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イノベーションを起こす組織とは? ~第7章 組織における計画と革新(前半)

オーガニゼーションズ第7章は、組織における革新、新規事業創出やイノベーションに必要なことが述べられていて、めちゃくちゃ面白いので、まだ半分しか読めてないですがまとめます、P216~240です。これまでのまとめは以下を参照。

おさらい

前回第6章では、人間の限りある認知・注意力の範囲内で、いかにして複雑な課題に対処していくか、そのためにプログラム化と分業が大事だよね、という話をしました。しかし、これはルーチン的な作業で既存の課題にしか対応できません。もっと長期的な視点で大きな変革を起こすにはどうしたらいいでしょう、というのが第7章の論点です。

組織とは保守的なもの

個人も組織も、現状が不満足でなければ、わざわざより良い代替手段の探索検討などしないので、継続が第一となる。代替手段を探すこと自体がコストであり、現状維持すればそのコストを払わなくて済むのだから、組織はなるべく変化しない方向に進む。

問題が発生したとき、あらゆる代替策を探して比較検討したりはしない。たいていは、少しでも可能性のある代替案が見つかればすぐに実施評価してみる。なるべく既存のやり方のちょっとした変更で解決できないかどうか入念に調査を行い、それで代替案が基準を満たせばそこで満足して探索は終了する。

では、組織ではずっと革新的な変化は起こらないのだろうか?

革新を引き起こす要因

組織も個人も、現状に満足している限り変化しないと言ったが、時間とともに要求水準は少しずつ上がっていく傾向がある。人間はずっと同じ給料だと満足せず、緩やかでも上昇することが期待されている。

また、ライバル、競合などの比較対象が基準となって、自分の満足の水準をそちらに合わせることもある。友人が高い給料をもらっていると知ったら、途端に自分の給料を不満に思ったりする。

特に自社の業績が業界平均と比べて著しく低かったりすると、不満足が高くなり、小さな改善では到底満足できないので、大きな変革に向けて動き出すことになる。

どうやって革新を始めるか

革新というのは、まだ組織内でプログラム化されていない新しい取り組みを始めること。これはとても大変なことだ。

グレシャムの法則というものがある。もし、一人の人間が高度にプログラム化された仕事(既存事業)と非プログラム課題への取り組み(新規事業)を両方持っているとき、時間圧力(締め切り・納期)がないときでさえ前者(既存事業)を優先させるのだ。

だから、もし非プログラム活動をするのであれば、組織内に日常業務の流れから外れた独立予算の部門を作ることが条件となる。

そしてもう一つ重要なのは「締め切り」を作ること。非プログラム活動は時間圧力が弱いことが多い。そこに締め切りを作ることで強制的に問題を発生させると、活動が非常に加速する。

どんなプログラムを作成するか

組織における革新はほとんどの場合、新しい仕組みの発明ではなく既存のプログラムの借用である。現代でも、イノベーションには異分野の技術の組み合わせが大事だとよく言われている。

どんな革新的プログラムを考えるかというと、特定顧客と接点が多い研究者であればその顧客の目的を満たす革新を考えるだろうし、他社の研究仲間と接点が多ければ最新の技術を取り入れようと考えるだろうし、外部環境と接点がなければ自分たちが使う資源の節約(コストダウン・原価改善)を考えるだろう。

もっとも革新的な提案ができるのは、組織内でもっとも不確実性の高い部署、外界との接点となる部署である。

革新を実行に移すとき

プログラム作成の初期、新規事業の開始当初の従事者は、興奮期にあることが多い。彼らは仕事に誇りと喜びを感じていて、大いに残業する。しかしプログラムが完成し、実施段階に移ると、興奮は収まり尻すぼみ感が出てくる。

新しいプログラムは、解決すべき課題を細かく分解して、既存のプログラムで実行できる水準にまで具体化していく必要がある。そして、組織内で受容可能なプログラムとなれば、急速に普及するようになるだろう。

プログラム作成と実施に求められる特性は大きく異なるので、この移行は不可逆的になりやすい。一度作成されたプログラムは、実施段階に移ってから再検討されることはめったにない。だから、プログラム作成の段階でなるべく良いものを作らないと、普及する前に尻すぼみになって失敗に終わってしまう。

投資してもらおう

より良いプログラム作成のために、余剰の資金や人員を投入してもらうのも重要だ。そのため、以下の3つの専門職が出てくる。

投資家:要求が競合するときの資源配分などを決定する人。一番必要な機能に対して投資する、という意思決定を行っている。

起業家:新しいプログラムを提案する。一番興奮する面白いところを請け負って、プログラム実施の泥臭いところは組織に任せる。

周旋屋:投資家と起業家をマッチングさせるコンサル。

ここでも、投資は合理的で最適なものが選ばれるのではなく、もっとも満足度の高いものに対して行われる。そのため、新プログラムへの資源配分は、起業家から投資家への提案の経路や、提示順序に大きく影響される。投資家が満足した段階で投資が完結してしまうからだ。これが、新規事業には運も必要と言われる所以だろう。

課題

革新に失敗した例を挙げて、原因を分析してみよう。

感想

本書は1958年に書かれたものです。もう60年以上前から、新規事業はどう進めるべきか、これほどまでに体系的に分かっていたわけです。それなのに、現実はどうでしょう。なんか悲しくなってきますね。

さて、第7章の後半では、革新における組織の役割について議論されるようです。お楽しみに!

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