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第2回:202030に思うこと

【理事長コラム】NPO法人 浜松男女共同参画推進協会 理事長 井出あゆみ

政府は202030(にいまるにいまるさんまる:2020年までに指導的地位における女性の割合を30%にするとした、2003年から掲げてきた政策)を、このほど2020年7月21日に断念してしまいました。

目標年度を迎えたけれども女性の参画率は低いままで、達成には程遠いとみたのでしょう。はっきりした数値目標を外したうえ、目標の先送りをしました。残念ですね!男女共同参画社会には、意思決定の場(指導的地位)での共同参画が一番大事なんですけどね。

「男女共同参画社会基本法」にある男女共同参画社会の定義には、「男女が、・・・自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、・・・」とあります。この定義には、「参画する」「確保され」と動詞が二つあります。「自らの意思によって」は「参画する」にはかかっていきますが、「確保され」にはかかりません。

実際、「参画する機会の確保」は、自らの意思によるのではなく、機会を提供してくれる他者の手に委ねられています。自ら意思をもって参画しようと思っても、その機会が確保されていなければできないですよね。「確保された場」でしか、「参画」できない。参画できるのは機会が確保されているときです。

メディアなど色々な場面で、単純に「女性の参画が遅れている」と表現されることが多いですが、丁寧にみれば、遅れているのは「女性の参画」ではなく、女性参画の「機会の確保」ではないでしょうか。「女性参画の機会の確保が遅れている」と丁寧に表現してほしいなと思います。

男女共同参画社会は社会の構造上の問題でもあるので、社会構造の改革なしには実現できません。そして社会構造の改革は、それができる権限のある人たち(現在、社会の指導的立場にある人たち)にしかできないんじゃないかと思います。

この度の政策の断念に関して、政府は、目標達成できなかった要因が、参画しない側よりも、機会の確保をしない側のほうに大きくあるということを、強く認識してくれていたでしょうか?
現在社会の指導的立場にある人たちは、機会の確保に対しての取組みが足りなかったことに、責任を感じてくれているでしょうか?

そのことを強く認識していただき、もっと抜本的な対策を取ってほしいものです。ちょっと熱くなってしまいましたけど、これって了察・・・ではないかしら!

NPO法人浜松男女共同参画推進協会
浜松市を拠点に男女共同参画、ジェンダー平等、女性活躍推進などの課題に取り組んでいます。浜松市男女共同参画・文化芸術活動推進センター(あいホール)の管理運営を担っています。
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