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君はヌカカを見たか!? 幻のポリネーター

ヌカカ。
Dari Kに入る前は聞いたことがなかった、この生物の名前。オフィスの中では、この虫に関して皆が知っていて、会話が成立しているのです。
「ヌカカがカカオの花を受粉しているって嘘じゃないですか? 全世界のカカオがヌカカのおかげで受粉しているなんて信じられない! そもそも私、見たことないんですよね」と、インドネシア駐在員のアダさん。(アダさんについて知りたいかたはこちら
「いるよー。虫取りの黄色い板に他の虫と一緒に捕まってるじゃん」と代表吉野。
他の社員もワハハ、でもヌカカじゃなかったら何?なんて言っているのです。

ヌカカって何? インドネシア語? 受粉するってからには虫なのか!?
皆が知っていることを私は知らない。なんか!除け者みたいで嫌じゃないですかっ!

こっそりと手元のパソコンで調べてみると、ポリネーター、ヌカカと書かれていました。プレデターみたいで、なんとも恐ろしげな響きではないですか?
さらに調べてみると、ヌカカって「糠蚊」とも表記されているのです。日本語だったのか!?糠粒のような小さい虫?
いやいや、別の生物に違いない。もっと恐ろし気な、ブンブンと狂暴な音を立てる、別の何か。

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次は英語のサイトを調べてみることにしました。Pollinator(花粉媒介者)、cacao(カカオ)、bug(虫)と入れて検索すると……。
No-See-Umsとアメリカのサイトでは出てきました。網戸を潜り抜けるほどの小さなハエ科の虫で、血を吸われたら腫れて痛くなるだとか、「difficult to spot(見つけるのが難しい)」と書いてあります。
なんと! アダさんが見たことがないというのは、このNo-See-Ums(見えない虫)という名前の通り、小ささに所以しているのかもしれません。
世界中に5,000種類以上も存在していて、“No-See-Ums.com”という専用のサイトもあるぐらいですから、過去にめちゃくちゃ刺されて、コノヤロー!と思った人が立ち上げたに違いありません(←ほんまか?)。
ちなみにさらに調べると、今年は九州地方でヌカカの被害が多く、「ヌカカ」、「スケベ虫」という言葉がトレンド入りをしていた時期もありました。コロナで窓が締めきれないということも影響しているようです。

ちなみにカカオの花は1~2センチととても小さくて、こんな風に小さい虫によって花粉を媒介することがとても大切なんだそうです。受粉率もとても低くて0.3%とか言われています。
さらに調べていると、大切な記述にも行きつきました。
カカオ農園を作り、効率的に収穫するために、カカオ以外の木を切り倒してしまって、カカオの木が本来生育していたような木陰の湿った場所がなくなると、ヌカカの生育も危ぶまれるのだそうです。ヌカカは森の奥まった場所の温かくて湿った場所に生育するため、その森がなくなると、受粉ができずカカオ豆もできなくなってしまうと言われています。
Dari Kが推進するアグロフォレストリー(カカオの木とともに背の高いシェードツリーを植えて豊かな森を育てていこうという取り組み)は、こんなところにも役立っているのですねぇ(←知らんかったんかい!と怒らないでくださいね)。

つまりは、チョコレートにはヌカカが必要なのです。ヌカカ、万歳!!
全国で被害があり、害虫は駆除してしまえという声もあったようなので、そんなことは言っていられませんが、小さな虫にも生態系に果たしている役割があるのだと考えさせられました。

参考文献:ウェブサイト「Science Friday」 “The Unexpected Pollinator of the Tree” (https://www.sciencefriday.com/articles/meet-the-flies-that-pollinate-cocoa-trees/)
ウェブサイト「All-About No-See-Ums」(https://www.noseeums.com/)


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