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心理的安全性のつくりかた

めっちゃ実践的なこと書いてあって面白いビジネス本。古典じゃないから読みやすい。きちんと論理構成ができてる。えらい。読んでみると、仕事でも大事だけど、子育てですごく重要だなぁ、と感じた。どうやって子供にやる気を出させるか。

そして、これがきちんと実行できれば、組織は飛躍的によくなる。それを某スラムで実感している。本書に書かれているほぼ全てが、あそこでは実践されている。すごい。

日本版・心理的安全性の4つの因子

Googleが発表した心理的安全性の話は日本に馴染まない部分もあったので、筆者が日本向けにアレンジしてくれました。マジえらい。

・話しやすさ:何を言っても大丈夫
・助け合い:困ったときはお互い様
・挑戦:とりあえずやってみよう
・新奇歓迎:変なやつ、目新しいこと、どんとこい

これらの要素を使って組織を改善していくわけですが、やっぱりできることとできないことがある。

まず、会社の構造、仕組は変えられないと思ってあきらめよう。自分の属する組織の行動習慣を変えよう。一人一人の行動を変えて、そこからチームの習慣を変えていく。できる範囲をしっかり認識しよう。

重要なのは、心ではなく行動にフォーカスすること。たとえば「明日のプレゼン、自信ないです」という人に「大丈夫だ!自信を持て!」と声をかけても効果は薄い。ここで「自信」というのは心の中や性格のことではなく、いくつかの行動パターンに「自信」というラベルを貼っていると捉える。彼は自信がある、というのは一連の行動の要約と考えるのだ。

大きな声で話す、よい姿勢を保つ、流暢に話す、アイコンタクトを取る、大きなジェスチャー、といった行動パターンを取り入れれば、内心では自信がなかったとしても、聴衆が理解しやすいという目標に違づくことができる。だから自信があるかどうかはではなく、どういう行動をすればよいかを考えればよい。

そのためにあなたがリーダーシップを持つのです。社長が変わらないから風土改革できないと嘆いている場合ではありません。リーダーシップを発揮するのは、公式に命じられたリーダーである必要はありません。公式なパワーがなくても、他人に影響を与えることは可能です。そのために必要なのは以下の3つ。

①変えられないものを受け入れる
②大切なものへ向かっていく
③それらを見分ける

①変えられないものを受け入れる

困難な思考や感情をオープンに受け入れること。そのために以下の2つのことを大事にしましょう。

まず自分の思考に執着しないこと。世の中では「間違った考え方は修正した方がいい」という考えが主流ですが、ここでは考えている内容が真実かどうかを重視しません。その考え方が間違っているかどうかは文脈・状況によるからです。自分の思考に対する自信・確信が強いことこそが問題を大きくするのです。いまこの状況・この文脈で役に立つのであればその考えを採用する、役に立っていないのであれば別の考え方を試す、と柔軟に考えることが大事です。

次に、嫌な気持ちをコントロールせず受け入れること。ネガティブな思考・感情・感覚・記憶をオープンに、自ら進んで味わうこと。配られたカードで戦うしかない、それがどんなカスカードであれ。何か条件が満たされれば幸せになれるという幻想を捨て、地に足をつけ、前を向くために諦めること、そして受け入れることを「創造的絶望」と言います。仕事をしているうえでトラブルは起きる、それはビジネスの前提にすぎない。だからトラブルを楽しもう。

②大切なものへ向かっていく

①では、困難に直面しても、そこに立ち向かうための心構えができました。次に、実際に前へ進んでいきます。

まず、大切なものを明確化すること。ビジョンを描け、って言われるやつですね。みんなが悩んだときの道しるべとなるもの。「とにかく健康が第一優先」みたいに明確に決まっていれば、この行動って健康的かな、って一人ひとりが考えて、きちんとみんなの進む方向が揃います。

そして、大切なものに近づくための行動をすること。みんなが大切なものへ近づこうとしているからこそ、その途中で人は傷つきます。失敗するんじゃないか、まだ準備が不十分じゃないか、いろいろな不安がよぎります。この正解がない時代に、新しい行動を試すのは大変です。もちろん失敗することもあるでしょう。それでも、間違ったことを素直に認めて軌道修正して、自分の考えには執着せず、次の行動をとること。

周囲の人から冷笑されたり、拒絶されることもあるでしょう。やっぱりこのチームに心理的安全性なんて無理なんだ、って思うかもしれません。でも、それはどこの組織でも起こる、前提です。創造的絶望を身につけながら、淡々と行動を積み重ねるのです。

③それらを見分ける

目の前で起きている現象に集中して、柔軟に判断すること。とても難しいことです。

集中が欠けていると、過去の失敗を思い出して後悔したり、未来の不安に思い悩んだり、いろんなことを考えてしまいます。そうではなく、今この瞬間に起きていることに注意を向けること。

そして、自分が観察したことを客観的に解釈する。その現象が望ましくない行動であればやめる、望ましくない考えであれば諦めて受け入れる。望ましい行動であれば繰り返し行う、望ましい考えであれば行動に移す。主観に惑わされず、的確に判断するのはとても大変なことだが、①と②が身についてくれば、できるはずです。

望ましい行動を増やす好子、減らしてしまう嫌子

観察した行動に対して、すぐフィードバックするのが重要です。良い行動は褒めることで、さらにその行動をするようになる。せっかく良い行動をしても何の反応もなければ、別にやらなくていいか、となってしまいます。レスポンスの速さがとても重要です。この、行動とフィードバックというのは、相補的な関係にあります。

上司があなたの失敗を怒鳴りつけたとき、どうするでしょうか。ひとまずごめんなさいと謝って、それから次は失敗しないようにしよう、と思うかもしれません。次は怒鳴られないように失敗を隠すかもしれません。怒鳴ったことが失敗を減らすことには結びつくとは限りません。

でも、上司は怒鳴ったことであなたが謝ってくれたので、これは効果があったと認識します。あなたが謝ったことは、上司が怒鳴るという行動が望ましい結果をもたらした好子として働きます。だから次も上司は怒鳴るのです。だから、怒られても謝ってはいけないんです。

その行動をすることで、望ましい結果が増えるのか減るのか、常によく観察する必要があります。

じゃあ失敗した部下を野放しにしていいのか? 厳しくしないとだらけるだけではないか? と思う人が多いです。ただ、それは厳しくした結果、部下が従順な態度を示すから効果があると感じているだけで、本当に生産性が上がっているかどうか調べると、怒鳴るという嫌子によって人のやる気を高めることは困難だということが分かっています。結局、ただ上司が怒鳴って気分良くなりたいだけなんです。

だから、行動と品質を切り分けましょう、と本書では言われています。まず失敗を報告してくれてありがとう。そして失敗してしまったことについてはどうしたら良かったか一緒に考えよう。というのが望ましい行動を増やすのではないかと思われます。

部下も「今は冷静にお話ができないようなので、またあとでご報告します」など、上司が怒鳴ることを正当化しない行動が大事なようです。ちょっと大変そうだけどね。

褒めよう

嫌子で人を制御するのではなく、好子で人を動かそう、ということで、具体的にやるべきことは、褒めることです。褒められた人の行動は、段階に応じて以下の3つに分類されるそうです。

言われた通り行動
ルールを守ったら褒められた。褒められてうれしい。とりあえず理由は分からないけど言われたことに従っておこう。

確かにそうやな行動
ルールを守ったら、なんかいいことが起きた。あ、ルールを守るのってこんな意味が込められてたんだな、と気付く。

そんな気してきた行動
ルール通り行動してたけど、上司から追加で「実はこんなところにも役立ってるんだよ、ありがとう」とか言われて、あ、そんなに喜んでもらえてたんだ、じゃあもっと頑張ろう、って更に加速する。

こうやって、「えらい!」「すごい!」と言っていると、人々はどんどん頑張って加速していくようです。これこそ心理的安全性のあるチームが強くなる秘訣です。

品質を上げるための育成法は?

叱らずに、どうやって能力の低い部下を育成すればいいのか。本書ではプロンプトという育成法を紹介しています。

・一緒にやる
・手本を見せる
・マニュアル・図解
・ステップ毎の指示
・問いかけ(次はどうする?)
・ちょっとしたリマインド

上の6つのステップがあって、上に行くほど指導効果は高いけれど大変なので、少しずつ下に移行していきましょう、というもの。

何か相談してほしいときも、具体例を出して質問を投げる、このステップで分からないことはありますか? このアイデアに対してどう思いますか? とした方が意見が出てきやすい。なぜ?どうして?という質問は叱責と反省を促す嫌子となるので、何が?どこが?という具体的な問いかけを心掛けましょう。

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