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大阪個室ビデオ店放火殺人事件公判傍聴記・2010年11月30日(被告人・小川和弘)

2010年11月30日
大阪高裁第一刑事部
201号法廷
事件番号・平成22年(う)第108号
罪名・現住建造物等放火、殺人、殺人未遂
被告人・小川和弘
裁判長・的場純男
裁判官・田中聖浩
裁判官・野口卓志

この事件は、2008年10月に、被告人が自殺目的で個室ビデオ店の自室に放火し、死者16人を出したとされる事件である。捜査の途中から無罪を主張したが、一審では死刑判決が下された。
現在は、日弁連の支援事件となっている。また、再審請求中に、証拠として、別室が火元であるという鑑定結果が提出されている。再審請求結果どうなるのか、注目に値する事件であろう。

12時50分の傍聴券の締め切りまでに、53枚の件に対し、35人が並んだ。
入廷前、荷物預かり検査と、金属探知機によるボディチェックが行われた。
記者席は18席指定され、すべて埋まる。
検察官は、髪を短く刈った眼鏡をかけた中年男性。痩せている。
弁護人は、二人ついていた。痩せた、髪を七三分けにした、眼鏡をかけた初老の男性。もう一人は、髪の短い小太りの中年男性。
関係者席、おそらくは遺族席が、十数席指定されていた。これも、すべて埋まる。
開廷前、ビデオカメラによる二分間の撮影が行われた。
的場裁判官は、四角い顔の中年男性であった。裁判官は、髪を七三分けにした痩せた眼鏡をかけた男性と、柔らかそうな髪の痩せた中年男性。
被告人である小川和弘は、13時32分になってからようやく入廷した。予定では、13時30分に開廷のはずであった。
小川は、スキンヘッドに近い丸坊主にしていた。報道写真では顎の肉がだぶついていたが、今見ると、顎に肉はついていない。平凡な印象を与える中年男性だ。しいて言えば、どちらかと言えば真面目で、大人しそうである。黒い長袖の上下を身に着けている。一礼し、被告席に座る。
裁判長『立って』
小川は、立ち上がった。
裁判長『名前は』
被告人『小川和弘と言います』
訛りのある言葉だった。
裁判長『生年月日はいつ』
被告人『昭和36年11月11日です』
裁判長『仕事はありますか』
被告人『無職です』
裁判長『一審では、住所不定。現在もそうでしょうか』
被告人『はい』
裁判長『本籍は』
被告人『大阪府・・・大阪府東大阪市(略)です』
裁判長『現住建造物等放火、殺人、殺人未遂の控訴審の審理を行います。しばらく、弁護人の席の方に戻ってください』
被告人『すみません、ありがとうございます』
裁判長の方に礼をし、被告席へと戻る。ふらりとした感じの足取りだった。
裁判長『弁護人の控訴趣意書、控訴趣意補充書提出した。控訴趣意、大きく分けて、事実誤認、訴訟手続きの法令違反という柱があり、事実誤認として、被告人の無罪。訴訟手続きの法令違反としては3つあり、被告人の供述の任意性なし、公開原則、被告人の取り調べ状況DVD調べについて公開原則に違反していること、3点目として、K証人の調書について、刑事訴訟法違反と。あとは、弁護人から口頭で要約すると』
弁護人『はい』

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