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【のーがたのーと】味の決め手は手作りソース!心もおなかも満たされる商店街のお好み焼き屋さん/「鉄板ハウス 丸ちゃん」丸岡満津子さん


広島県で生まれ育った筆者は無性にソースの味が恋しくなる瞬間があるのですが、商店街に広島風、関西風、両方のお好み焼きを楽しめるお店があると聞き、取材に行ってきました。




手作りのソースがしたたるほどかかったお好み焼きを食べられる「鉄板ハウス 丸ちゃん」。
お店を切り盛りしているのは丸岡満津子さんです。お好み焼き店の前に洋服屋、肉屋などさまざまな商売を50年以上営んでこられた満津子さんのお店への思いをお届けしたいと思います。

こだわりのお好み焼き


とのまち通りにある交差点の一角に「鉄板ハウス 丸ちゃん」はあります。入口にかけられた「広島風 関西風 お好み焼」と書かれた赤いのれん。
 
満津子さんの明るいお人柄を感じることができますね。


インタビュー中の満津子さん

取材当日は商店街のイベントの「五日市」が開催されていましたが、店頭販売には購入客が絶え間なく訪れていました。 

「お客さんは常連さんが多いです。お仕事のお昼休憩中の方が3、4人でお見えになることが多いかな。五日市の時も毎回来てくださる方もいますね。やっぱり味を気に入ってもらって、何度も足を運んでもらえるのはうれしいです。」  

シンプルな広島風お好み焼き、関西風お好み焼き、焼きそばはもちろん、シーフードと金箔が入った「超デラックス」という豪華なメニューもあります。 この店の味の決め手は満津子さん手作りのお好みソースです。自慢の手作りソースです。

 「このお店を始めるときに何度も研究を重ねて作りました。研究することが好きで、リンゴなどの7~8種類の材料を使って作っています。今でも私が週に2~3回作っていますよ。ソースはかなり評判がいいですね。」

 この手作りソースですが、毎週のようにお好み焼きを食べてきた私でも、びっくりするほど美味しいものでした。市販のものと比べ濃厚かつ甘くて、どんどん箸が進むおいしさでした。 そして何より驚かされるのはその値段。2人で食べても満足できそうなほど大きいのに、なんと一枚550円。近年の物価高を感じさせない値段設定になっています。 

「やっぱり値段で勝負したいという気持ちは強い」 

と満津子さんはかみしめるように語りました。


丸ちゃんの広島風お好み焼き 

なぜ直方でお好み焼き屋を?


「出身が広島県、そして私の姪っ子も博多でお好み焼き屋をしているんです。」
 
広島の親戚の家に泊まり込み、駅前に何件も並ぶお好み焼き屋に通い詰めていたそうです。その過程で「ソースが一番の味の決め手だ!」と気がついたそう。
 
満津子さんは洋服屋、肉屋そしてお好み焼き屋と合わせて50年以上商売をしてきたそうです。

「商売が楽しいんです。好きじゃないと続けられていない。じっとしていられない性分で、昔は寝る間もなく働いていた。一日3~4時間睡眠くらいだった。」

病気を乗り越え、次の世代へ


丸岡満津子さん(真ん中前列)とご家族とスタッフさんたち

「鉄板ハウス 丸ちゃん」の歴史のなかで大きな出来事は
満津子さんが脳卒中で倒れてしまったことです。
幸い、開発していたお好みソースは完成した後だったそうですが、病気になった後は以前のように元気に店に立つことが難しくなったそうです。
 
「営業時間が昼だけになるのは昔の自分だったら考えもしなかった。本当はもっとお店に立ちたい」
 
少し悔しそうに語る満津子さん。

ただ、現在お店の運営は娘さんや息子のお嫁さんが良く手伝いに来てくれるらしく、繫忙期にはお孫さんにも手伝ってもらいながら行っているそう。
 
「今度、息子が会社を辞めて受け継いでくれる。とてもうれしい。受け継ぐときまではお店を守りたい。」
 
家族の協力があるからこそ、お店を通じて家族の絆が深まり、温かいお店の雰囲気につながっているのだとこの時感じました。

これからの直方、そして人生を振り返って


直方商店街で毎月開催されるイベントの「五日市」がある日は毎回大忙しだそうです。

「当日朝早くから休む間もなく焼き続けて販売しているけど、全く追いつかない。2時ごろまでずっと鉄板で焼き続けている。」

「たくさんの常連さんのお客さんもできて本当にありがたい。ただ、もっと多くの方にも丸ちゃんのお好み焼きを味わってほしい。せっかく近くにきれいな河川敷もあって、長いアーケードもあるから、もっと活気が戻ってくれたら嬉しい。」


五日市の様子 

脳卒中になってあまり出歩かなくなったそうだが、多くの店のシャッターが閉まってしまった商店街を見て少し寂しい気持ちになるそう。
 
「これからお店を継いでくれる息子にはとにかくお客さんを大切にしてほしい。笑顔で迎えて、笑顔で送り出すのが一番」
 
最後に満津子さんの人生を振り返り、お話をお聞きしました。
 
「私はその時々の商売を本当に楽しんでやってきた。お客さま、周りの方に恵まれて、いい人生だったし、商売を楽しんでやってきて本当によかった。」
 
何十年も商売を楽しみ、そして跡継ぎにも恵まれとても幸せそうな満津子さん。これからも「鉄板ハウス 丸ちゃん」は直方商店街で親しまれ続けるでしょう。


店舗情報

「鉄板ハウス 丸ちゃん」
営業  :10:30~13:30(定休日 水・土・日・祝日)
住所  :〒822-0017
     福岡県直方市殿町16-19
     直方駅から徒歩8分
電話番号:0949ー22ー1546


文・編集:前田若葉
取材  :黒岩建杜、江村友里、前田若葉 
撮影  :前田若葉


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