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31.思いかけない川越Work

「それでは、お願いします。」
埼玉県川越市の空き部屋整理作業の依頼が来たのは猛暑が続く今年8月中旬。

青い夢を持って続くはずだった
Japan Dreamの留学生活は、
パンデミックで止まってしまった。

学校春休みで気軽く国へ帰国し、
まさかそれが最後になるとは

ただの個人の不幸というのは
一度だけの青春が悔しい。

海外留学やウォーホール(Working Hoilyday)の経験がある人は分かると思うけど、
母国から離れて
海外で生活する冒険は
大体、人生をかける。

川越で留学生活をされた娘の代わりに
やむを得ず、Japan Lifeを諦め
片付けを依頼されたお母様

昨年春から始まった
聞いたことも見たこともない
こういう新しい仕事

海外ツアーはもちろん、
国際人的交流まで
強制に断切され
いきなり仕事を失った僕が
苦しく悩んで
工夫した末、
たどり着いた道

これで大体、30件ぐらいかな…

EMSで鍵が届いて、
不動産管理会社からの
代理人の退去作業と立ち会いを
許可されて
8月下旬から作業は始まる。

マンションに着いて
もう隙間が
まったくない郵便ポストを開けると
見るだけで百通を軽く超える
チラシを含む各種請求書など郵便物
これを確認し、分離するのもかなりの仕事

ゴミ収集どころの確認、
近い郵便局の確認など
周辺環境を調べて
エレベーターに乗る

お部屋へ到着
「それでは、失礼致します。」

約1年半ぶり世の中と再開する
部屋中の古い空気は
トアを開ける途端、
悔しい幽霊みたいに
濃いカビや汚れた匂いを伴って
あっという間に脱出

部屋中
あちこちから聞こえる
沈黙の大騒ぎ
「彼女(家の主人)はどこ?」
「君は誰?」
「一体世の中に何があったの?」
「なんでずっと誰も来なかった?」
「答えろ!説明しろ!」
……

電気も水道も未払いで切れて

換気も出来ず、真夏を過ごしている
部屋は…正に最悪、その通り…

普通には歩けないほどのゴミ屋敷
困ったなあ…これは…
自分なり基準
難易度レバルTOP3(同然悪い方に)に
悩まずに入る。ーー;
(お客様、ごめんないさい...^^;)

それでも仕事は仕事だし
この前特殊掃除(孤独死で亡くなられた方の家掃除)の映像をYoutubeで観てからは
それに比べるとこれは
大したものでもないと
思う事になったのだ。

それでいつもの通り
換気からはじめ
依頼されたお客様の代わりに、
黙々と
精一杯
作業を始める

片付けは一人作業で
暑さと戦いながら
汗いっぱいかく
大変だけど、
自分のフェースでやるので
気楽だ。

電気や水道を延長契約して、
ゴミを分類して
ゴミ山を徐々に無くし、

貴重品やお客様の大事な物を
写真や動画で一々確認させてもらい、
丁寧に包装し
粗大ごみはパートナーの業者さんに
海外に送る荷物は郵便局の訪問集荷してもらい
泊まりながらの仕事は3日で一段落
これは今までの失敗を含む経験で積んだ
ノウハウの結果だ。

海外にいる依頼のお客様の部屋に入り、
直接非対面で行うおこういう作業は
信頼が基づかないと
成り立たない。

空き家の片付けの作業は
苦労だけじゃない。
途中で余裕があれば
その地のぷち一人旅にもなる

昨年京都と別府がそうだったが、
そういう有名な所じゃなくても
小さい町でも
家を離れたら
十分楽しい

そのなりの
魅力の再発見!

川越は「小江戸」というほど
昔からの素晴らしい伝統や遺産を持ち、
まるでタイムマシーンで江戸時代に入る
国内より海外からの観光客で
歩きにくいほど名所でもあった。

仕事で又は、プライベートで
何度も川越を訪ねたが、
感じたのは
「地元経済活性化 VS 地元の住民のストレス」
(京都や鎌倉の様に)のジレンマで
地元の方はかなり悩むかと…

と思うほど盛んだ川越は今
どんな姿をしているのか
見たかった

翌朝の作業二日目
朝早く目を覚めて
疲れた体をやっと
背中を押し

蔵造りの町並みに向かう
とても良い天気というか
朝から暑そう。

新たな日を始まろうとする
人跡もない川越、

パンデミック以後初めて
訪ねて
以前では決して見られなかった
初めて見た
川越の素顔に

まるで夢中を歩いている様に
神秘的な
経験

いつもと違う
川越の素顔

お化粧をする前の
霧を含んだ
綺麗な舞妓さんの
清純な顔の様な、

こんな川越に出会えられる
お客様へ
神様へ

感謝

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