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あんまり注目されない『移動』を面白くするためのゲームデザイン

○○の世界を冒険しよう!

みたいなフレーズ、RPGの宣伝なんかでたまに目にするんですけどね。実際にゲームの内容を見てみると、

冒険しよう!っていったって、歩いて、殴り殺して、歩いて、殴り殺しての繰り返しじゃねーか、どこが冒険やねん!殺戮じゃねーか!!

って思うこともよくあります。いやそんなのただの宣伝文句じゃねーか、大人げないこと言うなよ空気の読めや!って言われるとアレなんですけども。

ただ改めて考えてみると、「冒険しよう!」って言われた時に想像する面白さ、ワクワク感って、戦闘とかじゃなくてむしろ『移動』の部分になるんじゃないのか?って思うんですよ。

現実の冒険家だって、原住民とのバトルを楽しみに冒険する人はいないでしょう。マルコ・ポーロとか。

なので、RPGだと『戦闘システム』や『育成システム』に注目がいきがちだけど、

『移動』をどう面白くするのか?

も同じくらい重要なんでは?と思うわけです。戦闘も楽しいけど、普段の移動をしている時もワクワクしてしょうがねーぜ、みたいなゲームあったら最高じゃないですか。

というわけでこの記事では、ゲームにおける『移動』のゲームデザインについて、語っていきたいと思います。


◆『移動』についてまずは整理

色々と語る前に、ちょっと整理をしましょう。
『移動』にどういう面白さがあって、どういう『移動』が良くないのか。

◇移動って何が面白い?

まずは面白さについて。
ここではまだ深く考えず、とりあえず羅列していきます。こんな感じ。

◆『移動』が面白い時
①移動している時のスピード感が気持ち良い
②道中の景色、世界観が楽しめる
③未知のエリアを探索・開拓していくのが楽しい
④最善の移動ルートを考え、工夫するするのが楽しい

とかですかね。あらかじめ言っておくと、今回はゲームデザインの話なので②の話は除外して語っていきます。
③なんかはマップデザインの話も近くなってきますが、分離するかはけっこう微妙なラインなので、これも含めて語っていきましょうか。


◇ダメな移動ってどんなの?

次、ダメなパターン。残念ながら、『移動』という要素がゲームの面白さを大きく損なうパターンもあります。『移動』を考える上で、こうはなりたくないよねってやつ。私が思うダメな移動はこの2つ。

◆ダメな移動
①面倒くさい。
楽しむためにゲームをプレイしているのに、楽しくない時間がずっと続いて、やる気を削がれる。

②先に進めない
どこに行けば良いのか分からず先に進む方法が分からず、行き詰ってしまう。

です。
移動がメインのゲームでもないのに、移動でひたすら面倒でつまらない思いをさせられる……というのが、体験としては最悪。

面白くないだけなら別に良いんですよ。
つまらない、ストレスが溜まる、といったマイナスの要素になるのは『移動』について拘らないゲームでも避けるべきかなーっと思います。

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さて、整理も済んだので。これから本格的に語っていこうかと思います。
まずは『①移動している時のスピード感が気持ち良い』……に近い話を、実際のゲームを基に考えていきます。


◆ダイナミックな動きとゲームデザインは別かも

こと『移動』の気持ちよさ、スピード感、動きのダイナミックさで言えば、『Marvel's Spider-Man』が突出しています。

映画で見たスパイダーマン以上の移動アクションが楽しめるこの作品では、「移動しているだけで楽しい」という感想が出てくるのも頷ける話です。
えぇ。この記事のためにわざわざ買って遊んで確かめましたよ。

……が、じゃあファストトラベル使いたくならない?って言われるとNo。

さすがに何時間もこのゲームを遊んでくるとそのダイナミックさにも慣れてきますし、慣れて新鮮味が無くなってくれば「目的地に進むための作業」といった側面が強く出てしまいます。

で、これ何でだろうな、と考えてみると……

「動きがダイナミック」なだけではゲームとしての要素にはならない

というのはありそうかなと。もちろん、移動操作でキー入力をしアクション的な操作もあったりはしますけどね。

これだけだとよく分からないと思うので、レースゲームなんかを例にしましょう。レースゲームは言ってしまえば「移動」をするだけのゲームです。しかし、その移動の中に

【目標】
 ・より速いタイムでゴールする
 ・他の誰よりも速くゴールして1着をとる
【方法】
 ・速く走るために、ブレーキングのタイミングやライン取りを工夫する

と言った要素があります。遅く走ってゴールしても意味が無く、『1着を取る』という目標があるから『速く走る』意味が生まれ、その目標を達成するために『工夫』をするわけです。

つまり『目標』がプレイヤーに対し『緊張感』と『工夫の必要性』をほどよく与えることで、『ゲーム性』が生まれ、楽しいゲームプレイに繋がっている状態。

それに対して、『目的地に行くだけの移動』は

【目標】
 ・ゴールに着く
【方法】
 ・ゴールに向かって移動する

という形で、目標を立てても『緊張感』と『工夫の必要性』が生まれません。これはさっき紹介したスパイダーマンのゲームも同様です。
(こうしてみると、RPGなんかにある「お使いクエスト」が嫌われるのも改めて分かる気がします。楽しい要素がない)

なので移動の動き自体をダイナミックにして派手な形にしても、『ゲーム性が薄い』限りは『ダイナミックさに慣れてきたらただの作業になってくる』が発生するわけですね。

あ、念のため書いておくと、『移動』のスピード感とか、手触り的な所を軽視しているわけではないです。
ただそれとは別に、『移動』に関するゲームデザインを考えた時は上に挙げた例のようなゲーム性(ゲームとしての要素)が必要がありそうだなって話です。

では、次はその『ゲーム性のある移動』の例を過去のゲーム作品から見ていきましょう。


◆『ゲーム性』のある移動

①シンボルエンカウント

サンプルとして分かりやすいのは『シンボルエンカウント』かなって思います。マップ上に敵キャラのシンボルがいて、それに触れると戦闘が始まるやつ。スクウェアさんの『サガ』シリーズとかが代表的。

とにかく戦いたいんだ、という精神の元に全てのシンボルへ体当たりをする……みたいな話は例外として、さっきのパターンに当てはめるなら

【目標】
 ・余計な戦闘を避けながら目的地へいく
 ・勝てない敵を避けながら、分不相応な良いお宝を手に入れる
【方法】
 ・出来る限り敵に当たらないように立ち回る
  ┗ 敵が突進をしてくるタイミングを見計らってかわす
  ┗ 「歩き」と「ダッシュ」を使い分ける

とか。移動に『シンボルを避ける』という要素が加わることで、道中の移動に緊張感が加わり、工夫の必要性が生まれています。

②ステルスアクション

別パターンのものとしては、敵に見つからないように移動する『ステルス』系のゲームデザインが挙げられます。

パターンに当てはめると

【目標】
 ・敵に発見されずに目的地へ行く
【方法】
 ・障害物などを利用しながら、敵の視線から外れた所を進む
 ・石を投げたり、エロ本とかで気を逸らす
 ・背後から攻撃したり、バナナの皮ですべらしたりして昏倒させる

です。ただ移動するのではなく、『見つからないように移動をする』ことで、工夫の余地が生まれています。


③ルート検討

上記で上げていったのはアクション性のあるものですが、アクション性のないもので考えてみると、『Slay the Spire』のマップシステムは良いサンプルかもしれません。

最奥にボスエリアがあり、そこに向かってどのイベントを発生させながら進むのか、道を選択していく仕組みです。
危険だけど強力な装備が手に入る道を選ぶのか、強化や回復ができるマスの多いルートを選ぶのか……とか。

パターンに当てはめるとこう。

【目標】
 ・最大限に自分を強化し、かつボスに倒されないように高いHPを保ったまま最奥に突入する
【方法】
 ・どのルートで進めば一番良い結果が得られそうか、ルートを考えて選択する

このシステムを『移動』として捉えるのか……?という話はあるっちゃありますが、とりあえず要素的には『アクション性』よりも『考える』方向に移動のゲーム性を寄せた例としては、良いんじゃないかと思います。


④他には……

これ以外にも探せば色々とあるとは思いますが、とりあえず例としてはここ
まで。

他にもスタミナ制のある崖のぼりの話とか、重力を操って移動する『グラビティデイズ』の例とか、アクションで良い感じの移動ルートを考える『デスストランディング』の例とか……ほんと色々ありますが、書くの疲れてきたのですっ飛ばします。
気になる方は自分で分析してみてください。

『移動』に対してどんな目標意識を持たせてどんな工夫ができるようなゲームデザインにするのか……を考えてみると、他にはない面白いものができる「かも」しれません。


ただ、

「移動」を楽しませるためには『ゲーム性』がないといけないのか?

というと、必ずしもそうではないかな、と思います。より正確に言うなら

『移動』という操作を楽しくするには『ゲーム性』が必要。
ただし、『移動した結果を楽しくする(その結果、移動という行為自体の面白さも上がる)』なら別のやり方もある。

ですかね。
次は、『ゲーム性』以外にもちょっと目を向けてみます。


◆『報酬への期待』が『移動』を誘発する

これもまたけっこう基本的な話なんですが、

ダンジョンを探索して、良いアイテムが手に入ったりすると嬉しい。快感。ちょー快感。(*´Д`)ハァハァ

というのが、移動を……というより、移動を伴う『探索』を楽しくさせていますね。

移動をした結果、何か良いことが起きたという『報酬』は非常に強力です。移動自体は単純作業でも、「何か良いことが起きるのかもしれない」という『期待』があれば、自発的に移動をしたくなるものです。

例えば、

分かれ道があって進んでみたけど正解の道だったから、わざわざ戻ってお宝のありそうなもう一方の道に進む

みたいなゲームあるあるパターンも、この『期待』の力によるものですね。

なお、この辺りの仕組みは、学習心理学や行動分析学における『強化』の仕組みです。それに対する解説は過去の記事でやってるので、気になる方はそっちを読んでください。

さて、この『期待』を上手くプレイヤーに抱かせるには、ただ単に宝箱を置けば良いってわけではありません。いくつか大事な要素があります。これ。

①「移動をしたら良い事があった」という経験を積ませる
②「良い事がありそう」という期待を持てるものを見せる

①に関しては、例えば無駄な行き止まりを多く作らない。長い移動になるのなら、その移動の長さに値する「良い」報酬を配置する……とか。
単純な話、プレイヤーが『頑張って移動した甲斐があった』と感じていけば『移動』に対して積極的になりますし、逆に『甲斐がなかった』と感じたなら消極的なっていきます。

②に関しては、例えばよくあるのだと
(画像)

宝箱が見えるけど今の場所からは行けない。
⇒ 回り道をして、宝箱をとれる道を探す。

ですかね。「移動したら宝箱があった」のではなく、「宝箱の存在を見せて『期待』を膨らませ、それを『目指す』形で移動をする」という形。マップデザインの基本です。


こうして「移動した先で良いこと、楽しいことがありそう」と思わせることができれば、そこを目指している間は楽しくなってきます。

また、これと掛け合わせて面白さを作れるのが次の話です。
オープンワールド系のゲームでよく採用されています。

◆『未知』と『自由な探索』がワクワク感を作る

有名どころで言うと、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』がこの辺り上手いですね。

①そのエリアの塔のシステムを復旧させないとマップが見れない
  ↓
②見晴らしの良い場所に登る
  ↓
③辺りを見渡し、高い塔を見つける
  ↓
④高い塔に上ってシステムを復旧、そのエリアのマップ情報を更新
  ↓
⑤高い塔から見渡して、行くと面白そうな所に滑空

といった流れがあるんですが、重要なポイントは

●『未知』の場所を意識させる
マップで見れない部分があることで、「まだ未到達の何かがあるかもしれない場所」の存在を意識させる

●『行きたくなる場所』を見せる
前章で話した「宝箱を見せる」と同じ。周囲を見渡した時に、「あ、なんか面白そうな場所がある」と期待を煽り、その場所に行くための方法を考えさせる。

●『指示されて向かう』ではなく『自分の意思で向かう』
あくまでプレイヤーが自分で「行きたい」と思って行動している。

ですかね。あと、行きたくなる場所を発見するのには高い所に上るのが最良で、見つけたところに移動するのは高いところからパラセールで滑空するのが最良で……と、それぞれの工程が繋がっているのもポイント高いです。

ただ注意点としては、「『未知』の部分に他の場所にはない報酬を1つは用意しておく」というのをやっておかないと弱くなります。
分かりやすいのは『新しい街やダンジョンがある』でしょうか。これがあることで、新しいイベントやそこでしか手に入らない物があるかも、という期待が生まれます。

冒頭で紹介したスパイダーマンもこのシステムを使っているんですが、新しい所を解放しても新しい物がなくて、あんまり良くなかったんですよね。
ただそれっぽいオープンワールドなシステムを用意しただけだとそこまで面白くはならなさそうです。

あと最近はオープンワールドのゲームが代表的なのでオープンワールドって言ってますけど、昔のRPG、例えば歴代のドラクエやFFなんかだとこの要素は標準搭載してました。世界を旅するやつですね。
ずっと陸での移動だったけど、船を手に入れたら新しい場所にいけるようになったとか。飛空艇を手に入れたら……とか。
あと、ロマサガ3なんかもマップ上にどんどん新しい街やダンジョンが解放していくシステムなので、これに似た面白さは持っています。

なのでオープンワールドに限らず、こうした「未知の場所を開拓して報酬を得ていく」という形を作れると、動き回るのも面白くなっていきます。

さて、次はちょっと違う話を。これもまた昔のRPGによくあった話です。
嫌がる人も多かったアレ。

◆パズルや謎解きでメリハリをつける

目的地へ移動する途中、パズルや謎解きをしないと先に進めないパターン。箱とか岩を動かして道を作ったり、色んな所を調べてロックされた扉のパスワードを調べたり……。

移動に対する『障害』を作ることで、そのエリアの特徴を作ったり移動にメリハリが出たりします。『移動にゲーム性をもたせる』というより、『移動中にゲーム性のあるものをぶっこむ』って考え方ですかね。

はい。

RPGやアクションにパズルとか謎解き要素とかを入れてんじゃねーよ!
俺はそれが遊びたくてこのゲームをやってんじゃねーんだよバーカ!!!

と思っている人もいるかもしれません。とはいえ、これもまったく意味のない物ではなく。

(ゲームデザイン的に)何で入っているの?というと、私としては

移動と戦闘を繰り返してばかりだと飽きるから、たまに違うもの(パズルや謎解き)を混ぜて、ゲーム全体に対する『飽き』を防ぐ

だと思っています。『いつもと別の事をさせること自体に意義がある』ので、必ずしも謎解き自体が面白い必要はないんです。もちろん面白い方が良いんですけど。

ただ、謎解きを入れるのって意外とリスキーなので、導入は慎重に考えた方が良いと思ってます。
というのも冒頭で『ダメな移動』の例として

◆ダメな移動
①面倒くさい。
楽しむためにゲームをプレイしているのに、楽しくない時間がずっと続いて、やる気を削がれる。

②先に進めない
どこに行けば良いのか分からず先に進む方法が分からず、行き詰ってしまう。

ってのを挙げましたが、謎解きが入ることでこの両方を満たす可能性があります。謎解きで行き詰って進めなくなり、攻略情報を見るのもなぁ……みたいな状態になってくると、やる気が削がれていく。

なので、やるのであれば

①寄り道的なコンテンツにのみ配置して、メインのストーリーを進める時の障害としては置かない
②難易度の高い物を作る時は、解くためのヒントを丁寧に作ったり力技で解決できる方法もセットで用意して、ゲームが停滞するのを防ぐ
③プレイヤーが普通の操作に飽きてくるタイミングを見極めて、必要だと思ったタイミングのみ入れる
 or
パズルを解くのをメイン要素として扱ったゲームを作る(振り切る)

といった形にしていった方が良いのかなーと思っています。
なんとな~く謎解き要素を入れて、そこでプレイヤーが詰まって、評価が下がるのが一番最悪ですかね。


さて、『移動』に間接的に関わる要素の話が続いているのでそろそろ話を戻したいんですが、その前にまた別のお話を。
飽きてくるから謎解きとか入れて(飽きの低減が目的なので謎解きじゃなくてもいいけど)メリハリつけようっていうのが今回の話だったんですが……

そもそも…飽きるんだったら『移動』なんて無くていいんじゃない?

って話を次でします。

◆その『移動』って本当に必要?

何かこの記事の存在を否定するような話ですけども。

いやまぁ、必要なの?って言われると

そりゃ目的地が別のところにあるし、道中の探索要素とかバトルとかもあるし、移動せにゃ話にならんだろ

ってのはあるんですけどね。

ただこう、やっぱり面倒じゃないですか。
道に迷ってひたすら歩いたりとか。分かれ道があって、宝箱のある道を選んでとったはいいけど、正解の道までず~っと戻って移動していく時とか。
まだ未開拓の道を進むのは楽しくても、開拓済みの道を戻るのはただ面倒なだけだったりとか。

あと、がっつり移動のシステムを作り込むならまだしも、自分のゲームは別にそこがメインの要素ではないしなぁ……でもあっちこっち無駄に移動をしているのが楽しいわけじゃないんだよなぁ……

みたいなことも、やっぱりあります。
なので、

『楽しくない移動の時間』は省く

って考えた方も大事かなーと思います。

分かりやすい例はファストトラベルですね。チェックポイントにワープができて、そこまでに移動する時間を省略できるやつ。
例えばダンジョンとかで考えるなら、ダンジョン内の既に通った道ならどこでもワープできる……みたいなのを用意しておくと、分かれ道での無駄なストレスがなくなっていくとは思います。

ただ、この辺の移動の面倒さってそもそも何から発生しているかでいうと、

キャラクターの一歩一歩を操作する

っていう所から発生していることも多いです。細かく操作をしているから、長い道のりを戻るのとかも時間がかかる。だから面倒。

なのでいっそのこと、『移動操作の面倒な所を省いたシステム』というのを採用するのも手です。

例としては、ゲームブック風RPGにおける『イベントを選択しながら進むシステム』ですね。『ruina』という昔の名作フリーゲームや、私が今作っているインディーゲーム『いのちのつかいかた』でも採用しています。

マップ上にイベントを散りばめられていて、それを選択しながら進む……といった形式ですね。移動が「イベント選択」という形で抽象化されているので、道を直接歩かなくて良いです。

道を直接歩かないので、

とにかく移動に時間がかからない

状態になっており、探索の面白さがありつつ、戻る時みたいな移動の面倒くささを省いた形になっています。(あと、デバッグの時に壁1マス1マスに体当たりとかして抜けないか確認しなくていいです)

あとこの形式の場合、道の1つ1つにイベントを作れるので、初めの方で言った『冒険しよう!!』を作りたい時はかなり相性が良いです。冒険感が出しやすいシステム。

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まぁでも、移動の無駄を省いていくと、プレイ時間もどんどん短くなってきちゃいますけどね。
でも昔みたいに長時間遊べるゲームが喜ばれる時代でもないですし、移動の無駄を省けばその分プレイヤーはゲームのメインの要素に集中できるので、検討する価値はあると思います。


◆まとめ:ここまでの話から分かる『移動』に対するアプローチ

色々と語ってきたので、そろそろまとめましょうか。
『移動』のゲームデザインを考えるためのアプローチとしては、これまで話をしてきた物を類型化していきます。

①『移動』の手触りにこだわる
・高速移動しているスピード感や、動きのダイナミックさ
・『スパイダーマン』や『グラビティデイズ』など『現実では体験できないような移動』を体験させるのも強い
・ただし、これ単独で面白さを持続させるのは難しい(手触りに慣れ始めると効果が薄まる)

②『移動』にゲーム性を作る
・いかに速く走り、相手よりも速くゴールをするか(レース)
・いかに敵をかわしながら進むか(シンボルエンカウント)
・時に敵の気をそらしつつ、いかに見つからないで進むか(ステルス)
・いかに最善のルートを選び、良い状態で最奥に突入するか(ルート検討)
・他にも色々
・いずれも共通して、プレイヤーに『目標』を意識させて『目標を達成するための方法』を工夫できるような形になっていると良い。

③『移動した結果』で引っ張り、移動したくなるような状況を作る
・『報酬』で引っ張る。お宝とか、新しいダンジョンの解放とか。
・『移動したくなるもの』を見せ、プレイヤーに『期待』をさせると◎
・『未知』のエリアを意識させ、次はここに行ってみようかな、と思わせることができると◎

④『移動の合間』にゲーム性があるものを入れ、飽きさせないようにする
・漫然と移動しているだけでは飽きるので、ゲーム性があるものを入れる
・パズルや謎解きが代表的
・調整をミスるとメインじゃない所で詰まる可能性も出てくるので、取り扱いには注意

⑤『移動の無駄』を省く
・移動の楽しくない所はファストトラベル等で省略しちゃう
・面白くするというより、マイナスの側面を切り捨てる考え方
・『移動の無駄』は『キャラを一歩一歩操作する』という仕様で起こりがちなので、思い切ってそれとは違う仕様にするのもアリ

ですかね。これらは『どれか1つ』に絞る必要性はなく、組み合わせて使うと効果的です。オリジナリティにこだわりたいなら、②のゲーム性を考えてみると面白いシステムが出来上がるかもしれません。

宣伝

記事の中でもちょっと書いてましたが、今ね。ゲーム作っているんですよ。
これ。

『移動の無駄』を省いた結果どうなったか、気になる方はやってみてください。

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