夜の衛星写真からひも解く地理① 光と人口

皆さんは夜の衛星写真をみたことがあるでしょうか。人類は火を用いてエネルギーを活用することから始まり、今や世界中で光を用いて、暗闇を照らしています。夜の衛星写真は私たち人間の生活やつながりなどを俯瞰してみることができます。

google Earthで試しに、私の出身地である山口県周辺を覗いてみましょう。


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山口県の場合、南側(瀬戸内海側の地域)に光が集中し、北側(日本海側地域)には光が少ないことから、人口および商業施設等が南側に集中していることがわかります。

また、明るい地域と市町村の人口を比較してみましょう。



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上のように、光が特に目立つ地域に印をつけてみました。南側(瀬戸内側)の丸印にあたる市町村を左から数えると、下関市(人口25万人)、山陽小野田市(6万人)および宇部市(16万人)、山口市(19万人)、防府市(11万人)、周南市(13万人)下松市(5,5万人)および光市(5万人)、岩国市(13万人)。このように人口10万人前後の市町村が、南側に集中していることがわかります。

一方日本海側はというと左から、長門市(3,2万人)、萩市(4,4万人)と小規模の市町村があるものの、中規模の市町村そのものがないことがわかります。

これらの地域は標高0m ~50mでなだらかな平野です。人間は険しい山脈より平坦な平野かつ、海に面しているほうが農業や漁業、ヒトやモノの移動においておおむね適しています。

また工業においても平野かつ海に近い土地は好まれます。徳山、岩国の石油コンビナートや防府のマツダ工場、宇部興産などは海に面しています。そして、それらが南側、特に瀬戸内海沿岸に絶好な立地がそろっていたのです。

実際に、標高地形図と比較すると、標高0m~50m地帯と先ほどの衛星写真で光が目立つ箇所はおおむね一致しており、標高が0mに近い土地が広がっている箇所に、人がいかに集中していることがわかります。

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一方で、ただひとつ海に面していないにもかかわらず、光が顕著な市があります。山口県の県庁所在地、山口市です。

山口市はあたり一帯が山に囲われている盆地にも関わらず、人口19万人と比較的中核都市であることがわかります。

山口市自体、ショッピングモールなどの大規模な商業施設は非常にすくないものの、大学や高校が山口県内の中では有数にあり、また山口県庁および山口市役所も海側ではなく山側に位置していることから、山口市中部にも人口が集中していました。また、北部から南部にかけて市を二分する川があり、降水量も多いので、稲作には適した場所でした。現在でも山口市の人口減少率はほかの市町村とくらべゆるやかであることから、今後もこの場所に人は住み続けるのだろう。

長くなりそうなのでその②に続きます。

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