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「異日常」23/37

逆噴射水産学園 「海女さん集団にジャイロ回転で投げ付けられた」
全員「採れたてのウニ!」

壮絶閻魔専門学校「喉元過ぎても灼熱で内臓が焼けた」
全員「煮え湯!」

社会不思議発見高校「こんな職業もあるんだね、と皆で驚いた」
全員「戦場グラビアカメラマン!」

第2東北サバイバル高校 「銃社会の在り方について考えさせられた」
全員「ナマハゲの銃殺!」

基督☆Rock学園「ローマ法皇の」
全員「フジロック参戦!」

尿便和歌山高校「外出時のトイレの悩みが一気に解消された」
全員「スペア膀胱!」

ハタ迷惑モード学園「駅でキセルしてない人を捕まえて叫び散らした」
全員「この人キセルしてないです~!」

邪馬台高校「昼休みに放課後、空前の大ブームを巻き起こした」
全員「卑弥コックリさん!」

外から聞こえる生徒達の溌剌とした声に、思わず感慨深くなる。四方をぐるり学校に囲まれた我が家ならではのシチュエーションだ。(角花植男SHOWでアライグマ達と和解した俺は、量子テレポーテーションで自宅へ戻り居間で寛いでいる)
早いもので今年も卒業シーズン。毎年同日に、しかも割に遅い時間に一斉に執り行われる卒業式は、すっかり俺にとって愛すべき風物詩。近所でいつも見ていた子ども達が、また未来へと羽ばたいていく。勝手に親心な俺は、じんわり瞳を潤ませてしまう。さよならは得意ではないのだ。
そんな心境の中、この先聞けなくなるであろう生徒達の声にゆっくり耳を傾けていると、何たる偶然か全八校全生徒の声が綺麗に揃う。

全員「僕たち、私たちは、今日でこの学校を、、、」
  「卒業しません!」

飲んでいた茶を盛大に噴き出してしまった。襖にかかった茶飛沫が「いやせんのかい」の文字を奇跡的に形成していた。


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