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次世代NEMブロックチェーン、Symbolに迫る(10)〜コンセンサスアルゴリズム編(2)〜

このシリーズでは、NEMを簡単に振り返ると共に、NEMの次期バージョンのSymbolの特徴、Symbolのローンチまでの流れ、そしてSymbolがどのように活用されていくのかをなるべく分かりやすく紹介していきます。

Symbolのメインネットローンチが2021年3月15日と決まり、いまかいまかと待ちわびている人も多いでしょう。

今回はSymbolのコンセンサスアルゴリズムPoS+についてお話しします。今回の記事は以下の記事の続きのなるため先に読むことをおすすめします。

PoIの課題

SymbolのコンセンサスアルゴリズムPoS+はNEMのPoIを改良したものです。ということでPoIではどんな課題があったのかを振り返ります。

・比較的大きな取引が必要

・PoIの計算が複雑でスケーラビリティに課題がある

・ノードを建てるインセンティブがない

PoS+はこれらの課題に対処すべくPoIを改良して作られました。ということでどのような改良されたかを見ていきたいとおもいます。

PoS+の基本概念

PoS+はその名の通り、Proof of Stake(PoS)をベースとしたコンセンサスアルゴリズムとなっています。

そのため、基本的にはSymbolのハーベスト通貨(xym)を多く持っているアカウントほどハーベストする確率が上がるようになっています。

しかし+(プラス)の部分で中小アカウントについてはその重要度の計算にSymbolのネットワーク上での活発度を考慮するつくりになっており、ネットワーク上で活発な中小アカウントはなにもしない中小アカウントよりハーベストする確率が高くなるようになっています。

詳細については以下の記事をご参考ください

手数料ベースの重要度計算

先のPoS+の基本概念を読んだ人の中には、なんだPoIとあんまり変わらないのではと思った方もいるでしょう。確かに、ネットワークでの活発度を考慮するベースの考えはPoIと一緒ですが、その手法が変わっています。

PoIでは、基軸通貨(xem)の取引量で活発度を測っていましたが、1000xem以上の比較的大きめな取引しか考慮されなかったり、カスタムモザイクの取引は一切考慮されないなどの課題がありました。

PoS+ではアカウントが支払った手数料をベースにネットワーク上の活発度を測ることになりました。これにより今まで考慮されなかった少額の取引やカスタムモザイクの取引も重要度に考慮されるようになりました。

また、これにより重要度の計算量も減り、スケーラビリティ面でも改善が図られました。

ノードインセンティブの確保

SymbolでもNEMと同様、委任ハーベストを行うことができます。これにより自分でノードを建てなくてもハーベストを行うことができます。

一方でNEMでは委任ハーベストでも自分でノードを建ててハーベストを行ってももらえる報酬に変わりがなかったため、ノードを建てるインセンティブがなく、それをスーパーノードリワードプログラム(SN)に頼っていた側面がありました。

Symbolではハーベスト報酬を分配する仕組みが導入され、以下の様に分配されるようになります。

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ハーベスト報酬をネットワークの維持やノードオーナーに割り振られることとなり、ハーベスト報酬の一部を受け取ることでノードを建てるインセンティブを確保することができるようになりました。

インフレ報酬の導入

NEMでは約90億のxemが初期に全量発行されましたが、Symbolでは初期発行量を12億xym減らし、12億xymをブロック報酬として徐々に配っていくこととなりました。

これにより、NEMではよくというかしょっちゅうあった、空ハーベストがなくなりよりハーベストをするメリットを受けることができます。

当初の2年間はインフレ報酬だけで1ブロックにつき約80xym配られます。委任ハーベストの場合、委任ハーベスターに約57xym、ノードオーナーに約19xymが分配されます。

インフレ報酬はビットコインのように徐々に減ってきます。これは、いずれ手数料報酬によって賄われるべきという考えからきています。

インフレ報酬がどうなっていくかについてはシートを参考ください。

まとめ

SymbolではNEMで見えてきた課題に対応して、より自立可能な報酬体系になりました。特に初期の段階で早くネットワークが自立できるようにインフレ報酬も導入されており、NEM以上にハーベストに参加する意義があると思います。

次回は委任ハーベストについてもう少し掘り下げてみたいと思います。

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