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精索静脈瘤に用いられる漢方薬やサプリにはどういうものがあるのかという話

アメリカでは不妊治療の前に、まず精索静脈瘤かどうかを検査し、確認されれば治療するというのがガイドラインとなっています。

それほど男性にとっては珍しくないわけです。

そもそも精索静脈瘤の予防方法や対策はあるのか?

ありません。

精索静脈瘤にならないことが一番なのですが、残念ながら精索静脈瘤を予防する方法はありません。

精索静脈瘤は静脈が滞り、血流が悪くなることで精巣の温度が上昇し、熱に弱い精子が影響を受けることで不妊へと繋がります。

対策としてお風呂あがりに冷たいシャワーを睾丸に当てるという人もいるかもしれませんが、あくまでも一時凌ぎにしかなりません。

精巣は唯一体外にある臓器になります。

それは体温よりも2度低い状態が最も精巣が活発になれる温度であり、体温調節をするために股間にぶら下がっているのです。

熱に弱いので冷やすという考えになるのはわかりますが、精索静脈瘤の場合は常に温度が高い状態になるわけですので、1日中常に冷やしているわけにはいきません。

精索静脈瘤 2つの治療方法

精索静脈瘤の治療方法は2つです。

薬物療法と手術になります。

精索静脈瘤はその進行具合によってグレードが3段階に分けられます。

最も軽度なグレード1と2については薬物療法で改善できる可能性があります。

しかしグレード3とグレード3に近いグレード2の場合、手術をしないと治療することは厳しいと思ってください。

そのまま放置することで最悪の場合、精巣が萎縮し、無精子症になります。

精索静脈瘤に用いられる漢方薬とサプリ

精索静脈瘤の改善を期待して処方されるものには漢方とサプリの2種類があります。

誰しもできれば手術をしないで改善したいと思うのは当然で、グレードがまだ低い段階であれば改善の可能性はあります。

ただし、グレードが高く、進行してしまっている状態では薬物療法では改善の可能性は低いので、その場合は医師と相談の上、手術に踏み切ることになるでしょう。

まだあなたや奥様の年齢が若かったり、グレードが低い状態であれば、まずは薬物療法から始めてみるのも1つの手だと思います。

実際に、病院でも薬物療法からスタートするところは多いです。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

精索静脈瘤を瘀血と考えて用いられる第一選択の漢方です。けいしぶくりょうがんと読みます。

瘀血とは、オケツと読み停滞している状態の血液。また古い血が滞ること。

精索静脈瘤の男性に桂枝茯苓丸(7.5g/日) を3か月以上投与して、投与前後の精子を調べる。精索静脈瘤の消失率 80%、精子濃度の改善 71.4%、精子の運動率の改善 62.1%と改善傾向が見られた。

桂枝茯苓丸は精索静脈瘤の改善を期待され、まず処方される最も有名な漢方になります。

上記研究結果からもわかるとおり、ある程度の長期服用が必要ですが、精子は精巣で形成され射精までに3カ月を要することを考えれば至極当然です。

研究では精索静脈瘤消失率80%となっていますが、当然個人差があり、改善できない人もいらっしゃいます。

それでも、手術は怖くて嫌だ、できれば手術しないで治したい、手術するお金や時間もない人にとっては是非検討してみる価値があると思います。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

桂枝茯苓丸による治療効果があまり見られない場合に使用されます。とうかくじょうきとうと読みます。

桂枝茯苓丸と似ていますが、違いとしては、便がもともと緩い、下痢をしやすい、腹部が冷えて動かない、そんな方には桃核承気湯は余り良くありませんので、桂枝茯苓丸などを含む他の処方にした方がいいと思われます。

桃核承気湯を使用し2か月後の精液検査で早くも濃度、運動率、奇形率ともに改善がみられ始め、8か月後に自然妊娠が確認されました。手術はせずに済みました。

こちらはツムラのHPからですが、精索静脈瘤で手術を迷っている男性が桃核承気湯を服用したことで改善し、自然妊娠できたというものです。

漢方は一応医薬品ではありますが、体質改善が目的であり、体質に合わない人が服用しても全く効果がないので注意してください。

コエンザイムQ10

コエンザイムQ10は様々な不妊治療に用いられるサプリメントとして非常に有名で多くの病院やクリニックで処方されます。

コエンザイムQ10はグレード1など軽度の精索静脈瘤の男性不妊患者の抗酸化能力を高めて、精子濃度や精子運動率を改善させることがイタリアで実施された試験で確かめられました。

イタリアのマルシェ科学技術大学の研究者らのグループは、精索静脈瘤の男性不妊患者38名を対象に、コエンザイムQ10を1日100mgを3か月にわたって摂取してもらい、摂取の前後の精液検査結果や抗酸化能力を比較。
その結果、平均の精液量は3.0mlから4.0mlに、精子濃度は3,550万/mlから4,260万/mlに、精子運動率は20.1%から28.4%に、それぞれ改善されました。平均のトータルの抗酸化能力も106.6から148.4に向上。

コエンザイムQ10は元々は精索静脈瘤や不妊のためのサプリではありませんが、抗酸化作用やミトコンドリアでのエネルギー産生に深く関わる事からこの試験でも用いられた形となっています。

精索静脈瘤の程度がまだ軽い場合や、手術をせずに妊娠を目指す男性にとっては酸化ストレスを軽減し、精子を良くするためにコエンザイムQ10は非常に効果が期待できるサプリだと思います。

日本でも多くの病院やクリニックで男女共に不妊、人工授精、体外受精、顕微授精で妊娠率を高める為の療法として用いられています。

個人的には漢方よりもコエンザイムQ10服用の方が一定の効果が期待できると思います。

実際、私が精子を改善した方法のうちの1つにこのコエンザイムQ10が含まれています。

男性は病院が嫌いです。

またプライドのせいで傷つくことが嫌で検査をするにも抵抗がある生き物です。

奥様が旦那様にサプリをプレゼントするのも素敵なことですし、最初は取り掛かりやすい薬物療法からスタートするのもいいと思います。

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