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"それ"がいる森 を観て

それがいる森


札幌シネマフロンティアで、ホラー映画のそれがいる森を観てきました。相葉君が出てる映画です。

ネタバレ注意


舞台は福島の山中。歌舞伎町でホストクラブの店長から現金を強盗した男女二人の強盗犯が山中に奪った金を隠しに来るところから始まります。

いきなり平山夢明氏のdinerみたいな出だしから来ました。このまま組織に捕まったらdinerになるところだ。


明らかに山中で動きにくそうな格好なのに、シャベルは割としっかりしてるのを持ち込んで山中を掘る強盗犯。

いきなり羽振りが良くなると怪しまれるだろうと、とりあえず奪った金を全て埋めるようす。

しかし、ボストンバックに金詰め込んだのをそのまま穴に放り込んで埋める姿から、用意周到なように見えてかなり抜けてる。そんなキャラが見受けられます。
カイジでもこんな事はしないだろう。


金を放り込んで、女性に穴を埋めておくように指示を出しておもむろに立ちションに移行する男性。
いきなり無防備な状態を出していきます。
そして立ちションを済ませてスッキリしたところで、靴に水色の粘液がベットリ付いている事に気が付きます。

コレは怪異がそばにいますね〜。

だいたいホラー映画の導入で悪事を働くキャラはお約束があるんですが、やはりお決まりの謎の怪異に襲撃を受ける事になり、そうそうに出番を終えました。

コレにより、この森に出現する怪異、それ。がずいぶん機敏な動きで動くタイプの怪異と、どうやら水色の粘液を放つタイプの怪異である事が伺えます。

この女性がスニーカー履いてジャージ姿ならワンチャン生き残れた可能性があります。


場面は変わり、相葉君がオレンジ農家をやってるシーンになります。相葉君演じる淳一が収穫する最中、オレンジの木のいくつかが病気に侵されてダメになってる事が発覚し、一部分を焼却処分する事になります。
これには淳一もかなりショックを受けます。
手塩にかけて育てた子がダメになるの…ショックですよね…

そうしているとタクシーが来て、男の子が降りてきます。彼がもう一人の主人公であり、淳一の息子の一也君です。
一也は東京で母親の爽子と一緒に住んで居ましたが、受験勉強の事で喧嘩して家出し、福島で離れて住んでいる父の元に家出してきたのでした。


ホラー映画の中には問題を抱えた家族が、問題を共に乗り越え、一つに纏まる話も少なくありません。
ドウェインジョンソンがレスキュー隊員で仕事に殉じるあまり家庭を疎かにしてしまう父親を演じる超巨大地震がアメリカを襲うディザスター映画のカリフォルニア・ダウンもバラバラになった家族が災害を乗り越えて一つにまとまります。アメリカは物理的にバラバラになりかけますが。

蝋人形の館のリメイクのハウス・オブ・ワックスも。陽キャと一緒に旅行に出かけた妹と、実際はかなり妹想いだけど、事情により逮捕歴のある兄貴が最初はぎこちない関係が事件を乗り越え、より強固になる様が描かれています。
陽キャの末路はホラー映画なんで推して測るべし。
ハウス・オブ・ワックスは兄貴が輝く映画なんで、兄貴の活躍をみたい人にはオススメです。


その晩、爽子がやってきます。
両親が別居していると言う事実から、夫婦間の問題かと思いきや、なんと爽子の父親との確執という、なんとも複雑な問題を内包してます。どうやら傾いた経営を淳一の手腕で建て直すも、それが気に入らなかった模様。
夫婦間の仲は良好なだけに、コレは一也君も複雑な事情から悩むでしょう。

そんな事で、一也君は福島の地で新たに学校生活を始めます。

都会もんが田舎に来ると、やはりざわつくのがホラー映画。一也もクラスに溶け込みますが、それを気に入らない子も出てくる。

これが、後々怪異と子供達の遭遇のキッカケとなるわけです。

一也はさっそく一人の男の子と仲良くなり、さっそく森の奥にある秘密基地に行く事になります。そして、帰り道で金属製の物体を見つけます。


明らかにUFO。どうやらNOPEに続いてこちらもUFOホラーか?
いや、まだコズミックホラー路線が残ってる。まだ決めつけるのははやい。
粘液出てたし、それ。とか呼ばれてるから、もしかしたらペニーワイズ的なやつかもしれない。

少なくともオカルトホラーでは無いな。と言うのはわかってきた。いや、冒頭のシーンからオカルトホラーは無さそうだったけども。なんなら、森のクマさん流れしてCMやってたくらいだから、明らかに生き物だけど。

そしてこの謎の金属について学校で話すも、嘘つき呼ばわりされ、証拠になる写真を撮りにいく事になる。

まぁ、この時点で察しがつくが、それと遭遇、なんとか一也は逃げ切るも、友人を失う事になる。

当然、この出来事は一也の心に深い闇を落とす事となる。

後日、山狩りを決行すると、ようやく冒頭で犠牲になった強盗犯と奪われた大金が登場。事件が一気に明るみにでて警察が動き始めます。

事件の捜査が進まない間に子供が誘拐され大人は殺されると言う事件が続々発生し始めます。一也は画像データが残ってる可能性のある、山中で落とした友人のスマホから、それがどんな化け物かを父と確認します。

チュパカブラとグレイを足したような格好の化け物です。もうエイリアンですね。これ。ど直球異星人ものだわ。

そして、淳一もオレンジのビニールハウスでそれに遭遇、しかも息子から聞いた話と違い、なんと2体存在する状況。絶体絶命かと思いきや、それは数多の大人の命を奪った渾身の突きを放とうとしますが、オレンジに当ててしまいます、すると、突然何かに苦しむような描写の後、それは逃げ出してしまい、淳一は命拾いします。

その後、淳一はなんとか警察に取り合ってもらうよう掛け合うも、当たり前のように信じてもらえず、一蹴されます。
一也の担任の北見絵里先生をたより、60年前にあった今回の事件と似た事件で神隠しにあった小学生と一緒にいた、児玉勉氏に会いに行きます。

児玉氏にかつての事件を聞く淳一と絵里。すると、児玉氏は二人を個室に通します。

そこには世界中のUFOの目撃情報から始まり、児玉氏が集めた情報が蓄積した情報が出てきます。

コレで怪異の正体が完全に割れました。
怪異の正体が割れる事とはすなわち、ホラー映画において著しい弱体化が起きます。謎に包まれているから対処法がわからず、やられてしまう。
それが無くなったので、主人公補正持ちの方が有利になりました。

児玉氏の推測から、宇宙人が病気のオレンジに怯んだのは、耐性を持たないからだということが発覚します。
コレにより、病気のオレンジをミキサーにかけたジュースを浸したタオルを巻き付けた棒が特効兵器へと変貌します。

なんと、植物に感染するタイプの細菌に耐性を持たないことが発覚。人間を襲っていたのは60年前に攫った子供から人間の病気に免疫をつけていたからの模様。この様子だと、オレンジ以外でも効果あるのかもしれない。タバコとかでも致命傷になりそう。

人間のみに特化した耐性が仇となって、呆気なく返り討ちにあい、宇宙に逃げ帰る事になりました。

1か月後。淳一は家族と向き合います。一也は福島の地で学校にかよい、爽子もこっちに来て一緒に暮らそう。と言う話になります。

事件後のゴタゴタがありそうでしたが、さらっと流されたのは、事件の中で、後々しがらみを生みそうなキャラが軒並み見せ場を作っていったからでしょうか。

超常現象相手だから、仕方ないってなったのでしょうか。


ちなみに、追い返したエイリアンは普通に空飛んでましたので、また来るんでしょう。単一個体じゃなかったしね。


と、まぁ、めちゃくちゃ怖いホラー映画というわけではなかったですけど、面白くて好きな感じでした。監督が女優霊、リングや怖い間取りの中田秀夫監督なんで、典型的なジャパニーズホラーみたいなじっとりしたホラーを想像してみたら、そこまでってなったりするかも。
序盤からオカルトホラーでは無さそうな感じだったし、良いんじゃないかな。と思いました。僕は好きな映画でした。

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