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第一章 不思議な外人添乗員の登場

「えっ?あの人は何人?日本人じゃないの?このツアーって大丈夫?」
バス旅に参加されるお客様達の大体の初反応です。
一瞬、朝のバス中には訳分からない緊張感を載せったひんやりとした空気が、左側1列から12列まで、反対側に渡って右側1列まで約3秒ほどでくるっと回って僕のオデコに到達します。


今度は僕の番です。

何とか「アクション」を見せなきゃ。
人生でこんなに注目を浴びたことはあったかしら。

と一瞬考えます。
頭が真っ白で、背中には汗が流れ星の様にひゅっと。
皆の頭上には複数のクエスチョンマークが出てモヤモヤ…
空気は言っています。
「おい、早く謎を説けてくれよ!」
声が振れるほど怖い瞬間でした。


ということでしたが、あるほど慣れて時間が経った今は、

この時間は逆に自分をアピールする武器として活用しています。
まさに楽しみの時間です。


そうです。
僕の仕事はツアーコンダクターです。
正式名称は「旅程管理主任者」いわゆる「添乗員」ともいいます。
外国人でありながら珍しく日本人向けの日本国内ツアーを案内しています。

考えてみると確かに何だかおかしい(?)ですね。

特別なケースだと思います。


本当の問題はその次です。

<続く>

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