「易しい」は「難しい」?  初めての英語学習

音読についてお話しする前に、私たちの学習内容についてお伝えしましょう。型にはまらずにちょっと自由気ままな随想も含めながら、書いてみたいと考えています。


一般的に音読について書かれた本は、すでにある程度学んでいる方たちを対象にしていることが多いようです。自我流で学び始めてはみたものの、ある時点からなかなか上達しない。知識もそれなりにあるけれど、それが総合化し、レベルが上がってゆく感じがしないなど、方向性が見出せないけれど努力を惜しまない人たちでしょうか。しかし、学びの初めに「音読」の大切さを肝に銘じるのと、なんとなく音読もした方がいいかな、という軽い気持ちであるのとでは、成果はおおいに違ってくるのは間違いありません。そこが曖昧のままだと、せっかくの努力が無駄になります。だからこそ、まず英語の文字、単語、文が読める、それもたどたどしくではなく、できればスラスラ読めることを基本にしましょう。読み方が適当なのに、文法は強い、というわけにはいきません。また教材は簡単で易しいものから始めない方がいいです。そもそも「易しい」とか、「難しい」というのは何を指すのでしょうか?私たちの教室では、小学4年生が訳に挑戦する物語作品では、最初の1行目から関係代名詞が出てくるものもあります。その使い方をすぐにわかりなさいとは言いません。語句がどのように繋がっているかを説明すれば訳せますから、そういう言葉の働きがあるという経験を積み重ねるだけです。しかし訳し終えて、文の意味を了解しながら音読練習し、上手に言えるようになると、その関係代名詞の働きを難しいとは感じないで済みます。一般的に「易しい」ことから「難しい」ことへと言われている学習法は地道な論理力が求められます。私たちの学習法は、それなら最初から「難しい」作品に挑戦しよう、というものです。

難しい」箇所はどんどん手助けすればいい。一番大事なことは、生きた英語を「経験する」ことだからです。


私たちは英語教室なので、ほとんど学校では学んでいない小学生とか、どう勉強していいかわからず、成績が伸びない中学生とか、ブラシュアップしたい大人の学び直しの方とか、ほとんど英語力がゼロの方が多く学びに来られます。もちろん、コアの学習法が気に入り、もっと英語力を伸ばして、目標を達成したいという方も来られます。小学生では主に保護者の方の意向が反映して、気持ちが定まらないまま出席する生徒もいます。というより、学習に対してどのように向き合わないといけないか、そうした心得のようなことを初期にきっちりと伝えておかないと、自学自習する癖がつきません。学習は意志をきっちりと持つか持たないかで、その成果は雲泥の差になります。そのことで先生から注意を受けて涙を流すことも時々あります。すぐに答えを欲しがる生徒。設問に対して自分で考えるというより、クイズ番組のように○か×にしか目がいかない生徒。そうした生徒たちは物事を学ぶという姿勢に欠けていますので、そこからの教育になります。


コアの学習法は、英語力ゼロだった小学生が、中学生になって英検2級合格を目指せる方法です。特別なことは何もありません。学習の順序を間違えず、何が大切であるかを納得しさえすれば、誰でも伸びます。努力は学習方法に良さを実感できるからこそ続くと言えるでしょう。学校での成績はもちろん気になるでしょうが、付け焼き刃の学習では、最後は結局後悔することになります。棒暗記で勝負ができる範囲には限りがあります。いうまでもなく、学習には暗記が伴います。語彙力は絶対に必要ですし、例文暗記もした方が断然良いと言えるでしょう。英語学習には野球のバットの素振りのように日々行い、蓄積してゆくべきことと、もう一つは理解を深めるべき内容とがあります。「考える」ということを経験すれば、間違いがどこでどのように起きたかをたどれます。考えないで○か×だけを求めていては、過程がないに等しくて、何も始まってはいないことになります。


習い始めを想定すると、例えば文法の説明を受けたからといって、瞬時に理解できるとは限りません。ふつうはこれを克服するために問題集が与えられます。下線部分を正しい語に変えるとか、(  )に正解を書けとか、出鱈目に並べられた語句を、正しい順序に入れ替えなさいとかが多いでしょう。これらはどちらかといえば、説明内容を理解するというより、その形式を覚えることに意識が向きがちではないでしょうか。説明内容を理解できるには、個々の生徒の成長を待たなければなりません。生徒の成長は文字通り、様々です。「主語」という言葉を一つとっても、それが分かったと言えるためには、他の語句の働きを同時的に理解し、「文の要素」という概念が了解できる必要があります。ほとんどの生徒は長い時間をかけてやっと感覚的にわかるというのが実態です。人間関係に敏感で心の成長が早い人もいれば、いわゆる天才型で習ったことは即わかるタイプもあります。全ての時間がゆっくりと流れるタイプもあります。脳が理解するよりは感覚的に受け入れるのが上手な人もいます。日本語と異なる言語、英語を学ぶのですから想像力も必要ですが、これも得意、不得意があるでしょう。


最終的に英語ができると言えるということは、英語を話す人たちの物事の捉え方だとか、世界をどう理解しているかとか、日本語話者の私たちが当たり前と思っていることが、決して当たり前ではないといったことを知ることではないでしょうか。旅行に行って場面ごとの英会話ができるのは素敵でしょうが、それは言葉を「伝達の道具」とみなせる範囲のことです。関わりが避けられない相手とのやり取りでは、言葉はお互いの「表現」となりますから、細やかな受け止め方が求められます。言葉はこのように、共通の意味の上に立っての「伝達」としての働きと、想像力を生かして相手の想いを理解しなければならない「表現」の世界とがあると考えられます。


2年前「教科書の最後から始める中学の英語」という著作を自費で出版しました。Amazonで扱ってもらっていますので、関心のある方はご覧になってください。中学の教科書を授業ではレッスン通りに進んでいくのが当たり前でしょうが、並行していきなり後半のリーディング用の長文を読みませんかという提案を載せています。また、言葉が持つこうした両面についても書いています。他に「オトさんのブログ」も書いています。そちらものぞいていただければ幸いです。


さて私たちの学習内容ですが・・。

小学2・3年生・小学4・5年生・小学6年生・中学生・高校生・成人

と6つのコースになっています。

小学2・3年生の教材はフォニクスと英日が文単位にセットになっている物語教材

小学4・5年生はフォニクス・会話集・単語集・そして英語の物語教材

小学6年生では上記教材に加えて、英作問題集

中学生・高校生は年齢に合わせた物語や長文作品が主な教材です。

成人コースは小中学生の教材のほか市販の長文教材です。

いずれもCDのモデル音声付きです。どのような教材も音声付きが必須です。


詳細は次回に。

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