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将棋のはてな? -永世○○とはー

昨年羽生さんが永世七冠となり非常に話題になりました。
「ところで永世○○って何? 美味しいの?」と思った方もいるかもしれません。
今回はそのことについて、少しだけ深くお話しようと思います。

■永世の資格とは

「資格ってどういうこと?」と思った方もいると思います。
実は永世って、資格を得たからといってすぐに名乗れるわけではないのです。

永世竜王とか永世名人とか、いろんな永世○○がありますが、この称号を名乗れるのは「引退してから」という決まりがあります。
ただし、将棋連盟が特別に認めれば、現役のときに名乗ることができます。

羽生さんは永世七冠になりましたが、まだ現役ですし、連盟は特例を出していませんので、正式に永世の称号を名乗ることはできません。
もちろん永世竜王も名乗れないわけです。

というかタイトルを持っている場合は基本的にそのタイトルを敬称でつけます。
で、この敬称は少しややこしいです。
「羽生○○」の○○に入る部分は少し複雑な決まりがありますので、そこはまたの機会にお話します。

ということで永世七冠達成、というのは七冠の永世の資格を得ました、ということです。
「今は資格を得ただけの状態で、引退したら永世を名乗りますよ!」ということですね。

■そもそも永世○○とは?

簡単に言うと、「たくさんタイトルを取ったらそれって凄いことなんだから、特別な称号を与えましょう」というのが永世の称号です。

現在タイトルが8個ありますので、7個の永世って何なん? というのを具体的に見ていきましょう。
まず現在のタイトルは以下の8個です。

・竜王(りゅうおう)
・名人(めいじん)
・叡王(えいおう)
・王位(おうい)
・王座(おうざ)
・棋王(きおう)
・王将(おうしょう)
・棋聖(きせい)

このうち昨年新しく創設された叡王以外は、特別な称号について規定されてあります。

それが「永世」です。

つまり、竜王をたくさん取ったら永世竜王、名人をたくさん取ったら永世名人、といった感じです。

ただ、王座というタイトルはこの特別な称号が永世ではなく「名誉」です。
王座の場合はたくさん取ったら「名誉王座」です。永世王座ではありません。


■永世と名誉の違い

「え、何で王座ってタイトルだけ永世じゃなくて名誉なの? 永世となんか違うの?」と思いますが、基本的に永世も名誉も同じです。

違いは名乗るタイミングぐらいでしょうか。

永世は先に言った通り引退してからが原則ですが、名誉の場合は満60歳を達したら名乗ることができます。

なぜ王座だけが他のタイトルと違うのかというと、実は囲碁界に王座というタイトルがすでにあり、囲碁界の王座はタイトルをたくさん取ると「名誉王座」になるシステムでした。
名前が同じだから(主催も同じ)、将棋の方も同じシステムにしよう。ということで、王座は永世ではなく名誉の敬称を用いることになったのです。

だから厳密には永世七冠ではなく「永世六冠+名誉王座」のような気がしないでもないですが、将棋連盟のホームページにも「永世七冠」と書いてあります。

つまり、同じ意味です。
なので永世も名誉もまとめて「永世」で説明します。

■結局永世ってどれだけ凄いの?

「たくさん取ったら」という条件は各タイトルごとに違います。
「たくさん」の条件は主に2つあります。

・通算獲得数
・連続獲得数

ちなみにタイトルの獲得数とは、タイトルを保持した回数です。奪取しても+1回、防衛しても+1回です。

永世資格の条件は以下のようになっています。

------------------------------------------------------
・竜王…永世竜王:連続5期または通算7期
・名人…永世名人:通算5期
・叡王…規定なし
・王位…永世王位:連続5期または通算10期
・王座…名誉王座:連続5期または通算10期
・棋王…永世棋王:連続5期
・王将…永世王将:通算10期
・棋聖…永世棋聖:通算5期
----------------------------------------------------

条件が2つあるのは、どちらかを満たせばOKということです。
例えば竜王だと、5回連続で竜王を取れば永世竜王の資格を得れるし、連続でなくても合計7回取れば資格を得れます。

タイトルは1つ取るのも大変だと言われています。それを連続5回だとか、通算10回だとか、化け物みたいなもんです。
羽生さんはそれを7個全部ですから、実現してるのに想像を絶します。

叡王はおそらくそのうち永世の規定が定まると思います。そうなったら最大で永世八冠になります。
しかし現在の規定だと、最大で七冠です。
つまり羽生越えは規定が変わらない限り金輪際あり得ないのです。

さて、約30年かけて永世七冠を達成した羽生さん。
最後に、羽生さんがいつどの条件を満たして永世資格を獲得したのか、表にしてみましたので改めて羽生さんの凄さを実感してください。


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