調査してくれて、さらにこれらの結果から考えられる可能性まで示唆してくれます(参考)。対話型のインターフェースも万人に馴染みやすく、人に任せてタスク管理をするよりはAIに任せたほうが安心、なんてケースが今後多発すると考えています。

AIよりも選ばれるデータ分析者を目指すために

このような時代で、今後生身のデータ分析者はどのように振る舞えばよいか?これまでと同様といえば同様ですが、自分をupdateし続けることに尽きると思います。
スクール行って/無料講座などで学んでスキル習得完了、なんて話は幻です。スポーツ/アート含めて知的生産に関わる人すべて、常日頃から鍛錬を積み重ねてようやくアウトプットが出来るものだと思います。

自分をupdateし続けるためには、X+書籍+業務でのアウトプット

スキルを0→1で習得する段階では、スクールや研修などでキャッチアップするのが効率が良いと思います。その後のupdate方法ですが・・・
X(twitter)は最新の技術や論文が絶え間なく飛び交っていますので、トレンドに追いつくためにも情報を追っておいたほうがよいでしょう。
書籍は一定の網羅性・信頼性が担保されていて、自身の知識を補完し深めていくのに最適なツールです。
最後にアウトプットですが、頑張って普段の業務の中で、自分が学んだ内容をねじ込みましょう。目的や前提が共有された環境でまずはアウトプットしてみて、仲間やステークホルダーからの反応を元にまた改善を積み重ねて行くことで、学んできたスキルが磨かれると思います。
noteやtwitterなどインターネットに晒すのは、打たれる覚悟が(略

紹介する書籍の分類と一覧

データサイエンス協会 プレスリリース資料より

前提として、上記のデータサイエンティストのスキルセット3軸は意識しつつ、データサイエンス項目はアナリティクス分野に寄せています。
加えて、3軸に跨ることになるプロジェクト全体像を捉える本と、データリテラシーとして読んでおきたい本とで計5種に分けました。

栗田個人作成

1. 分析リテラシーに関する本:3冊

データ分析をすることの意義や意味を改めて教えてくれる本です。目線上げや身の引き締めに使うのもよし、自分の仕事がうまく行かない時に読み返して噛みしめるのも良きかと。会社→日本→世界の順番で紹介。

会社を変える分析の力(河本薫)

2013/7月と少々前の本ですが、ビッグデータ分析ブームの前からデータ分析に挑んでいた河本さんならではの本質的な指摘がコンパクトに詰まった本。KKDの壁→使わせるまでが重要→分析者としての心構えなど、今読んでも全く色褪せてないです。

シン・ニホン(安宅和人)

ヤフーCSO・慶応SFC教授・政府にも引っ張りだこの日本のブレーン(と個人的に思っている)安宅さんの著作。日本の現状を徹底的にえぐった上で、挽回の可能性のある打ち手や指針の提案に進んでいくわけですが、ふんだんに使われているデータとその解釈から広がっていくストーリーを感じて欲しいです。日本と世界を踏まえたスケールで、現状からの課題定義と打ち手をロジカルに提案する、分析ストーリーを味わう醍醐味がこの本にあります。あとデータ分析スキルは絶対に身に着けないと、という圧も感じますw

FACTFULLNESS(オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド)

世界を表すデータからデータを正しく読み取り、自分の中の思考バイアスを取り除く本。普段は仮説を持ってデータを見ろって言ってるけど、その逆のデータから得られた事実を改めてインプットする訓練の本だと思います(自分は著者の誘導にめっちゃ引っかかるタイプの人間でした)。

この他森岡さんのUSJ関連の本も挙げられるかなと思います。とにかく自分が読んでテンション上がる、ハートに火が灯る本を2〜3見つけておくと長いキャリアの中で吉かと思います。

2-1. ビジネススキル(初心者向け):4冊

個人的な感触で言えば、分析を苦手とする人は集計は出来るがデータ理解・説明がボロボロ。質問するとなんとなく感じてたことはあるのだが、それを言語化出来ず分析に反映できない、または考えるための切っ掛けを掴めない人が多い。まずは考えを言葉にする→伝える、がスムーズになる本を1冊ずつ、そして思考の質を上げるための本を2冊ピックアップ。

ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング(赤羽雄二)

元マッキンゼー赤羽さんの著書。本当にこんなトレーニングで??と半信半疑でやってみましたが、個人的には効果めちゃありました。今だと理由が分かるのですが、そもそも人が思考する際には言葉があって初めて物事を考えることが出来る仕組みになっていて、逆に悩んだとき考えが纏まらないときは言葉に表せていないレベルの状態が多いです。トレーニングを通じて言語化の心理的ハードルを徹底的に下げてほしいです。

1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術(伊藤羊一)

Zアカデミア学長・武蔵野大学の学部長も務めてらっしゃる伊藤さんの著書。分析出来る幅が広がってくると、今度は分析した結果が纏まらない、結果を正確に伝えようとして冗長になりすぎるなどで、相手にうまく伝わらない悩みが増えてきます。分析の依頼側にどのように結果を伝えるべきか、相手に必要なアクションを促すために何を話すべきかが理解出来る、仕事上のコミュニケーションの悩みを解決するための本。

小さく分けて考える 「悩む時間」と「無駄な頑張り」を80%減らす分解思考(菅原 健一)

ジュニアなメンバーにもいずれ、ちぎられたタスクを消化するだけでなくお題から分析設計・計画に落とし込むタイミングが来ると思います。そこで何を考えればよいかわからない、、とならないよう、分解思考を身に着けましょう。要はロジカルシンキングなのですが、そのフレームを1から学ぶというよりは、現実的なテーマに即した考え方のコツを伝授してもらう形式で、よみやすさが抜群です。

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」(安宅和人)

シン・ニホン著者安宅さんの最初?の書籍。「分析とは比較」この言葉を知れただけでも目からウロコでした。問い(イシュー)の大切さ、その立て方と解き方に迫った知的生産のためのバイブルです。

2-2. ビジネススキル(中級者向け):2冊

分析スキルのレベルが上がってくると、相対する関係者が部長/事業責任者/事業部長/所掌役員などレイヤがどんどん上がり、より一層のビジネス理解・構造把握や立ち振舞いの強化が必要になるので、敢えてコンサル系のスキル本から2冊ピックアップしました。

コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法 (名和 高司)

フレームワークのような基本技から、マッキンゼー流・ボスコン流の解説(この頭の切り替えは結構使う)、大前さん伝説にも触れつつコンサルを超える=価値創造に踏み込むための手法を一冊にまとめた有り難い本。教科書として是非。

戦略参謀の仕事――プロフェッショナル人材になる79のアドバイス (稲田 将人)

個人的には(シニアな)データ分析=サービスや事業、あるいは企業レベルでの参謀だと思っていて、その職務を全うするためのチェックリストとして重宝している一冊。ビジネスと分析がどう関係していくかを高いレイヤから説明してくれるため、上層部と話しだす前に是非読んでおいてほしい。

3-1. アナリティクス(初心者向け):3冊

分析タスクをどのように進めればよいかが分かる本をピックアップ。

14のフレームワークで考えるデータ分析の教科書(髙橋 威知郎)

データ分析タスクの全体像と、定量/定性分析の進め方を、実例交えて丁寧に解説。準備段階から見せ方・伝え方にも一定のページを割いていて、タスクの文字通り教科書感漂ってます。

アクセンチュアのプロが教えるAI時代の実践データ・アナリティクス(保科 学世)

データ分析領域でも強いアクセンチュアが、どのようにデータ分析案件を進めているかをなぞる一冊。ケースを元に説明が進むので、初学者でもキャッチアップ出来る内容になっている(が、内容自体は深い)。pythonコードも紹介されているのでお手元でも試せるのもgood。

分析者のためのデータ解釈学入門 データの本質をとらえる技術(江崎貴裕)

これを初心者向きで紹介するかちょっと迷いましたが、統計系の本の紹介が少ないので敢えてここに回しています。専門外だった人にはとっつきにくい統計知識を、普段の分析作業に絡めながら説明されているのでオススメしています。

3-2. アナリティクス(中級者向け):2冊

何を以て中級以上の分析者を定義するのか。個人的には、データサイエンティストもデータアナリストも分析結果やモデルをビジネス実装出来ることがシニアな経験者たらしめる要因かと考えています。
そういう意味で本セクションは、より高度な分析手法に触れている本ではなく、より重要度の高い分析にアプローチするための本を取り上げています。

データ分析・AIを実務に活かす データドリブン思考 (河本薫)

企業で発生する問題は意思決定プロセスの課題から生じてるとし、その意思決定をパターン別に分類し、それらに対するアプローチ及び実際にビジネス側に展開する際のハードルに触れている本。ワークシートも実践的な内容なので、分析の生産性・再現性を上げるためにオススメ。

LTV(ライフタイムバリュー)の罠 (垣内 勇威)

サービスのデータ分析を行う上で頻繁に向き合うことになるLTVについて、罠=アンチパターンの紹介とそれに陥らないための顧客視点のインストール方法を紹介しています。業界・業態や、顧客単価・購入頻度など様々な事例が紹介されているので、今の業務のヒントにもなるし、逆に真似してはいけない事例にも気付ける気づきの多い本です。

4-1. エンジニアリング(初心者向け):2冊

データ分析者が知っておくべきエンジニアリングということで、まずはSQLを深めに把握してほしいと思います。あとBIツールの1例としてLookerを記載しましたが、tableauでもLooker Studioでもなんでもよいので、一個のツールを深めに知っておきましょう。どのツールも基本機能は似ているので、他ツールに触った際の習得効率が上がります。

SQLデータ分析・活用入門 データサイエンスの扉を開くための技術 (西潤史郎著、山田祥寛監修)

SQLを勉強しようとしたときに、集計用のSQLについて深く説明している書籍が少ない中、こちらの本を見つけました。集計関数→JOIN→Window関数など、このあたりまで知っていればSQLを知っている企画以上にはSQLで太刀打ちできる人材になれるかと。
自分は別の本で勉強していたのですが、リアル本の入手が難しいので敢えて上記を紹介しています。

データ分析BIツール Looker導入ガイド (齋藤 圭祐 , 大沢 大樹 , 喜早 彬 , 皆葉 京子 )

会社によって利用しているBIツールは様々だと思いますが、その中でも柔軟性が高い=一番複雑なのがLookerだと思います。Tableau、Looker Portalなどはまだググりながらでも行けますが、Lookerは一度書籍で全貌を把握することをおすすめしています。

4-2. エンジニアリング(中級者向け):2冊

より凝ったSQLを書くための本と、より効率的に分析が出来る・データが届けられる基盤をエンジニアと作っていくための、データ基盤に関する本を紹介。

ビッグデータ分析・活用のためのSQLレシピ 単行本(加嵜 長門 著, 田宮 直人 著, 丸山 弘詩 編集)

うわーこれどうやってSQL書けばいいんだろう?に答えてくれる本。アウトプットイメージとクエリがセットで紹介されているので、分析の引き出しにもなります。全部を覚える必要はないと思いますが、本棚に置いておいて困った時にさっと取り出したい本。

実践的データ基盤への処方箋〜 ビジネス価値創出のためのデータ・システム・ヒトのノウハウ(ゆずたそ , 渡部 徹太郎他)

分析を行う上でどのようなデータを扱っているのかを自身で把握するために、データ基盤の仕組みは網羅的に押さえたほうがよいかと考えこの一冊ををオススメします。データ分析を行う上で、基盤が分析アウトプットの命運を握っていると言っても過言ではないので、自身の環境を快適にするためにも基盤技術の全体像は押さえておきましょう。

5. プロジェクト全般:4冊

プロジェクトリーダー/マネージャー/シニア・リードXXの方にはぜひとも読んで頂きたい、分析プロジェクト全体やデータ戦略を考える際の書籍。前半2冊は受託視点強め、3冊目は事業会社視点、4冊目は分析でのしくじり先生。ここに紹介する書籍の他に、内池さんの機械学習を社会実装するも非常に価値が高い資料だと思っています。

AI・データ分析プロジェクトのすべて[ビジネス力×技術力=価値創出](大城 信晃(監修・著者) 他)

プロジェクトの準備段階から順を追ったフェーズ毎の解説が、内容がシンプルかつ網羅性が高く、学生〜シニアまで読んでいて損はない本です。まずはこの本を読んでプロジェクトの全体像を把握することをおすすめします。

データ分析のリアル まるごとQ&A (永田ゆかり)

Q&Aと謳っていますが、読み進めていくと自然とプロジェクトの全体像が理解出来る、著者の経験を詰め込めるだけ詰め込んだ(と思われる)良書。一つ前に挙げた書籍とセットで読み進めて、分析プロジェクトの解像度を上げて欲しいです。

世界標準のデータ戦略完全ガイド データセンスを磨く事例から、データの種類と仕組み、戦略策定のステップまで (バーナード・マー (著), 山本 真麻 (翻訳))

サイバーエージェント鈴木さんの発表をきっかけにこの本を知りました。自社のデータ戦略を設計する際の参考となる書籍。データの活用目的の整理と、その活用を進めるためのデータ戦略策定をインフラ・ガバナンス・組織などの観点から進めていく。ワークシートも付いていて、そのまま実践に移しやすいのでオススメ。

データ分析失敗事例集: 失敗から学び、成功を手にする (尾花山 和哉 (著),他)

データ分析の成功事例は宣伝広告とともに出回ることが多いですが、こちらは失敗の事例を(具体的な名前は伏せつつ)赤裸々に語って頂いている本。比較的あるあるなプロジェクト頓挫の事例から、データ分析者がハマってしまった罠とそれを挽回した事例など、データ分析業界のしくじり先生として価値ある本だと感じています。

終わりに:自分がなぜこんな記事を書いているのか

アフィリエイト稼ぎたいから、というだけでは正直ここまで書きません。
自分自身が30過ぎてNWエンジニアからデータ分析職にジョブチェンジしたときに、実はSQLも知らないビジネスも全然わかってない、文字通り0からのスタートでめちゃくちゃ苦労をしていまして。ビジネススクールにも通い本も乱読し、日頃先輩後輩に色々教えて頂きながら苦節N年、ようやく自信持ってプロジェクトを率いて人をマネジメント出来るようになりましたが、他の皆に同じ苦労は味わってほしくないという思いがあります。
データ関連職は非常に広範なスキルを要求される難しい職業であり、研鑽に終わりは無いですが果てしなく学んでいける領域でもあります。この記事がその学習の階段作りのヒントになれば幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?