[上陸旅]#9.サッカー見に大使館へ
2006年…
ドイツW杯の熱気はいつより熱かった。
前回、共同で行われた2002日韓W杯の後だったし、両国共に良い成績もあり
期待感はいつより大きかった。
大会期間中、日本語学校でも当然W杯は
話題になった。
そのある日
学校の同じ惑星人中で
皆で集まって大きいスクリーンで
競技を観ながら
皆で応援しようという話を聞き、
2002年の感動を思い出しながら楽しみ…
場所は「大使館」だそう。
ああ、大使館ってこんな事もするんだ。
いいね。
惑星人を一つに団結させるのね。
いよいよ応援当日、
今日のために大事に持っていた
応援Tシャツを着て
熱い胸で家を出る。
大使館がある麻布十番へ向かう地下鉄だが、
何とか変な感じ…
訳わからない不安感…
電車中、又は麻布十番に応援に行く人が
数人ぐらいは見えるはずなのに
自分以外一人もいない…
え?
まさか…
不安な予感は的中!
大使館はもう闇の中で
正門扉は締めていた。
業務時間終了…
え?
今日であっている。
大使館だよね。
大使館でのイベントとして
皆で応援じゃなかったけ?
RRRRRR(携帯電話音)
今日会うつもりのクラスメート仲間中一人。
僕:「もしもし?、おいお前どこにいる?」
仲間:「ダニエル、何で来ないの?」
僕:「お前、何言っているんだ?僕はもう来ているけど誰もいないしまっくらじゃ…」
仲間:「へえ?お前何何言っているのよ!
皆集まっているけど…」
僕:「「大使館」じゃなかった?」
仲間:「そうだけど、お前今どこだ?」
僕:「大使館だけど、お前は?」
仲間:「俺達も大使館だけど」
僕:「うそ、麻布十番駅からここに歩いて来たけど、だれもいないし締めているじゃ!」
(一瞬、電話の相手がショックでも受けたか沈黙が…)
仲間:「まさか…お前本当の「大使館」に行ったの?」
僕:(当惑して)「へえ?大使館が2つもいるの?」
仲間:「新大久保職安通りにある居酒屋「大使館」だよ、お前、冗談でしょう?(大笑い)」
僕:「OMG!」
……
そう…
今は無くなったけど、当時新大久保には
「大使館」という大規模で有名な居酒屋食堂があり、あの店はW杯特殊を迎えて
集客のために大型スクリーンを設置し、
ビールを飲みながら皆で応援するというイベントだった。
この惑星に上陸したばかりで
他惑星生活が初めてだった
当時の僕には
大使館がまさか居酒屋の名前なんて
想像も出来なかった。
今はスマホでいつでも簡単に情報検索が
当然の時代だが、
まだスマホ補給がなかった2006年だから
ありえる話だった。
忘れない笑い話になってしまったけど…
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