夜明け前、うごめく生命のような世界-DANROを描く-
人と人とのつながりの中には、”目には見えない温かさ”がある。その温かさが増し、循環する時、きっと、世界は今よりもっと明るくなる。そんな想いからDANROは生まれました。
先日、11月1日に公開されたDANRO公式WEBサイトを彩る4枚の絵。これらは、【「対話」から生まれるアート】をコンセプトにアーティスト活動をされているKayoさんに、DANROを表現して頂いた作品です。
今回は、この絵に描かれているDANROについて、Kayoさんの込めた想い・背景をお聞きしました。
About the Artist
温かくなる前の夜明け
━━DANROの絵は、どのようなイメージで描かれたのでしょうか?
Kayoさん:DANROを表現するにあたって、改めて創業者のHIROさん、和花さんからお話をお聞きしたんです。そのなかで、
など、印象に残った言葉を全体的なキーワードとして4枚の絵に描いていきました。
━━Kayoさんには、「DANROの世界」はどう写りましたか?
Kayoさん:そうですね。「それぞれの個性が、その人らしく輝き出す世界を描いている」そんなふうに感じました。自分自身が、より個として立ち上がったり、そうすることで個が共鳴し合ってエネルギーが波及していく。そんなイメージでしたね。
「対話」というキーワードに共鳴して出会うことができたDANROの第一印象は、色合いとして”温かいイメージ”だったんです。でも、改めてVISIONや世界観をお聞きしていくと、どちらかと言うとクールというか、”温かくなる前の夜明け”のような印象を持ちました。
Kayoさん:DANROは、対話スクールやリトリート、子ども・親子を対象にしたDANRO CHILDRENや、いろんな手段と対話を掛け合わせたイベントを開催していますよね。それらのツールや人との関係性から生まれる対話を通して、「自分は一体何者であるのか」を体感できる場をつくっている。
「温まれば、自ずと輝き出す」それまでの場を大事にしているというお話を聞いて、明るくなっている状態の少し前、まだ何色にも染まっていないフレッシュさだとか、凛とした空気感だったりとか、そんな雰囲気からブルー系を主体に選びました。
DANROを表現する時に「波動」とか「世界と繋がっている」というような海を連想させる比喩が多かったので、そこも起因しているかもしれないです。
Kayoさん:より”夜明け前”を主体にしたものが、この作品です。お互いが、これから何かにカタチづいていくけれど、まだそこには至っていない。でも、そこにはすでにエネルギーがあって。
これから温まるにつれて、個としてカタチづくられていくような、「ここからまた、何かが浮かびあがっている」うごめいている様子。色としては暗いけれど、満ち溢れている世界観を表しています。
━━静かなようで、そこには何かとてつもない生命力を感じるような…。一方で、メインビジュアルとなった絵は、この2枚とはまた少し異なり、かつ”2枚が連なる作品”なのも驚きでした。
Kayoさん:実はこの2枚、別々に描いた絵ではあるけれど、繋げることで深さや広がりが見えるのがDANROのようだなと思って、そう提案させて頂いたんです。
青の濃淡だったり、海底から上がっていくと、暖炉のような火が待っているような。
その「何かになりそうでならなくて、生き物のようにも見えるけど、なんだろう?」みたいな。最後に、個が個として輝き出した瞬間、その一瞬を捉えたような作品のようにも感じられるかもしれません。
━━なるほど。抽象画特有かもしれませんが、Kayoさんのお話を聞く前と聞いた後と感じる印象が変わったり、見ればみるほど、その感じ方も見え方も変わりますね。
Kayoさん:人によって、見え方は変わっても良いと思っています。むしろ、自分の今の感覚・感性に従って楽しんでもらいたいですね。
━━この絵を通して「今の自分は何を想うのか」そんな対話が生まれそうですね。
何層にも重なる世界
━━今回、Kayoさんは1枚ではなく4枚の作品を仕上げられました。それには何か意図があったのでしょうか?
Kayoさん:実は、すごく悩んだんです。DANROの世界観というか、おふたりが話していることがあまりにも壮大で、どう具体化していこうかと。
Kayoさん:描いても「これじゃないな」って、納得がいかないことがしばらく続いて。録音したものを何度も何度も聞きながら、膨らませてはまた描いて、「これはこうかも」って解釈を深めて…。
その過程で生まれたものが、例えば1枚目と3枚目はDANROの全体観を引きで見ているような、2枚目は「この瞬間は」という細部を描いているようなものだったんですね。
DANROには、そんな何層にも重なったいろんな世界があるから、その全てを1枚にというよりも、この4枚がDANROだと思ってお渡しさせて頂きました。
DANROと共鳴した想い
━━今回の制作を経て、Kayoさんの思う「DANROの世界に触れて欲しい人」とは、どんな人だと感じましたか?
Kayoさん:自分の人生と真摯に向き合う人。それは、私が絵を通して伝えていきたいこと、届けて行きたい人とも共通するかもしれません。今回の制作に時間がかかった理由も、DANROが、私自身が大事にしている想いとも重なったから。思い入れが強くなったのかなとも感じています。
━━”Kayoさんが大事にされている想い”とは?
Kayoさん:私は、その人が「生きたい」という願望だったりとか、「命を全うする」って言ったら大袈裟かもしれないけれど、それぞれの人が、その人の命を”生き切る”ということを後押ししたいと思っていて。
私たちって、ある程度社会の枠組みになぞって「こんなもんかな」って妥協したり、自分自身を見くびったり。
「本当はこうしたいけど、周りの状況を見ると無理だよね」って萎縮してしまったりだとか、社会の雰囲気や人間関係に影響されて、本来の自分じゃないところに辿り着いてしまう人も多いと思うんです。
━━Kayoさん自身も、そのご経験が?
Kayoさん:ありましたね。まさに今(インタビュー当時の8月)「本当に妥協していないだろうか?」と考えさせられたことをきっかけに、3ヶ月間のアーティストインレジデンス(滞在制作)に来ました。
何からも属していない時間と空間に身を置くことによって、「本当は私はどうしたいのだろうか?」についてより真摯に向き合う時間を、自分自身にプレゼントしています。
Kayoさん:でも、人間って何度も何度も脱皮をしながら生きているような気がしていて。「こんな自分、もう手放そう」って、怖いけど手放して、冒険が始まって、また壁にぶつかって、また脱皮して、みたいな。
その脱皮するきっかけだったり、怖くて動けないなと思っている人に対して「大丈夫だよ」って後押しをしたい。私は、そのきっかけづくりを、絵を通してやっていきたいですし、私自身もそれを体現できているような人間でありたいなと。
DANROは、場を整えることで、個が個として立ち上がり、それぞれの生き方を大切にしつつも、結果周りにも良い影響が波及していく。手段が違うだけで、本質的な部分は似ているなぁって思います。
━━想いで共鳴したKayoさんとDANRO。今回の作品はまさに、個が波及した先で生まれた”良い影響”のうちの、ひとつの証明なのかもしれませんね。
あとがき/インタビューを終えて
アート・イン・レジデンス(滞在制作)で北海道を訪れていたKayoさんは、インタビュー中にこんなお話もされていました。
この写真とDANROを描いた作品は、視覚的に見えているものこそ違うけれど、捉えられるものは同じだな、とも感じます。
それぞれが当たり前にできている”自分を生きる”ことを、もっと体感することができたなら、世界は今よりもっと、明るくなる。今回のKayoさんのインタビューから、改めてDANROの可能性を感じました。(インタビュアー/記事:廣田 彩乃 )
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