会話をキャッチボールに喩えると君の投げるのは全部ナックル 【先々月の短歌 vol.2】
どうもどうも、ドモホルンリンクル。
真矢みき真矢みき。
ひっそりと短歌を続けております。
が、全然上達しないドン。
とりあえず、4月に書いた短歌をただ羅列します。
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室内に入るたびごと洗っても胡散臭さの抜けないこの手
ひとつしか愛がないので自分しか愛せないんですごめんなさい
「好きです」と詩情に乏しい告白で散文的な恋をはじめる
眠れない夜の理由をコーヒーにするために満たすカップの深さ
家計簿の支出の欄に家計簿と書いて頭を抱える人よ
飼い犬の「飯食わせろ」を誤訳して愛されているつもりでいろよ
元カノの名前がカオリだったから「香りつきトイレットペーパー」を買う
不特定多数の尻を浄化したノズルに私も洗われている
「凍らせた米も凶器にできるかな」キッチンの母は笑みをたたえて
知性なき笑い声に殺された二階級特進の青春
背景を選択ツールで選択し世界から君だけを切り取る
その土のどこかに秘めた色彩を見つけて花は春を染め抜く
チョキ出すと知っているけどパーを出す「チ・ヨ・コ・レ・イ・ト」と跳んでいくきみ
サッカー部に投げた槍が刺さらないよう「いきまーす!」と叫ぶならわし
ハンマーを投げた後の咆哮は記録と無関係な大きさ
会話をキャッチボールに喩えると君の投げるのは全部ナックル
陽光に真偽のほどを透かしみて嗚呼人なんてみんなペラペラ
内面が浸透圧で流れ出すその海の一部になりたくて
透明な血だまりの上を逃げてゆく人の摩擦に擦り切れながら
あの人の視線がぼくを透過する空洞だけはちゃんと残して
本来の使用用途をなくしても街に溶け込む迷彩の服
赤っぽい色を連想してしまうもっと多彩でいいよな愛は
VGAケーブル鼻に差し込んで家族で父の走馬灯観る
イヤホンのイヤーピースに残されたほんの少しの君を見つける
背筋をピンと伸ばすのも褒められるのが嫌でやめました
片方のイヤホン引っこ抜いてからわたしの声をそこにうずめる
使用後は直射日光の当たらない涼しい場所で殺してください
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・日経歌壇
・東京歌壇
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・毎日歌壇
あたりにはほぼ欠かさず投稿してますが、
ぜんぜん採用されねぇ。。
あ、6月に一首だけ穂村弘氏に
日経歌壇で選んでいただきました。
が、それはvol.3か4になるのかな、ちゃんと続けば。。
はい、終わり。
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