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014 方言

 日曜の朝、NHKラジオ第2放送「方言と日本のこころ」を聴き始めた。和歌山大学澤村美幸先生の担当である。先生は、山形のご出身。先日の第2回の放送で、山形出身のシンガーソングライター山口岩男さんが作曲・作詞された方言丸出しの歌が流された。先生が聴く準備を促してから流されたのであるが、全く理解できなかった。いや、そのレベルではなく、自転車(ずてんしゃ)以外の単語が聞き取れなかったのである。感動である。学生時代に九州や東北を旅行して、おじいさんおばあさんが話しているのを聞いて、さっぱりわからなかった経験はあるが、その時はそのことが当たり前のような気がしていた記憶がある。これから、この番組がどのように展開されていくのか興味津々である。早速、テキストを手に入れた。
 方言は明らかに「言語」に直結している。つまり、日本語とか、朝鮮語とか、中国語とか、ギリシャ語とか・・・そういうものと繋がっているということである。我々の先入観として、日本語の中に方言があるというようなイメージがあるが、それは違う。日本語は、国家権力によって作り出された人工語である。日本の場合は、具体的には明治政府である。
 言葉は放っておくと、どんどん拡散して地域性が高まっていく。どのくらいの集落で通用すれば良いのかは、当然時代と共に変わっていく。古代では、数百人から数千人程度。同じ集落から分かれても100年も経てば通じなくなる。江戸時代では当時の村単位であろうか。政治の単位は藩であるから、藩内ではある程度通じたかもしれないが、藩外へ出るとどうだったのか。江戸城での会話はどのようであったのか。何語を話していたのか。
 明治政府による日本語の浸透は、侵略と支配の浸透でもある。

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