実践

「やってみて、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」
(山本五十六 1884〜1943)

私は義務教育の9年間の中で、小学校3年生の時が一番楽しかったです。その年の担任の先生の指導方針のようなものが、自分にピッタリと合っていたからです。その先生は、宿題や課題を大量に出す上に、漢字の書き取りが一文字でも間違っていれば再提出というとても厳しい先生でしたが、私にはそのスパルタさが心地よく感じられました。自分のやるべき課題やタスクが明確化されていたからだと思います。それに、その先生は厳しいだけでなく、ノートの使い方なども細かく手本を示してくださいましたし、しっかりやり遂げた後には褒めてもくださりました。この先生との出会いで、私は自主的に学習に臨むようになったと思います。教員として指導する側になった今も、その先生が残してくださった影響は大きいものです。

倫理の学習において、陽明学の「知行合一」という教えを知った時、私はこの考え方を自らの行動指針にしたいと思いました。知識を蓄え、理想を掲げても行動として実践できなければ、ただの頭でっかちであり、行動として実践できて初めてその知識は完成形となるという「知行合一」に感銘を受けました。

思い返せば、私が人生において好調な時というのは、頭で大きなビジョンや理想を描いていたり、過度に行く末を心配したりしている時ではなく、目の前のやるべきことにコツコツと無我夢中に取り組んでいる時です。小学校3年生の時は、毎日欠かさず計算ドリルと百字帳に向き合った結果、身体と心を壊すことなく皆勤者をとることができました。

実践の重要性というものが、指導者としても、自らの生き方としても感じられます。


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