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【長編小説】もう一度あなたに会うために(36話~40話)

2024年。再婚したあの人と暮らす生活はすごく幸せだった…。それなのに突然過去に戻ってしまった私は、もう一度あの人に会うために、忠実に人生をやり直すと決めた…それが例え、辛い過去だったとしても…

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前編 あの人に会えるまで

36話 やっと…

彼と別れたと親友に話すと

やっぱり親友は

「そうか…次行こう。次」

と言ってくれた。

この前向きさには、いつも助けられる…


私は、別のサイトで友達募集を出してみた。

このサイトで、私と「あの人」は出会うことは分かっていた…


1度目の人生では、前の彼の事があるから

年下は、子ども問題が発生しそうだし…

今度は年上か、同年代とメールしようと思っていた。

だから、メールが来る中でも

そういう人を選んでメールをした。


その中で、会ってみた人もいるが…

お互いに「う~ん…」って感じの人だったり

家が近くだったので、二男とよく行っていた

レンタルビデオ店に行く時に合わせて

会ってみたけど…

やっぱ、なんか違うなって人だったり…


私は「あの人」からのメールを待っていた。

しかし、なかなか「あの人」からの

メールが来ない。

本当に来るのだろうか…

ここまで、忠実に過去の人生を

やって来たつもりだ…


私は不安になった…

もし、運命が変わっていたらどうしよう…

覚えていることばかりではない。

忘れてしまっていることもあったから

ちゃんと、やって来れたかどうか…

私…いったい何年生きてるんだろう。

57+39=96

もう、96年も生きてることになるの?

いや、戻ったのは12歳だから…

57+27=84?


そんな中、前にメールをしていたけど

別れた彼と付き合うことにしたから

もうメールはしないと送った人から

しつこく電話やメールが来た。

直後も来ていたが、また…

「会ってもないのに」

「会ってから考えて欲しい」

電話もメールも無視し続けた。


友達募集するの怖くなったよ…

そんな風に落ち込んでいた頃

「あの人」から、ようやくメールが来た。

飛び上がるほど嬉しくて…

私は、すぐ様メールを返した。

「あの人」は年下だったし…どうかなと思ったけど…

「あの人」とのメールは、すごく楽しくて

会話が弾んだ。

「あの人」は離婚してすぐだった。

6歳年下だけど、良さそうな人…という印象だった。

子どもは二男と一緒の7歳の男の子で

元奥さんが引き取ったらしい。


暫くサイトを通じてメールをしていたが…


ある日、兄嫁が泊まりにおいでと言ってくれ

私と二男は兄の家に泊まった。

泊まっている間も「あの人」とメールのやり取りはしていた。

二男が春休みだったからか、日曜日の夜になって兄嫁が

「二男はまだ泊まらせようか?甥っ子や姪っ子もいるから泊まってもいいよ。ゆうこちゃんは、明日仕事だから送って行くよ」

と言ってくれたのだ。


私は、今日がチャンスだ…

と思い、「あの人」にメールした。

「今日の夜会えますか?」と…

「あの人」は「いいですよ」と返事をくれた。

だから、直アドを教えることにして…

「帰ったらメールします」

「待ってます」と交わした…


これまで、辛いことにも耐えて

頑張って来た。

嫌なことも二度…

何度も過去を変えるチャンスもあった。

でも、ひたすら「あの人」に

会いたいために頑張って来た。

元々、1回目の人生は

自分が選んで来た道だった…

でも、その人生を二度も繰り返さなければいけないのは

本当に苦しかった。

それが、やっと報われる…

出会いは、やっぱりタイミングだった…


私は、遅くなったけど

「今、帰りました。今から大丈夫ですか?」

とメールをした。「あの人」からも

「大丈夫です。何処に向かえばよいですか」

と返事が来たから

教えて貰っていた電話に電話をした。

その時に、初めて「あの人」の声を聞いた…


そして、家の近くまで来て貰った。

私は、待ちきれず…

着くだろうという時間には、そこで待っていた。


すると「あの人」は車でやって来た。


「こんばんは、初めまして」


やっと…会えた…

後編 あの人に会ってから

37話 あの人との始まり

突然、過去に戻ってから27年…

長かった…

未来の記憶を持っての人生のやり直しは

思い出しても涙が出るくらい苦しかったけど、もう一度会うために頑張っただけ…

でも、やっと会えた…


やっと会えた私達だけど…

これから、まだまだ色々な事が起きる…

私は、それに耐えられるのかな…

不安になったけど、私は出来れば

57歳の私に戻って51歳のあの人に会いたい。

もしかしたら、これまでのように忠実に生きるのは難しいかもしれないけれど…

また始めてみよう…


初めて会った日

挨拶を交わした後、あの人が

「車に乗って下さい」

と言ったから、私は車に乗り込んだ。

私達は、近くのファミレスに行った。

最初の、あの人の印象は感じの良い人だった。

私達は、お互いの話を沢山した。

気が付くと午前2時…

すごく楽しかった。

私は自分でもびっくりしたけれど

1度目の人生で、メールした人と会う時

いつも、家の近くまで来て貰い…

また家の近くで降ろして貰っていた。

すぐ家を教えたくなかったから…

でもなぜか…あの人だけは

家の下まで送って貰った…

帰り際も、「じゃ、また」なんて

行ったことが無かったのに…

あの人には「じゃ、また…」と言ってしまった。

自分でも不思議だったけど、私は初めて会った日から

あの人のことが好きだったんだね…

当然…また同じことをした…


次の日、兄嫁から連絡があり

「二男が春休みの宿題をしてないから、まだ泊まらせて頑張らせるから。明後日帰すね」

と言ってくれたのだ。

でも次の日は、元々同僚とごはんを食べに行く約束をしていた…

あの人は、次の日もメールをくれた。

私は、「明後日会いませんか?」とメールをしてみた。

あの人は「会いましょう」と返事をくれた。


夕方、あの人の仕事が終わってから

迎えに来て貰った。

それから、色々な話をしながらドライブした。

仕事の話を聞いた時に、私はあの人に

「ちゃんと仕事して偉いですね」と言ったら

「それは当たり前のことですよ」と言った。

私にとっては、当たり前のことではなかったから…


それから私は、元夫のこと。離婚のことを話した。

あの人は「だから仕事のこと…納得しました」

「今までよく頑張りましたね」

と言ってくれた。

私はすごく嬉しかった…

気が付くと、すごく遠くまで行っていて

二人でびっくりした…

本当に話が尽きなくて…

こんな人は初めてだと思った。


それから…

夜、二男が寝てから会うようになった。

近場にドライブに行ったり

朝まで家の下で話したり…


それから二週間くらいして

あの人は、ようやく告白をしてくれた。

あの人は、告白したのも初めてで

今までドキドキしたことがなかった。

だから、びっくりしていると言ってくれた。

「好きです…」と

でも、告白だけして「付き合って下さい」と

言うのを忘れてたと…

次に会った時に言ってくれ

私達は付き合うことになった。

それからキスをするのも時間が掛かった。


あの人から聞いた話だと…

初めて会った日

私の電話の声を聞いた時に

すごいオバサンが来ると思っていた…

でも、私を見た時に驚いたと…


私達は、ずいぶん大人なのに

高校生のような恋をしていた…


こんなに盛り上がっていたけれど…

私達の再婚までの道のりは、本当に遠かった…

38話 離れようとするあの人

あの人の離婚の原因は、セックスレスだった。

でも、それ以外は仲が良かったそうだ。

結婚した元奥さんとは

元奥さんから告白されて付き合い始めた。

結婚も言われるがままにしたと…

離婚しようと言ったのは、あの人からだった。

あの人は、両親が離婚して

親戚の家に預けられたり

お母さんが再婚したり

寂しい幼少期を送っていた…


付き合い始めてから1か月経った頃

私は初めてあの人の家に行った。

そこで私達は初めて結ばれた…

それからは、あの人の家に行くようになったのだが…

ある日、夜中に私の携帯が鳴った。

家からだった…

二男が泣きながら

「お母さん、どこにいるの?早く帰って来て」

私は「ごめん、すぐ帰るからね」と言い

すぐ、送って貰った。

帰ったら二男が待っていた。

「ごめん、本当にごめんね」

私は、ダメな母親だ…

私達は、二男に寂しい思いをさせたことを

猛省した…


だから、今度から

私の家で会うことにした。


それから、長男家族と私達と二男で

一緒に遊園地に行ったり

平穏な日々を過ごした。


誕生日には、エルメスの時計を貰った。

私は、そんな高いプレゼントをもらったのは

初めてだったから戸惑った。

私がプレゼントを、あまり貰った事がないからということもあったのだろうけど…

あの人は、照れながら…

大人だから当たり前だと言ってくれた。

幸せだった…


でも、ちょっとしたことで

喧嘩になることもあった…

あの人は、いつも冷静に淡々と私に話をしてくる。

それにイライラして、私は嫌な言葉を

言ってしまうこともあった。


あの人は、一見感じが良さそうに見えるけど

心の奥底に、残酷な面を持っていた。

それは知っている。

私達は、これから何度も

別れたり引っ付いたりを繰り返す…


あの人は、私とは根本的に

考え方が違う。

だから、うまくいかないと思う。

別れて欲しいと何度も言っていた…

私は嫌だと…

玄関で押し問答してしまうこともあった。


最初に別れた時は、

貰った時計を返したけど

あの人は翌日、時計を玄関のノブに置いて行った。

あの人は

「後悔すると分かっているけど…別れる…」とメールしてきた。

私は

「後悔しながら生きたらいいよ」

とメールを返した。

結局、その言葉に堪えて、戻ることになった。

あの人は、私と性格が合わないと分かっているのに

好きな気持ちが勝ってしまうと葛藤していた。


あの人は、毎月子どもと会うことになっていた。

その時に、元奥さんとも会うらしく…

私は、自分にはそういうのが無いから…

何も言えなかったけれど…

正直、嫉妬することもあった。

それでも、好きだったから

再婚あるあるだと思って、我慢した…


喧嘩を繰り返しながら、1年経った頃

私達は、また喧嘩をした。

あの人は

「やっぱり私とは合わない。別れたい」と言ったが

私は、嫌だと言った。

けれど、あの人の決意は固く…

嫌な言葉を吐きまくった。

私は気が付くと、あの人をビンタしていた。

私は

「分かった」と言うしかなかった…

あの人は、帰って行った。

分かっていたけど…

この時は、本当に辛かったことを思い出して

また、辛くなった…


私達は別れた…


ひどい面もあるけど…

私は、どうしても嫌いになれなかった…

仕事に行く時に聞く音楽が自分と重なると

泣きながら仕事に行っていた。

忘れなきゃと思えば思うほど

悲しくなって…忘れられない。

心から、あの人を消すことは出来なかった…

39話 新聞の記事と新しい挑戦

あの人と別れる少し前に、長男が会社で上司と

喧嘩をして会社から帰ってしまい

それから会社に行かなくなった…

私はそれを、お嫁さんに聞いて…

長男の家に行ってみたが、私の話を聞こうとしない。

上司の人から、私の家に電話が掛かってきて

「辞めるのは、もったいない。部署替えも考えているから、一度、話に来て欲しいと伝えて下さい」

と言われた。

それを長男に言ったが、聞く耳を持たなかった。

お嫁さんが、会社の先輩に連絡をしてくれて

先輩が長男に話をしてくれ…長男は、やっと話す気になった。

上司の人が話し合いの場を設けてくれて、部署替えをして

会社に戻ることになったが…

もし、辞めてしまったら

住んでいるのは会社の社宅だし…

私は、一緒に住むしかないと考えていた。

一緒に住んだら、生活保護は貰えなくなるとして…

母子家庭の手当はどうなるのかと思って役所に聞いたら

世帯が違えば貰えると言われた。

その時に、ついでに貸付の事を聞いてみた。

車の免許を取るのに貸し付けは出来るのかと…

条件によれば貸して貰えるとのこと…


私は、あの人と別れてから、それを思い出した。

18歳になった時に、父が「お金をだしてやるから免許取りに行け」と言ってくれたけど、元夫から「危ないから止めた方がいい」と言われ、取りに行くのを断念した…

でも、免許が取れたら自分で二男を遊びに連れて行く事が出来る…

暇になったし…

あの人の事を考えない時間が欲しいな…

お金も貸付けして貰えそうだし…

挑戦してみよう…と

自動車学校に行くことにした。


夕方、自動車学校に行く為に、パートの時間を1時間減らして貰った。

自動車学校に託児所がある所を探したが

どこも託児所は早く閉まってしまう。

問い合わせをした自動車学校の人が

家に来てくれ、事情を話すと

二男は小学校3年生だし、事務所で預かってくれると言ってくれた。

それから、私の自動車学校生活が始まった。

6月1日に入校。

パートが終わったらすぐ家に帰って

送迎バスに乗って行く。

乗車するのは1時間だけと決めていた。

学科が3時間ある時は

お弁当を持って行き、二男は事務所で食べた。

宿題を持って行き

事務員さんと一緒にやっていた。

たまに、校長先生も見てくれた。

一番最初に乗車した時に

39歳で初めて自動車学校に通い始めた私に

若い先生が

「なんで今だったんですか?」と聞いた…


私は仕事柄、新聞のローカル欄をよく見ている。

ある日、いつも通り新聞をみていると

見たことがある名前を見つけた。

それは、大型トラックが正面衝突して

運転手が亡くなったという内容だった。

それは、あの人と出会う前に付き合っていた

彼の名前だったのだ…

1度目の人生では、驚いた。

でも今回は知っていた…

だから、別れたあの時に

「これからも運転気を付けてね」

と心でつぶやいたのに…

あの時に、私は知っていたけれど

彼に言うわけにはいかなかった。

彼は運転中によく電話をしていたから

よそ見してたのかな…

人の命というのは、本当に何処でどうなるか

分からない…


二男は木曜日にスイミングに行っていたので

それ以外は自動車学校に通った。


その間、お酒を飲んで

あの人に電話をしてしまったこともあったけど

あの人は電話に出なかった。

一度、二男から「どうして戦争はおこるの?」

と質問されて困った私は、

あの人にメールをしてしまった…

その時、あの人はメールを返してくれた…


でも、それ以上は何もなく時が流れた。

自動車学校では、みんなによくして貰って

若い男の子の友達もできた。

仮免許の学科も実地もすんなり受かった。

補習の負担なしのコースにしたけど

1回の補修だけで、見極めまで行った。

学科も1回で受かり、卒業試験も受かった。


私は、ちょうど2か月で卒業することが出来た…

40話 長男の離婚…

自動車学校を卒業した日は

あの人の誕生日だった…

私は、誕生日にメールをしようと考えていた。

別れたのに、ストーカーみたいだけど

誕生日だからいいよね…

と自分にいいように考えてメールをしてみた。

そしたら、私には意味の分からない

難しい言葉の羅列の…返事が来た。

私は、戸惑った…

ん?どういう意味?

分からない…


思い切って電話をしてみた。

すると、あの人は電話に出た。

あの人は、私から電話があるんじゃないかと

思っていたと…

結局、メールの意味は分からなかったけど…

私は、自動車学校に通ったこと

今日卒業して、明日学科を受けに行くことを話した。

思い切って、もう一度会いたいと言ってみた。

そしたら、あの人は明日会いに来てくれると言った。

私は翌日、学科の試験を受けに行った。

受かるかどうか不安だったけど…

結果は…合格。

40歳にして、やっと免許が取れた。


その翌日、あの人は家に来た。

会うのは3か月ぶりだった…

嬉しくて…

もう一度やり直したいと

言ってみたけど…

あの人は付き合うのは無理だと…


でも、会いには来てくれた。

その頃、あの人を頼っている女の娘がいて…

その人の事が好きなのかと思ったけど

そんな感じでもない…

その女の娘は、離婚に悩んでいた。

同じ、趣味の集まりの中の人。

あの人は、人に頼られることが多い。

それで勘違いをされて、好きになられることも…


8月、色々なイベントがある中で

あの人は、その女の娘とイベントに行くと言った。

だから私は…

自動車学校で出来た若い男の子の友達から

花火を見に行こうと誘われていたので

それに行くと言った。

そして、私は男の子と二人で花火大会に行った。

彼とは友達だったし…

彼女になりそうな人がいるみたいだったから…

しかも、長男より年下の男とどうにかなる気はなかった。


でも、それで喧嘩になったり…


あの人は、仕事で独立することになったり…


あの娘が、旦那さんと別居して家を借りることになったり…

その娘が、明らか…あの人のこと好きなんでしょ、みたいな態度を取っていたり…


問題だらけだったけど…


月日が流れ、私達はまた付き合うことになった。

なんでこんなに長く掛かったのか…

1度目の人生も今回も分からなかった…


それから…

ある日、長男の嫁から連絡があった。

長男が浮気していると…

どうも、浮気相手が長男の車に

痕跡を残していたそうだ。

ついこの間、マンション買うかもしれないと言っていたのに…


長男に電話をしてみたが電話に出ない…


長男は離婚したいと言っていると…

お嫁さんは、相手の女とも話をしたと言う。


私は、長男に何度も電話をしたが…

電話に出なかった。

お嫁さんの話によると

「母さんは、嫁さんの味方だから…」と言っていたらしい。

それから、お嫁さんは実家に帰った。

でも、長男の気持ちは変わらず‥‥

「自分には結婚は向いていない」と…

それをお嫁さんは受け入れてくれて

二人は、離婚することになってしまった。


長男は家を出てマンションを借りた。

お嫁さんが、社宅を片付けに実家から帰って来た時に

私も、手伝いに行った。

その夜、子ども達が寝てから

二人でコンビニにお酒を買いに行って

二人で飲んだ…

お嫁さんとは、本当に仲が良くて…

長男抜きで、旅行に行ったこともある。

私とあの人の事も

ずっと話を聞いて貰っていた。

長男が悪い…

本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった…


それでも、お嫁さんは

「私とお義母さんの仲は変わりません。これからも仲良くしましょうね」と言ってくれた。


そうは言っても、実家は遠い…

寂しかった…

いくら、分かっていた出来事とはいえ

長男の気持ちを変えることは

私にはできなかった…

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