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加藤一二三ってこんなに凄い(2)

前回、加藤一二三九段についてお話をしましたが、その続きです。
(前回の話はこちら)

・史上最年少名人挑戦
・現役生活62年

今回は以上のお話をします。

■史上最年少名人挑戦

将棋界で歴代最年少名人は、谷川浩司さんです。
21歳で名人になっており、この記録は今後抜かれることはないとまで言われています。
現在は藤井聡太さんの出現によって、記録更新が期待されています。

名人挑戦のためには順位戦というリーグ戦を勝ち抜かなければなりません。
この順位戦は、5つのリーグに分かれていて、1年間を通して戦います。
上から順番に、「A級」「B級1組」「B級2組」「C級1組」「C級2組」です。
プロになるとまず「C級2組」からスタートし(例外としてフリークラススタートがあります。これは簡単に言うと、C級2組の下と思ってもらって結構かと思いますが、基本的に考慮する必要はありません)、1年間戦って上位数人が1つ上のリーグに昇段します。
そしてA級順位戦で1位になると、名人に挑戦できるのです。

つまり、プロ入りして毎年昇段したとしても、名人に挑戦するには最短で5年かかるわけです。
谷川さんは14歳でプロになり(加藤さんに次ぐ若さ)、1年目こそ昇段を逃したもののそれ以降毎年昇段しA級1年目で名人挑戦権を獲得、
そして当時の加藤一二三名人を破ったのです。
その年齢は、挑戦したときが20歳で、タイトル奪取したのが21歳です。

21歳と言えば、プロ棋士が奨励会を抜けてプロ棋士になる平均年齢ぐらいではないでしょうか
(私の感覚です)

さて、加藤一二三さんの場合ですが、14歳でプロ入りし、4年連続順位戦を昇段し、18歳でA級入り
ちなみにデビュー後4年連続昇段と言うのは歴代で加藤一二三さんと、中原誠さん(中原時代を築いたレジェンド)だけです。

A級1年目こそリーグ戦を負け越しましたが、翌年名人に挑戦。そのときの年齢は20歳。
誕生日の関係で未だに破られていない記録となっています。

最年少名人挑戦、最年少名人として藤井聡太さんが期待されています。
現在は驚異的に順位戦無敗ですので、ついつい期待してしまいますが、
現在の将棋界は世代交代が行われて勢いのある若手が多い時代です。
そこを切り抜けて史上最年少記録を更新するのは、藤井聡太といえど
非常に困難です。
もちろん、それでも、という期待はありますが。
ちなみに藤井聡太さんがこの記録を抜くには、毎年昇段し、A級1年目で挑戦しなくてはいけません。

ちなみに羽生さんの場合ですが、15歳でプロ入りし、C2、C1、B2をそれぞれ2年費やし、
8年目のA級1年目で名人に挑戦し、当時の米長名人を破って名人獲得しています。

加藤一二三先生の史上最年少名人挑戦がどれくらいすごいか、なんとなくイメージつくでしょうか。

■現役生活62年

14歳でプロ入りし、77歳で引退。現役生活62年は歴代最長です。
その期間は62年と10カ月。
2位がどれくらいの期間かは分かりませんが、62年現役だったことによって
様々な記録が付随します。

・最高齢現役(77歳5カ月)
・最高齢勝利(77歳0カ月)
・最多年齢差対局・対藤井聡太(62歳6カ月差)
・19世紀生まれ、20世紀生まれ、21世紀生まれの棋士と公式戦で対局(この記録を達成しているのは加藤一二三さんのみ)

さらに一流棋士であったため以下のような記録もあります。

・62歳A級(大山康晴に次ぐ2位)
・名人、A級通算在位36期(大山康晴に次ぐ2位)

ちなみに現在羽生さんが47歳。
衰えはじめて若手の勢いに飲み込まれそうな現在ですが、
さすがにあと15年A級でいるとは少し考えにくいです。
個人的にはあと10年ぐらいはいれるんじゃないかと思ってます。
根拠はありませんが。

それぐらい順位戦のA級とは過酷なリーグ戦なのです。

・タイトル獲得
こんな大活躍した加藤一二三さんですが、意外とタイトル獲得数は
そう多くありません。
タイトル獲得数は8期で歴代では9位です。
史上最年少名人挑戦を果たしましたが、結局名人の獲得数もわずか1期のみ。
永世の資格を得ているのもありません。
しかし、タイトル獲得数こそ少ないものの、一般棋戦での優勝は多く、
その数は歴代4位の23回です(羽生さんが現在44回)。
しかも活躍した期間がながいため、1950年代、1960年代、1970年代、1980年代、1990年代での棋戦優勝を果たしています。
ちなみに一般棋戦とは、タイトル戦ではない公式戦とでも思えばいいかと思います。

他にもエピソードや棋風についてなど、語るとキリがありませんが、
将棋を知らない人でも簡単に楽しめる加藤一二三の数字、というテーマだと
このぐらいでしょうか。
もう少し将棋界の話を深く入れればまだまだあります。

ちなみに引退されてから、将棋連盟から名前が与えられるんじゃないかと私は勝手に思っていましたが、そのような話は今の所まったくないですね。
名誉十段とかになんのかなって思ってたけど、まあいいや。

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