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ダウン症や自閉症は男性の年齢・精子の劣化で確率が変わるという話

今回はダウン症に関してです。

いやいや、まずは妊娠してからって思う人もいるかもしれませんが、年齢や精子の状態がそのままリスクに繋がります。

ですから、早期妊娠を目指してほしいため書きます。

ダウン症の年齢別確率

妊娠はその全てが喜ばしい内容だけではありません。妊娠したらしたで、無事出産を終えるまでダウン症や染色体異常など心配事は尽きません。

このダウン症や染色体異常は生まれつきだからどうしようもないと考える人もいますが、年齢によって大きくその確率は変わります。

以下をご覧ください。

左がダウン症の子が産まれる年齢別の頻度。右が染色体異常の子が産まれる頻度を表しています。

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例えば、30歳女性が出産した場合、952人に1人の割合でダウン症の子となりますし、35歳で382人に1人、49歳だとなんと11人に1人の割合でダウン症となります。

染色体異常も同様に、高齢であればあるほど、その割合は高くなります。

高齢出産は、その低い妊娠率ばかりが目に入りがちですが、ダウン症や染色体異常のリスクが非常に高くなることの方が寧ろ問題です。

ダウン症かどうかを出産前に診断することは可能ですが、もしダウン症であると診断された場合、決断をくだせるのかどうかも考えておくべきでしょう。

ダウン症候群の出生数は上がっているのか?

日本は先進国でも最も出産年齢が高い国の1つです。

年々、出産年齢が高くなっているのでダウン症の出生率が上がっていると思われるかもしれませんが、実際には横ばい状態です。

ただし、日本ではダウン症候群の出生数は公的な登録システムがなく、実際の出生数の動向は不明です。

ですので出産届をもとに報告されている出産母体の出産時年齢と出生数から、単純に予測されるダウン症候群の出生数に出生前診断の影響を加味してダウン症候群の出生数を推定しているに過ぎません。

何故横ばいなのかは定かではありませんが、NIPTをはじめとする出生前診断が徐々に浸透していることが考えられます。

NIPTは簡単にほぼ確定検査並みにダウン症を判別できますからね。

精子の劣化がダウン症に関係

卵子の劣化・老化という言葉はよく耳にするかもしれませんが、精子も同じく劣化・老化します。ただし卵子より顕著ではありません。

そして、精子の老化はDNA損傷や配列変異が増加して、ダウン症等の傾向が見られるとされる報告が非常に多い。(確定というわけではありません)

アイスランドの78組の両親と子どもの全遺伝情報(ゲノム)を解析した研究で、父親(平均年齢30歳)の年齢が高い子どもほど、染色体を構成するDNA配列の変異が起きやすいことがわかった。研究チームは「父親の年齢が高いほど子どもの自閉症や統合失調症が増えるとの報告があり、関係している可能性がある」としている。
ドイツなどの研究者が世界の研究を分析したところ、自閉症や統合失調症以外にも、父親の年齢が高いと小児がんや1型糖尿病などのリスクが高まった。「少なくとも40歳より上では、妊娠率の低下や流産の増加、子どもの病気の増加に関与する」と結論。

ただ、上述で確率を出しましたが、大部分の子供は健康な状態で生まれてきます。若ければゼロとはなりませんが、どのような結果が生まれたとしても覚悟を持って産むという気持ちが重要です。

一昔と違って男性も若いころから子供を産んで育てるという人生をしっかり考えていく時代なのかもしれませんね。

高齢出産と自閉症の論文・研究

最後に世界の論文等を見てみて下さい。自閉症との関係です。

スウェーデンの研究

2015年にスウェーデンのカロリンスカ研究所が2004年から2009年にかけて、デンマーク、イスラエル、ノルウェー、スウェーデン、オーストラリア(西オーストラリア州)の5カ国で生まれた子供576万6794人(うち約3万人以上が自閉症児)を対象に調査を行いました。論文:Large age-gaps between parents increase risk of autism in children 

この結果報告は以下になります。

・20歳代の父親から生まれた子供よりも、50歳以上の父親から生まれた子供の場合、自閉症である確率が66%増加。同じく父親が40歳代の場合は20歳代に比べて自閉症の子供が生まれる確率は28%増加している。
・20歳代の母親から生まれた子供よりも、40歳代の母親から生まれた子供の場合に、自閉症である確率が15%増加している。また20歳代の母親から生まれた子供よりも、10歳代で生まれた子供場合、自閉症である確率が18%増加している。
・両親の年齢が共に高い場合、自閉症の子供が生まれる確率は高くなる。
・両親の年齢に差が大きいと自閉症の発生率が高い。最も発生率が高かったのは父親が35歳から44歳までの間で、母親が10歳以上年下の場合。また、母親が30代で、父親が10歳以上年下の場合にも自閉症となる率は高かった。

マウントサイナイ医科大学の研究

2006年にアメリカのマウントサイナイ医科大学が、1980年代にイスラエル生まれた子供31万8506人を対象に調査を行いました。論文:Advancing Paternal Age and Autism

この調査では父親が15歳から29歳の場合に子供が自閉症となる確率は0.056%、父親が30歳から39歳の場合に子供が自閉症となる確率は0.095%、父親が40歳から49歳の場合に子供が自閉症となる確率は0.32%、50歳以上では0.53%と報告しています。

調査結果から、父親が29歳以下の際に生まれた子供に対し、父親が40歳以上の際に生まれた子供は自閉症となる確率が5.75倍以上高くなるとなっています。

どちらも父親の年齢が高い場合に焦点が当たっています。

こういう研究結果があるからといって怖がる必要もないのですが、男性の年齢もリスク回避には重要なんだなという考えが少しでも芽生えてくれればと思います。

若く妊娠を目指す=妊娠しやすい・出産しやすい・リスク回避できる。

いい事ばかりですよね。


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