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トレーナーで生きていく ・ 独立編 vol.42

第42話「リョウの出張トレーニング⑤」

第一話はこちら

リョウの出張トレーニングに同行するユウタ。2人は目的地の軽井沢に到着する。

ユウタ「着きましたね。ここで待ち合わせすか?」

大きな駐車場に停車している。

リョウ「おお、あと30分くらいやな。」

ユウタ「はい。」

2人はストレッチなどしてクライアントの到着を待つ。

リョウ「お!あの車や。」

リョウは近づいてくる車に手を振る。ユウタは頭を下げる。

リョウの車の隣に黒く大きな車が止まる。

中から2人の男が現れる。

1人は50代くらい、1人は20代に見える。

リョウ「おはようございます。」

ユウタ「おはようございます!」

リョウ「彼、同行させて頂く鈴木ユウタです。」

リョウはクライアントにユウタを紹介する。

リョウ「ユウタくん、こちらサトシさんや。そしてマネージャーの田中さん。」

同様にクライアントをユウタに紹介する。どうやら若い方の男性が今回のお客様のようだ。

ユウタ「あ、鈴木ユウタです!今日はよろしくお願いします!」

サトシ「こちらこそ。」

クライアントの情報は一切聞かされていなかったユウタ。サトシが自分と同じくらいの歳である事に驚いていた。

田中「それではリョウさん本日もよろしくお願いします。私は先に車でゴールへ向かいます。」

リョウ「あ、すみません、田中さん、車にオレ達の荷物を載せていってもらっても良いですか?」

田中「はい、構いませんよ。お預かりします。」

そう言って田中は車に乗り込み、早々と駐車場から去って行った。

田中が去り3人に微妙な空気が流れる。

リョウ「始めよか。」

サトシ「はい!」

ユウタ「あ、はい!」

突然3人に緊張感が走る。

リョウ「そしたらストレッチからや!ほい、声出して行こ!」

リョウは2つ手を叩く。

サトシ「はい!」

サトシが被せるように声を出す。

ユウタ「あ、はい!」

遅れてユウタが声を出す。

3人「いち!に!さん!し!、、」

サトシの声が特に大きい。その声に負けないように声を張り上げるユウタ。

部活を思い出させる古風な準備体操だった。だがスタートして1分も経たない内にユウタは強い疲れに襲われる。

ユウタ(あれ、なんか体が変だ。。息がしずらい。。山だからか。。?)

3人「ご!ろく!しち!はち!、、」

リョウ「おし、準備体操終わりや!ランニング!」

サトシ「はい!」

ユウタ「は、はい!」

3人は駐車場から出て山の方へ登る。

ユウタ(。。ペースが速いな。どのくらい走るんだ?聞いてみよう。。)

ユウタ「リョウさん!どのくらい走るんすか?」

大きな声が山に響く。

リョウ「20キロ。」

ユウタ「に、にじゅー!?」

リョウ「おお、がんばれ!」

サトシ「。。。」

ユウタ(い、いや。。リョウさんの冗談かもしれない。。いくら何でもこのペースで20キロはありえない。)

ユウタは半信半疑のままランニングを続けた。3キロも走ったらリョウが止まって『焦ったやろ?』と微笑みかけてくれるに違いない。そう思っていた。

ユウタ(はぁ、はぁ、まだかな、まだかな。。)

2キロを過ぎたところでユウタに限界が来た。

ユウタ(ダメだ。。。もう。。)

ユウタの足が止まった。前に走る二人がどんどん見えなくなる。

ユウタはひざまずき、荒い呼吸で酸素を貪った。

ユウタ(くそっ、なんなんだよ。。)

わずか30分の急な展開がユウタを別世界へ投げ捨てた。

前を走るリョウとサトシの後ろ姿は既に遠くへ消え去っていた。

つづく・43話へ

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