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トレーナーで生きていく ・ 独立編 vol53
第53話「トレーナーの専門性。」
ユウタはリョウからパーソナルトレーニングのスキルについて教わっていた。
ユウタ「なるほど、パーソナルトレーニングならではのサービスじゃないと意味ないですもんね。。」
リョウ「そうや、それが最低限できたら今度は専門性も必要やし、反対に難しい事をわかりやすく伝えられる技術も必要やな。」
ユウタ「なんですか?それ?」
リョウ「うん、例えばやな。脚を細くしたい人に筋肥大のトレーニングはさせんよな?」
ユウタ「はい、それは。。」
リョウ「そしたら何をしてもらう?」
ユウタ「え、それはアレですよ。あの。。ねー?」
リョウ「何やねん。。まー、えーわ。そんくらい難しいお題やからな。」
ユウタ「はい、難しいですよね。ちなみに答えは何ですか?」
リョウ「その人の脚による。」
ユウタ「。。」
リョウ「これが専門性や。」
ユウタ「なるほど。。で、例えばどんな種類とか方法とかあるんですか?」
リョウ「例えば、脂肪率の高い脚と筋肉質な脚じゃトレーニングメニューや改善のアプローチは変わるやろ。」
ユウタ「はい、そうですね。」
リョウ「更に脚の形にもよるわ。立体的に見て色々な検討をせなあかん。」
ユウタ「??」
リョウ「ムクミや皮膚の厚みなんかも無視したらあかん。」
ユウタ「??」
リョウ「これが専門性や。『痩せたら細くなります。』『筋トレしたら細くなります』は誰でも言えるねん。その先まで提案と提供ができる知識と技術と経験があるからオンリーワンのトレーナーになれるんや。」
ユウタ「なるほど。。でも脚を細くするトレーニングとかってどこで勉強したら良いんですか?」
リョウ「そんなマニュアルを作っとる人間は世界中探してもそないおらんと思うぞ。」
ユウタ「え、でも本や動画で良くみますよ!?」
リョウ「それを君は信じるんか?」
ユウタ「あ、いえ、それは、やっぱりちょっと無いかな。。」
リョウ「なんでや?」
ユウタ「はい、ちょっと専門性に欠けると言うか。。」
リョウ「専門性はあるかもしれん。それなりの先生が書いとる場合もあるやろしな。」
ユウタ「。。」
リョウ「せやけど、本や動画に載せとるんは情報のほんの一部に過ぎるんや。それが全ての人間に当てはまるわけやない。」
リョウ「しかも、全ての人間の脚に少しでも寄せようとして書くから情報がありきたりなんや。トレーナーがわざわざ見るもんやない。」
ユウタ「はぁ、でも間違った事も書いてないんですよね?」
リョウ「そうや、参考になる事も沢山書いてある。参考になる事はどんどん取り入れたら良いけど、本や動画だけの情報をお客様に当てはめるんは危険ちゅうことや。」
ユウタ「うーん、ムズイな。。リョウさんはどうやってそう言うのを学んだんですか?」
リョウ「まだまだ学んどる最中や。終わりはないよ。基本的な解剖生理学や機能解剖学を頭に入れてマニアックな情報も取り入れて、それを元にお客様に試してもらう、そこから得たデータを参考にしてまた違うお客様にあてはめてみる。これの繰り返しや。」
ユウタ「試す?」
リョウ「そうや、それしかない。」
ユウタ「いいんですか?」
リョウ「100%なんかありえん。せやからできる限りのデータを集めて、お客様の体と動きを観察して最良と思う事を提案する。」
リョウ「それをできる限り忠実に行ってもらうようにモチベーションを管理したり、行動変容を促したりするんがトレーナーの仕事なんや。」
リョウ「本や動画だけじゃ学べんよ。場数踏んでお客様を観察せんとわからん。」
ユウタ「。。。」
リョウ「しかも、それをできるだけわかり易く伝えなあかん。伝わらんかったら例え良いメニューでもやってもらえん。」
リョウ「わかるやろ?」
ユウタ「なるほど。。が、頑張ります。。」
リョウ「おお。あー、ストレッチ気持ちえかったー。まっ、直ぐには身に付かん事やから気長にやったらええわ。」
ユウタ「はい!ありがとうございます!」
リョウ「ユウタくん、今日のレッスン終わりやろ?この後フリーウエイトやろうや!」
ユウタ「まだやるんですか?!」
リョウ「当たり前や。」
ユウタ「。。」
ユウタはまたひとつパーソナルトレーナーの奥深さをリョウから学んだ。
そんなユウタのスマホに信じられないメールが届いていた事をこの時まだ2人は知らなかった。
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