見出し画像

【獺祭社員日誌】vol.4「室(むろ)での麴造り」

台湾出身のゾーイが酒造り研修についてつづる日誌。vol.3はこちら


倉庫見学を終えて事務所に戻ると、昼休み前に先輩から「午後からの製麹は、米を洗う時の負担と違って体力が必要だから、ちゃんと食べてね。」と念を押されました。昨日の洗米の経験から、頑張ってお弁当を食べました。味は良かったが、わざわざ味わうこともなく、午後を乗り切るためにできるだけのエネルギーと栄養を摂取することに集中しました。

麹造り(製麹)

昨日とは全く違う服に着替えて、今日は吸湿性に優れた(ユニクロ×獺祭、お持ちでしょうか)半袖を着ました。 

今日は、気温と湿度が高いことが最大の難点だと承知しました。麹室は約38℃の高温で、湿度も非常に高く、この温度と湿度の構成はすべて、麹菌の繫殖をスムーズにするためです。

 4時間連続のプロジェクトだったので、トップスを3枚も用意したのですが、さすがに汗をかくと着替えが必要になります。

麹室(ドアには酸欠注意が貼られている)に入ると、米と木の香りが漂う、温かみのある空間が広がっています。 約20台のワークテーブル(床・・・とこ)が稼働しています。 ほんの数秒、感じて観察しただけで、すでに汗の粒が滲み出てきました。

画像1

最初は、布タオルに入れたお米をカウンターの上に平らに広げ、蒸したお米が熱と水分を分散させます。

米の塊を優しく押し広げ、重さがちょうどよくなるまで繰り返しました。最初はどうやって力を抜かずにお米を押し出すのかわからなかったのですが、パートナーが優しく優雅に、でも素早くお米をほぐす動きをしているのを見ました。

麹室では話をせず、目と手で学びます。体力勝負の洗米とは違い、麹づくりは集中力と細部へのこだわり、そして大量の汗が必要です

各テーブルの米の重さが適切であることを確認するために何度か重さを繰り返し計った後、最も神聖なステップを開始する時が来ました。キャラメルプリンの瓶のような形をしたガラス瓶に、深緑色の麹菌の胞子が入っていて、それを撒く作業を一度に行うためので、まず割り当てられたテーブルに置かれました。

瓶中の麹菌の胞子を空中に撒く工程(種切り)ですが、どこにどれだけ撒けばいいのかが重要なので、全員が同じペースで動き、同時に始めて、同時に終わります。

毎日リーダーがいて、全員がリーダーのリズムに合わせて合図を出してスタートの準備をし、その後はほぼ全員が同じフットワークと動きをするので、息が合った作業の見せどころとなります。この重要な仕事に参加する機会を頂いたのは幸運でした(麹菌が期待通りに米に入ってくれなければ、今までの作業は無駄になってしまいます)。

沈黙の中、全員が最初の合図を待つ、、、来ました!リーダーから目を離さず、半拍でもずれたら悪影響が出るのではないかと心配していましたが、私の作業を先輩たちがサポートしてくれました。

画像2

 プロセスは宗教的な儀式のようで、空気は蒸し暑いが穏やかで、私の耳には、ガラス瓶をきちんと一斉に振る音だけが響いていました。というのも、麹菌の胞子は空気中に撒かれたばかりで、静かに落下するまで時間がかかるため、しばらくは誰も動き回って邪魔をしてはいけないからです。

麹作りは思いのほか楽しかったです。 すべてのステップで、手先の集中力と頭脳の明晰さが求められ、一見、繰り返しの動作に見えるものが、実は自分の修行のように一歩一歩調整されているのです。

みんなが気にしている高温多湿の環境については、高雄人の私にとっては耐えられるものなので(先輩たちは1時間ごとに着替えていますが、私はほとんど着替える必要もありません)、サウナや台風が来る前に夏の高雄のようなものだと思えばいいのです。麹作りが楽しすぎると思ったので、明日の朝にまた来ます。

その後、18時頃に事務所に戻り、営業部の先輩方と食事をしました。先輩の言う通り、食べないと麹はできないし、あの日の夕食は本当に美味しかったと思いました。

画像4


この記事が参加している募集

社員紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?