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滑稽なシナリオの崩壊

 断酒20年のヨウスケです。

1ヶ月間のアメリカ旅行から無事日本に戻ってきました。

成田エクスプレスが東京駅に到着するやいなや、最寄りのKIOSKに一直線、買ったのはもちろん缶ビール(笑)。

 「やっぱり日本はいいわ。日本のビールが最高。バドワイザーは薄味すぎる」

 日本の良さを再確認。

 とりあえず缶ビールを2本ほど買い足し、後は車内販売で買えばいいと、のぞみに乗り帰路につきます。

 のぞみのチケットをみどりの窓口で購入するとき、話す日本語がなんか変だなと自分でも思いました。1ヶ月日本語をまともに話さないとこうなるんだ…。

 2回ほど車内販売でビールを2本ずつ補充し、酔いつぶれて乗り越すことも無く、無事自宅に帰ってくることができました。

 アメリカで飲み足らなかったマイナスを一気に取り戻しました(笑)。

 さて、1年ぶりに塾の方に復帰することになりました。うすうす感じてはいましたが、今後の待遇はしばらくの間

・アルバイト扱い
・授業は基本ピンチヒッター
・給料は持った授業の時給分のみ

まぁ、大変な時期に逃げ出しといて、どの面下げて戻って来たんだということかもしれませんが、これはいくらなんでも酷すぎる。

せっかくアメリカで節制し、体調もすっかり戻ったというのに、アルコールの量もまたまた元通り。

基本自宅で授業の空きを待つ生活なので、もちろんその間は飲んでます。

そんなある日、急に代打の授業が入り、同僚が車で迎えに来てくれました。

「飲んでるから今日は無理」

 というのに

「コーヒーでも飲んで酔いを醒ましたら大丈夫」

と半ば無理矢理連れて行かれて、教室に一人残されます。

授業の開始まであと1時間。まだ酔っている。こんな状態で授業が出来るわけない。

以前の授業終了後に背にした扉の向こうから聞こえてきた生徒たちの

「酒臭~っ」

の言葉が脳裏に浮かぶ。

今は教室に誰もいない。

「逃げるしかない」

教室を後に薄暗くなってきた外の道を歩き出しました。

自宅への30kmほどの道のり、とりあえず歩けるだけ歩いてやれ。

 途中自販機で買うのはもちろんビール。身体にビールを補充すると歩く元気も出てくる。

 今ごろ塾は大騒ぎだろうが、そんなことは考えたくもない。当時はスマホも携帯電話も無いので完全に行方不明状態。

 限界まで歩いて電車に乗り、自宅に帰ったのは夜中のこと。自宅の方にももちろん電話がかかっていて、母も心配していたが、適当に話をはぐらかして部屋に戻ります。

 「あぁ…やってしまった。もう完全にアウトだな」

 家に帰る前にコンビニで買ってきたビールの蓋を開けます。ここだけは用意周到。酔いが多少回ってくるととりあえず安心。歩いた疲れもあるのでそのまま酔いつぶれて寝ます。

 次の日、塾長から電話があり、呼び出しをくらいます。当たり前ですが、ずいぶん叱られました。言い訳をしても仕方ないし、何を言っても言い訳にもならないので、自分から辞めると言うしかありませんでした。

ここまで来てもまだアルコールを止める、または減らす(のは無理だとわかってますが…)という選択肢が出てこないのがアルコール依存症の恐ろしいところです。

描いていた

「アメリカに英語の武者修行に出て、生まれ変わって帰ってくる」

 という滑稽なシナリオも見事に崩れ去り、自らの辻褄の合わない人生を思うと、今後どうしたらよいのか全く分からなくなってしまいました。


 さすがに少し堪えました。

 お金も無くなってしまったので、飲まずに家で少しおとなしくしていました。

その後、たまたま以前にお世話になっていたアルバイト先の上司にバッタリと出会い、簡単に現状を話すと、数日後に電話があり、しばらく仕事を手伝ってくれとのことでした。

 「願ったり叶ったり」とはまさにこのこと

 今度こそ真面目に頑張ろう。

 

 

 

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