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??なヨガ業界の普通

看護師、ヨガインストラクターの経験を経てセラピストとなった私の
日本のヨガ業界で良しとされてしまっているびっくりした話。

日本のヨガ業界ではある有名な先生。
かれこれ7〜8年前になるだろうか。ヨガインストラクターになりたての私はその先生が考案したヨガのティーチャーズトレーニング(そのトレーニングプログラムを終了するとそのヨガの先生として堂々と名乗っても良い資格を与えられる)に参加した。
日程はまる3日間。そのトレーニングを受けに全国からヨガインストラクターが集まって来ていた。
「何だか皆、すごそうな人達ばかり…」インストラクターなりたてだった私はどんな人を見ても自分より経験年数が多いだけで、もの凄い強者インストラクターに見えていた。


もうすぐ始まる緊張感と知り合いが誰もおらず慣れない環境下でひとりソワソワ。そんな中、人数分のトレーニング資料を抱えながら先生がスタジオに入って来た。

隣の人から隣の人へどんどん回しながら渡されていく資料。
私の手元へも。
「どんな内容なんだろう。」期待と不安と緊張感でいっぱいになりながら7〜8枚の資料ページをめくる。

解剖学の図や説明がページの半分くらいを占めていた。
めくっていく度に感じる違和感…


「これは果たして本当に人に教えるために用意された資料なのか…?」
頭の中が「?」で一杯になった。

解剖学の資料と称されている中身はほぼ『〇〇整体院ホームページより』と引用先が載せられていた簡素な解剖図やメカニズムの説明文・図ばかりだったからだ。


自分の頭の中でもう一度確認した。

私、何十万円も払って習いに来てるんだよね…?
ヨガ初心者に教えるプログラムではなくてインストラクターに教えるためのものなんだよね…?
このトレーニングの内容説明に解剖学の基礎からしっかり教えますって書いてあったよね??
教えてくれる先生は有名なヨガのプロだよね…?

何この、やる気のない学生が一夜漬けでやっつけたコピペの寄せ集めみたいな資料は…こんなの出しても出さなくても絶対先生に怒られるやつじゃん!!


整体院のホームページの情報がダメと思っているのではない。
きちんとした整体院の先生はしっかりとした情報を載せているとも思う。

でも、基本、ティーチャーズトレーニングは先生を育てる場であって
教える側はきちんとした情報を渡すのが鉄則だと私は思っていた。

ここで言うきちんとした情報というのは、渡す解剖学の資料にしろ何にしろ、医学書や医学文献から引用するのが医療者出身の私の普通だ。


ネット検索して情報の出どころや根拠が確実でないどこかのホームページの資料のコピペは、しっかり学びに来た人に渡すものとして全く話にならない。
100歩譲って、一般初心者に分かりやすくとっつきやすく敢えて意図的にそうすることももしかしたらあるのかもしれない。
でも、解剖学の基礎を教えることがプログラムに反映されている以上、それはNGだと私は思った。

「他の人はこの資料を見て何とも思わないんだろうか…」

出だしから疑問で始まった私は3日間を乗り切れる気がしなかったが、払ってしまった大金のために何か1つでも手にしようとモチベーションを上げようとした。

メインどころとなる解剖学の座学で時間が進んでいく。
そんな中、ある参加者が資料を見て先生に
「先生、頸椎7個なのに頸神経8つ数字がふってあります‼︎」と。
すると先生、
「あーほんとだー。その資料間違いだね〜。ごめんごめん。
そこ7つだから直しておいてー。」

??????????????

「えーーーーーーーーー!!!!!!!まじかーーー!!!!!」

はい。マジです。
こんなやりとりが目の前で繰り広げられておりました…


もうドン引きしすぎて言葉も出ず。

この先生、大丈夫か????!!!
しょっぱなから感じていた違和感は確信に変わった…

いやいや、資料と自分の知識違ってたら1度自分の知識疑わないのー???

調べてまた後で返答するね、とかないのーーー!?

そもそも簡単に間違いって言えちゃう資料載せるとかないわ…


あまりにもその先生が即答&断言した回答だったために自分の知識の方が間違っているのかもとさえ思い、その場で意見を出すことが自分の中ではばかられた。

帰宅して解剖学の教科書を引っ張り出し調べるとやはり頸神経は8対…

第1頸椎の上から頸神経は始まっており、それが第1頸神経(C1)、第1頸椎と第2頸椎の間から出ているのが第2頸神経(C2)・・・・と続き第7頸椎と第1胸椎の間から出ているのが第8頸神経(C8)である。
頸椎は7個だが頸神経は8対ある。

解剖学詳しくないなら初めから専門の先生連れて来てほしい…
切実に思った。


そういったところで尊敬の念が断たれてしまうのが私。
完全にやる気スイッチOFFってしまった。

3日間を終え、撤収前に参加者全員にその先生が渡した次回ワークショップの資料。今回のトレーニング内容を実際に90分のヨガクラスとして先生が行うため、勉強がてらどうぞ参加してくださいというもの。

その資料。これまた…
渡されて凍りつく。

載せられていた、どこからか引っ張って来たであろうレントゲン写真。

恐らく側湾症のものだったと思う。(うろ覚え)

が、これ…

背骨が曲がっていることを示したかったのだと思うが
バリバリ、ブラジャーのワイヤーが写ってしまっている、普通だったら失敗作のレントゲン写真。
(そんな写真ドクターに回したら、ちゃんと撮れと怒られると思います。)

いや、これ ww
むしろこの写真よく探せたな、と思ってしまった。


最後の最後まで裏切らない感じ。

いうまでもなくその日以来、その先生の元へ足を運ばなくなった。

ヨガ界では、ありのままでいいよ〜とそのままを受け入れることを言葉過多に促される風潮があるが
私はこれをこのままとして、どうしても受け入れることは出来なさそうである。
おかしいことはやっぱりおかしい。

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