新卒エンジニアのキャリアについて
最近、エンジニア志望の学生さんとお話する機会が多く、キャリアについてよく話すので、改めて自分の考えを簡単に言語化しておきます。
前提
基本的にキャリアはuncontrollableな要素が強く、運や時代の変化に大きく左右されるものです。
実際に自分がエンジニアキャリアをスタートした10年前と比べ、新しい技術のキャッチアップのハードル、ラーニングコストがめちゃめちゃ下がっています。リーチできる情報源も増え、動画でカジュアルに学べたり、ライブラリを組み合わせれば初学者でもいい感じのアプリをシュッと作ることができます。エンジニア志望の学生さんたちも皆、React、Go、Flutterなど様々な技術を覚え、当たり前に開発を経験しています。
そんなわけで、「xx年後にxxなエンジニアになる」みたいな目標を掲げ、そこから逆算する形でアクションプランを定義しても、運や時代の変化に引きずられてそんな思い通りにはいかないだろうと思うのです。
確かキャリアは元々、ラテン語の「車道」みたいなものがそもそもの起源であり、振り返ってみたら後ろにできあがっているものと捉えるぐらいが丁度良いのかもしれません。
今、自分が新卒エンジニアだったら
では自分が今、新卒に戻れるとしたらどういうキャリア戦略を立てるか。
技術を覚えるハードルが下がっても、基本的にエンジニアが現場でやるべきこととして変わらないのは
技術を使ってプロダクトを作ること
それを通じてユーザーに価値を届け、対価としてお金をもらうということ
です。一旦、OSSフルコミッターみたいなケースは置いておいて、大半は事業に関わることでみなさん給料を得ている (事業への貢献度で成果が決まる)と思います。
つまりエンジニアとして「技術を使ってプロダクトを作れる (価値を届けられる)こと」が非常に重要になります。
特に最初は自分の才能もキャリアも不透明なので、ファーストキャリアとしては「とにかくプロダクト作りの起承転結に関われる環境に身を置くこと」をまず大事にしたいです。起承転結というのはいわゆるフルスタック的に開発ができるというのもそうですし、施策の目的 (Why/What)から理解して生々しいプロダクト作りに関われるといったニュアンスで表現しています。
改めて整理するとこんな感じですかね。
プロダクト作りの起承転結に関われる環境に身を置くこと
事業やプロダクトのWhy/What (なぜ作るか、何を作るか)を常に理解しながら、Howにコミットできる環境
事業と開発の距離が近い環境とも言える
職能的な分割がなく、フルスタックにプロダクト開発に関するリクエスト、課題がバンバン飛んでくる環境
全力で自分がやるべきことに向き合い、成果を出すこと (期待に応えること)
経験を振り返り、ポータブルな学びを得ること
技術の裏に隠れている思想
プロダクト作りにおける生々しい技術意思決定や設計
チームビルディング
リーダーシップ
自身の成果を示すことによって、より大きなリクエストをもらうこと
このサイクルを繰り返してプロダクト作りの全体像を理解し、なるべく大きな技術意思決定権 (信頼残高とも言える)を得る。そして都度、経験を振り返りポータブルな学びを得てレバレッジを効かせていくことが重要です。
こういうサイクルを回していくと、そこから徐々に自身の志向性も見えてくると思います。例えば
もっと人やチームに影響力を発揮したい
特にフロントエンド領域を深掘っていきたい
エンジニアの基礎力を活かして、プロダクトマネージャーを目指したい
など。
どこに進むとしてもプロダクト作りの全体像が見えていることが大きな強みとなるし、キャリアを広げる取っ掛かりになります。
もちろんファーストキャリアから「プロダクトに狭く関わり成果を出す (特定技術の専門性を高める)」という選択肢もあると思いますが、その分、他の評価関数を捨てているというトレードオフを理解するべきだと思います。事業への関わり方がどうしても限定的になったり、専門的な分よりインパクトが求められたりしますからね。
自分がもしエンジニア志望の大学生だったら、そういう選社軸で考えるかなぁ。
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