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NHKニュースクリップ(2024年1月14日号)

今週は能登半島地震の被害状況の深刻さが明らかになってきました。海岸線が4mも隆起して港が使えなくなっている状況などには私も驚きました。全く想定していなかった災害が今後も多発するのでしょうね。

とりわけ私が不安なのは首都直下や南海トラフが起きた時のNHKの対応です。そのあたりの懸念と期待する改善策については、現代ビジネスさんにコラムを寄稿したので、特に後編の方をお読みください。

【前編】

【後編】

と、NHKにとって危機的な状況が続く中、今週も信じられないようなことが多発していました。この投稿の仕上げをしている15日朝にも地震に関連して特大ニュースが入ってきました。諸々、改めて整理してみましょう。

前会長の前田も乱入 NHK経営計画を巡るゴタゴタ

去年の秋に2024年度からのNHK経営計画案が発表されました。形式的にパブリックコメント募集が行われましたので、私も懸念を送りました。

このパブコメ、確かにかなりツッコミどころが多い内容でしたが、まさか前会長の前田氏まで「意見」を送っていて、それが新聞社から報じられるとは驚きました。思わず、朝日新聞のサブスクに課金してしまいました。

この前田氏は私が見てきた中では最も問題のある会長でした。公共放送というものが全く理解できていないのですよね。だから放送法を蔑ろにするような不正も起こしましたし、公共放送の理念を軽視するどころか放送実務能力が無い人物を多数“抜擢”してしまいました。

“抜擢人財”(どうやらNHKの公文書からは人財という単語は消えて人材になったらしいですが)の代表例である前社会部長が関わった不正経理や捏造報道の問題を見れば、その問題は明らかです。

私など在職中も退職後も、いかに前田改革がNHKを破壊するか訴えてきましたが、イマイチ響いていない感じがあったんですよね、正直。

それが今回の報道で、前田氏の問題も顕になったことは歓迎したいです。大体、デジタル化だの威勢良く言いながらボールペンで書き殴った不満を送ってくるなど、正常な業務能力は無いと考えた方が良いでしょう。せめて、応募フォームから送るべきです。書き起こして掲示するコストだって受信料なのだから。

※パブコメへのリンク(あまりにわかりにくい場所にあるのでURLを共有)

現在の執行部のガバナンスにも強い懸念

今まで私は前田体制に対して特に批判をしてきましたが、現執行部(稲葉会長)にはある程度期待を持っていました。しかし、今回の経営計画をめぐって、不信感が高まってきました。

まず、前会長とはいえ一般人のパブリックコメントが誰のものか特定できる形で報じられたことが理解できません。もちろん、前田側からのリークで現物が朝日新聞に渡ったとしたら特に問題無いわけですが、NHK側からのリークの可能性も依然として残っています。

特に私が問題視しているのは、報道の中でNHK幹部が私見をベラベラと新聞社に対して喋っているところです。そんなことができる人物はメディア戦略本部や経営企画の一部か、執行部中枢以外にありえません。

パブリックコメントの管理体制について私はNHKに問い合わせを行ったのですが、「答えることは無い」という返答がきただけ。非常に不信感が高まりました。

全職員に「見ろ」とお達し 新経営計画についての「どーもNHK」にも違和感

1月14日放送の経営広報番組「どーもNHK」で新経営計画について取り扱いがありました。全職員に「見ろ」とお達しが出ていたので、せっかくですからどんなものか私も見てみましたが、違和感が強いものでした。

例えば、「『健全な民主主義の発達に資すること』を究極の使命に掲げています」と冒頭から宣言しているのですが、こんなことは言うまでも無く当たり前のことです。そのためにNHK・民放の二元体制が(実質的に)GHQによって作られたのは放送史をかじればすぐわかります。

また、「フェイクニュースを駆逐する」など、妙に強い表現が使われていましたが、NHK自身が捏造報道や誤報を繰り返す中では空虚です。

加えて、「コンテンツの量を削減すること」と、「質と量を確保すること」と相矛盾することが伝えられていました。今まで無駄なコンテンツを大量に作っていたから、合理的な量に調整するということでしょうか?具体策が無かったので、理解が困難でした。

他にも色々述べられていましたが、放送の自主自律を守りつつ、まずは自局の不正・捏造・誤りを駆逐することが最も重要でしょう。その割に、ガバナンスについての説明は歯切れが悪く、率直に言えば「多分上手くいかないだろうな」と感じた次第です。

能登半島地震に関連してNHKが総務省に前代未聞の要請

公共放送として健全な民主主義に云々、とお題目を掲げる中、15日の朝に驚愕のニュースが入ってきました。

詳しくは記事を見ていただくとして、放送の自主自律を脅かすような要請をNHKが総務省に行っていたのです。こんなことは東日本大震災や熊本地震でも無かったことですし、何より自前で放送を継続できるように日々訓練なども行っている訳ですから、公共放送NHKの存在意義の否定です。

20年ほど前のNHKでは、考えられなかったことです。

ETV2001問題などもあり、政治との距離感に対してナーバスだったというのもありますが…

確かに土砂崩れ等のリスクもありますし、道路も寸断されている中ですが、そもそも山中にある放送設備の災害に備えた維持管理にも大きな時間とコストを割いてNHKでは日常から取り組んでいます。今回、自前で本当に賄えなかったのでしょうか?

また、国の支援を要請して一部得たのなら、その事をNHK自身が報じる責務もあるはずです。一連の対応については、厳しい検証が必要です。新聞各社の方々にも深掘り取材をして頂きたいですね。

地震関連での誤り相次ぐ

今回の地震関連報道、とにかく細かな言い間違いやミスが多発しています。

首長にこうして名指しで指摘されるケースなど、過去の災害ではそうそうありませんでした。放送体制が脆弱になっていることの現れです。これでは民主主義に資することなど出来ないでしょう。

SNS投稿に乗じた放送でも説明不足

また、実際のリアルな地震の投稿を元にした偽動画について扱った放送では、元の動画を投稿された方に対しての説明が不十分だったようです。著作権処理は放送の基本です。放送のプロセスは地震だから雑で良いということはありません。この辺も緩んでいます。

※1/15 19:50追記
NHKに問い合わせたところ「報道のための引用の範囲内であって問題無い」という趣旨の返答がありました。確かに合法かもしれませんが、元動画をアップした方に許可取りと同時にコメントも頂けば、より確かで多元的な情報発信になったはずです。

NHKの誤報道が国際問題化か?ミャンマー報道を巡る隠された動き

こちらは、私個人としては重大な懸念を抱いてNHKに問い合わせたのですが、まだ回答がありません。その為、メンバーシップ領域でお伝えします。

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