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ひとり街宣からスタート。"議員っぽくない”区議。誰でも参加できる、オープンな政治を目指して(杉並区議・小池めぐみさんへインタビュー)

「誰に投票したらいいんだろう…」

昨年の区議会選挙で、ずらりと並ぶ選挙ポスターの前で立ち尽くしていた二児の母のやまくぼと申します。

政治に関心はあるものの、詳しいことはわからない。どんな人が、どんな想いで立候補しているのかを知れたらもっと政治を身近に感じられるのでは?と思い、住んでいる杉並区の議員さんにインタビューすることにしました。

今回は、初めて議会の傍聴に行った際「赤ちゃんと来てくださったんですね〜!」と声をかけてくださった小池めぐみさんに区政への想いなどを伺います!

【小池めぐみさんプロフィール】
1982年、栃木県生まれの41歳。早稲田大学中退。中野区の図書館でNPO職員として働いていたが、公共サービスを民間企業が管理する「指定管理者制度」の導入により職を失い、非正規雇用を転々とする。子育てを機に杉並区政に興味を持ち、現区長の応援をしたことがきっかけで自らも2023年の区議会議員選挙に立候補。当選し、現在1期目。

「なんでこんなに生きづらいの?」世の中の当たり前にモヤモヤ

ーー政治に関心を持ったきっかけを教えてください

元々、政治への関心は強くなかったのですが、小さい頃から世の中に違和感を覚えていました。私の地元は農家が多く、男の子が大切にされる雰囲気がありました。家でも学校でも、男の子と同じことをすると「女のくせに生意気だ」と言われ、息が詰まるような日々を送っていました。

東京に出てからも状況は同じ。女性はアシスタントのような役割を担うことばかりだし、出産してからは夫は仕事が忙しく、家事や子育てはワンオペでした。周りには仕事を辞めざるを得ないママもいて「なんで女性が社会の弱いところを担ってばかりなの?」と思っていたんです。

また2013年、働いていた図書館で指定管理者制度がスタート。私を含む約50名の職員が仕事を失いました。「普通に生活をすることが、なんでこんなに大変なの?」と感じつつ、自分ではどうすることもできない。モヤモヤしながら日々を過ごしていました。

息子の小学校再編で、政治が一気に自分事に

ーー杉並区政に関心を抱いたのはいつ頃だったのでしょう?

子育てするようになってから政治が暮らしにダイレクトに影響すると実感するようになったんです。

息子の通っていた小学校の統廃合は、私にとって大きな出来事でした。
息子が小4の時、区の方針により通っていた学校がなくなって、徒歩20分以上かかる新しい学校に移ることになったんです。通学路の距離は3倍に伸び、大きな道路も通らないといけなくなって。

交通量の多い環七。大型車の往来も激しい

不安だったので、最初の3ヶ月間、毎朝旗を振ったり見回りをしたり、子どもたちの登校を見守りました。

当時はコロナ禍でした。ストレスも多く、いきなり始まった新生活に慣れず、学校に行けないお友達がたくさんいました。学校側も開校したばかりで余裕がなくて、子どもも親ももちろん、先生たちもみんな大変な思いをしていました。

ちょうどその頃、児童館がどんどん廃止されたり、学校の感染症対策が他区より遅れていたり。区の対応次第で、こんなにも暮らしにくくなってしまうのかと感じ「これ以上、杉並区で子育てしたくない」とすら思うようになりました。

「杉並がすごい変わるかも」ひとり街宣、岸本区長の誕生に立ち会って

ーー区への不信感が募っていったんですね

そんなある日、Twitterで区長選挙があることを知りました。3期続いている現職区長に対抗して出馬するのは、市民団体が擁立した40代の女性。海外で長らく環境問題や水道などの再公営化について研究している岸本聡子さんという方でした。

今まで、政治家といえば政党公認とか政治家2世の人がなるイメージがありました。でも彼女はまったく違う分野で活躍してきた方。「海外情勢にもくわしい彼女が区長になったら、なんかすごい変わるかも!」と思いました

そして、彼女の著書を読んだらドンピシャに共感。「これは会いに行ってみよう!」と街頭演説に行ってみました。

現地で、岸本さんに指定管理者制度で職を失ったと話したら、「大きな問題だよね」と理解してくれて。ジェンダー平等への想いも深く、「あぁ、本当にこの方が区長になったらいいな」と思いました。

それから投票日までの2週間、全力で応援しました。高円寺と新高円寺の駅前で、毎日「岸本さんを区長に!」と叫び『ひとり街宣』をし、ポスターを体の前と後ろに貼って商店街を歩きました。

最初は恥ずかしかったけど、何もせずにいたら絶対に後悔する。仕事の合間をぬって、声が出なくなるまで応援しました。

そして投票日、岸本さんは187票の僅差で当選。大接戦のすえ、ついに区長になったんです!「行動すれば社会は変えられるんだ」と、自分にとって初めての成功体験になりました。

岸本さん7万6,743票に対し、現職区長は7万6,556票。こんなことが起こるんだ!

「みんなで選挙に出よう」仲間たちと一緒に

ーー岸本さんの当選のあと、小池さんが区議に立候補するまでの経緯を教えてください

岸本さんが区長になり、杉並区の向かう方向が大きく変わろうとしていました。でも、区議会の中には今まで通りの方針で進めたい議員がたくさんいたんです。

ある時、区議会の傍聴に行ったら、岸本区長に対してヤジを飛ばす議員たちの姿が見られました。原稿を読み間違えたら「漢字も読めないのか」、地名を間違えたら「杉並のことをわかっていない!」と。岸本区長へのリスペクトが足りていないことをものすごく感じました。

それらの背景には、彼女が政治家出身でないことや、女性蔑視もあるのではないかと思うんです。「自分たちのフィールドに部外者が入ってきてほしくない」という雰囲気を感じ、政治の世界がとても窮屈で凝り固まっているのを思い知らされました。

岸本区長だけでは、杉並区を変えるのは大変だし、区議会をもっとオープンな場所にしていきたい。そんな気持ちを抱いた半年後、区議会選挙を迎えました。

選挙を前に、岸本さんを応援していたメンバーたちで集まり「政治とは無縁だった私たちが、みんなで一斉に選挙に出たらすっごい面白くない?」と話していたら、本当に日本共産党から立候補することになりました!本気で議員にならなきゃと思っていたので、当選できた時はこれからだな、と思いました。

まさか自分が選挙に出るとは、1年前は想像もしていなかった
高円寺駅前の街頭演説。岸本区長も応援に来てくれた
区議会を傍聴する中で、日本共産党の区議たちは一貫して区民目線で質問していると感じ、感動した。共産党から出ようと決めた
当選がわかった瞬間の笑顔。4,076名の方からご支持をいただきました

給食費の無償化やパートナーシップ制度。当選から1年でやってきたこと

ーーすごい行動力です。当選してからの約一年間、どんなことに取り組まれてきたのでしょう?

区議団の先輩たちと一緒に、選挙中に公約に掲げていたことや、区民のみなさんからいただいた地域の課題や震災対策、非正規公務員の処遇問題などを議会で質問、要望してきました。

教育に関して話し合う「文教委員会」では子どもたちの教育環境の向上のために調査、質問、提案しています。

学校給食費の無償化や、なくなってしまう児童館の代替場所の設置などを求めて、実現したことはうれしかったです。

また、2023年4月から性的マイノリティの方々を含むすべての区民が尊重される杉並区を目指し、パートナーシップ制度と性の多様性条例がスタートしましたが、事実婚も含むことを求める陳情(区への要望)が出されたり、区としても今後拡充していく方向でいます。私も尽力したいです。

児童館やゆうゆう館も「廃止の方向」から「一旦、立ち止まる」に変えることができ、子どもたちへの意見聴取や該当する地域での子どもワークショップなどが始まっています。これからが本番です。

区議になって嬉しかったのは、街を歩くと色んな人が声をかけてくれるようになったことですね。発行しているニュースを読んでくれたり、困りごとを相談しにきてくれたり。

「工事車両が通ってから、道路が陥没してる」「引っ越すので保育園を変えたいが、下の子の育休中は転園できない制度になっていて困っている」など、声を届けてくれるので「あ、そういうことで困ってるんだ」とこちらも把握できます。

月に10件以上は相談をいただくのですが、いろんな角度から情報を得ることができ、勉強になるのでありがたく感じています。みなさんからいただいた声を可視化して、区に届けられる存在でありたいです。

区政についてざっくばらんにおしゃべりする会も開催。近所の方がフラリと立ち寄ってくれることも

政治をオープンに。誰だって「議員になる」という選択肢を持っていい

ーーこれからどんなことに取り組んでいきたいですか?

区議会をオープンにしていきたいです。杉並区議会で今何が話し合われているのか、議員がどんな想いで活動しているのかなど、どんどん見えるようにしていきたいなと。

そして、今まで政治に関心がなかった若い人にも「面白そう」「ワクワクする」って思ってもらえるようにしたいですね。政治と生活を近づけていきたいんです。

私を見てもらって「子育て中でも、髪色が明るくても、派手な服が好きでも区議になっていいんだ」って親近感を持ってもらえたら嬉しい。それっぽくない人が議会にいることが大切なんじゃないかな

周りを見渡すと、今ってあまりにも自分を大切にできていない人が多いんじゃないかと思っていて。「母、父として」や「会社員だから」と立場や役割を大事にして、我慢することに慣れてしまっていると思うんです。

もちろん我慢することで規範が生まれるのかもしれないけど、それが強くなりすぎると心が死んでいく。不登校児や自殺者が増えたり、先生の休職者が増えたりしている今の日本社会って、やっぱり歪んでいるんですよね。

みんな、自分が好きな自分が絶対いるはず。一人ひとりの違いが大切にされる世の中を作りたい。子どもたちが伸び伸びと育つためには、まずは大人が伸び伸びと生きないとって思うんです。

一人ひとりの権利が守られる社会へ。個人の人権、命が軽視される世の中を変えていきたい

そのためにも、まずは区議会をもっともっとオープンにしていきたい。いろんな人が気軽に「議会をのぞきに行ってみよう」「私にも区議になるっていう選択肢があるんだ」って思ってもらえるようになってほしいですね。

私は区議になって初めて、自分らしく生きられるようになりました。すっごく楽しいですよ!

阿佐ヶ谷の駅前で、仲間の区議たちと合同街宣。区議会ではこんなことをしてるよ、とワイワイお話しました

もし気になる議員がいればSNSをフォローしたり発信してみたり。小さなことでも、世の中は少しずつ、確実に変わっていくと思うんです。

私もSNSで議会の日程やイベントのお知らせをしているので、気になる方はのぞいてみてください!もし街で見かけたら、気軽に話しかけてくださいね。

(インタビューはここまで)

◼️杉並区議会について■
区政一般に対する質問をおこなう「一般質問」、それぞれの委員会で議案や陳情の審査をおこなう「定例会」は年に4回(2,6,9,11月頃)開催。どなどなたでも傍聴もできますし、スマホから中継を見ることもできます。

※杉並区議会|杉並区公式ホームページ (city.suginami.tokyo.jp)

  • 定例会の日程はこちら

  • 各区議さんがどんな質問をしているかはこちら

◼️小池めぐみさんの情報はこちら■
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〜お話をお聞きして〜
初めて区議会をのぞきに行った時、明るい髪色をした小池区議がニコニコ笑顔で話しかけてくださいました。「こんなに親しみやすい議員さんがいるんだ?!」と驚きつつ、お話を伺うなかで、明るさと行動力に惹かれてすっかりファンになってしまいました。

「まずは大人が伸び伸び生きないと」という言葉がとても印象的。みんなが伸び伸びできる世界を一緒に作りたいです。これからも応援しております!

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