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12.内緒にするしかない助け

目の前で転んじゃった少女は

痛そうに泣いていた。

年齢は小2~3年生ぐらいかな…学校から帰り道のようだった。


数年か前、久しぶり国へ帰った秋のある日の午後

母さんが通っているクリニックに車で連れて

母さんを先下して、離れた駐車場に車を止めて

ちょうどクリニックに入るところだった。


平ではない道の

難易度「上」の歩道作り作業をしたせいか

きちんと合わずに、凸凹になっている歩道ブロックで

靴がかかって転んでしまったわけ。

少女の膝には皮がむけて

土で汚れたまま赤い血が出ていた。

転んだまま痛そうに泣いている。

道を通る人も少ないし、

少ない通行人も

誰も助けるようもしない。

「大丈夫?」

と少女に近づいて

世界で一番馬鹿な質問で声かけた。

おい、

大丈夫なわけないだろう。

幸いに

すぐ目の前が薬局だった。

少女を連れて入った。

薬局の従業員もちょうど女性の方。

良かった。

消毒液と塗薬、そして包帯を購入。

事情を説明して自分の代わりに少女に処置を頼んだ。

めんどくさいかもしれないし

自分の仕事でもないのに

こんな勝手な願いに

彼女は笑顔で応じ、やさしく少女の傷を処置してくれた。

少女はやっと落ち着き

泣き止んた。

少女のお母さんに連絡する様にして

ほっとして一人で薬局を出た。


少女の治療に払った薬代も

返してもらうつもりもないので

自分の情報は一切残さす、出た。

普通の誰でも同じにすると思う。

ところが、

知らん顔をして通る人も十分理解できる。

余計(?)に助けて

悪い目的をもった変なおじさん(?)に誤解されて

巻き込まれる事もありえる時代に

変わったからだ。

そういう理由で自分も

ほんの一瞬、悩んだが

自分も幼い頃、交通事故にあった時(本マガジン、「三つの足」編)

知らない誰かに助けられた場面を思い出し、

心からの指示通り応じだ。

面識もない女の子を助ける事って

なかなかの勇気が必要だと、

ある程度の覚悟もした上でと…

正に「変わった時代」だ。

もちろん、同じ場面にあっても同じくすると思うけど、

何とかほろ苦い気分は隠せることが出来なかった。

「おじさん、ありがとう」

それでいい。

僕が助けてもらった思い出を少女に恩返し、

いつか少女も成長して

助けが必要な誰かに役立つ人になれば

それでいい。

それで十分。


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