短編小説【タイトル:君を綴った僕のストーリー】



私は君の机に置いてあった本を広げてみた。
そこには君の気持ちが綴ってあった。

君はいつも文章を書くのが好きだった。
私にはあまり見せてくれなかったけど・・・
「だって恥ずかしいじゃん・・・」
と君は言っていた。
私はものすごく気になっていたけど気持ちを抑えていた。

「ねぇ、やっぱり見せてよ」
と私が言うと君は渋々見せてくれた。
君が描く物語は情景描写、心情描写が伝わってきた。
「この物語好き・・・」
と呟くと君は顔を赤くしていた。

「ありがとう・・・」
君はそう私に囁いた。

とある日
「小説家とかにならないの?」
と聞くと
「いや・・・無理だよ・・・僕の文章能力じゃ・・・到底叶わない・・・」
「そうかな?・・・」
私はなんだかモヤモヤした。
君の物語好きなんだけどな・・・。

私は本を読みながら君と過ごした日々を思い出していた。
なんだろう・・・・。
読んでいると君といた懐かしい感覚を思い出す。
やっぱり・・・まだ君のこと好きなんだろうな・・・。
私は何故か悲しくなり本を読むのをやめた。

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「最後に君を描く物語を描こう」
そう僕は思っていた。
君に読んでもらえるかわからないけど・・・・。
生きている証を少しでも残しておきたいと思い立った。
君の心に生き続けてほしい一心で描き続けた。
手がおぼつかない時もあったけど
なんとか描ききった。
君はどんな反応するだろう。
恥ずかしくなって本を閉じてしまうかな?
それとも悲しくなって本を読まなくなるかも・・・。
それはそれでいい。
僕のことを好きでいてくれるということだから・・・。
まだ心に生き続けていると言うことだから・・・。
「僕はそれで幸せだよ・・・」
僕は描き終わった文章を読みながらそう思った。



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