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横浜中国人姉妹殺害事件公判傍聴記・2022年4月19日(被告人:岩嵜竜也)

2022年4月19日
東京高裁第10刑事部
805号法廷
事件番号:令和3年(う)第1647号
罪名:住居侵入、殺人、死体遺棄
被告人:岩嵜竜也
裁判長:細田啓介
右陪席裁判官:佐藤卓生
左陪席裁判官:駒田秀和
書記官:高田繭子

13時40分には、法廷前に7人が並んでいた。傍聴人は最終的に20人となり、満席。法廷に入れない人もいた。
バーと傍聴席の間に、プラスチック製の板が立てられている。
記者席は一席指定されていたが、外にも記者らしき人が来ていた。
弁護人は、微妙に白髪交じりの中年男性。
検察官は、サラリーマン風の髪を固めた中年男性。
被害者参加代理人の弁護士は、痩せた短髪の中年男性。検察官の隣に座る。検察官と二人で、小声で何か話している。また、双方、頭を下げていた。
被告人は、長めの丸坊主である。色白であり、中肉中背の中年男性。黒縁眼鏡をかけている。ノーネクタイの黒いスーツ姿。白いワイシャツであり、ジャケットの前を開けている。青いサンダルを履いている。座ってから、ちらちらと傍聴席の方を見ている。
裁判長は、髪を短く刈った眼鏡をかけた痩せた初老の男性。裁判官は、左陪席は七三分けの眼鏡をかけた中年男性。右陪席は、髪を短く刈った眼鏡をかけた中年男性。
14時より、岩嵜竜也被告人の第二次控訴審判決公判は、開廷した。

裁判長『開廷します。正面に』
被告人は、証言台の前に立つ。
裁判長『控訴審判決を言い渡します』

主文:本件控訴を棄却する。未決拘留日数中、170日をその刑に参入する。

被告人は、身じろぎせず、反応を見せなかった。かねてより、覚悟はできていたのか。
裁判長『座ってください』
被告人は、証言台の椅子に座る。

理由
AとBの住居に侵入し、AとBを殺害し、山林に死体を遺棄した。
弁護人は、法令適用の違反を主張するが、採用できない。
訴訟手続きの法令違反について。破棄判決の拘束力は、否定的効力のみ及ぶ。本件差戻前、否定的、量刑について。それのみに拘束力及ぶ。犯人性については及ばない。原審の訴訟指揮は違法である、というのが、主張である。しかし、違反はない。
差し戻し前、量刑判断不合理であるとして、破棄している。誤認ないという判断部分、不相当なところはない。原審の打ち合わせを含めても、法令違反はない。
量刑不当についての判断。控訴趣意は、原判決、以下の点で誤っていると主張する。
量刑の前提となる事実認定について誤っている。Aが就寝中ということを示す証拠はない。激高した可能性がある。Bを待ち伏せしていたことを示す証拠はない。突発的に殺害した可能性がある。頸部を5分間圧迫し続けるの、凶器を用いるのと同等に危険、と評したのは誤っている。被告人の身長についての証拠はなく、体力についての証拠はなく、この点悪質とすべきではない。A殺害を計画的としたのは誤り。Aを驚かせるためのパーティーグッズとして購入した。死体遺棄も計画性ない。絞頸という殺害方法、確定的、殺意強固と認定している。凶器使用より不利に扱われるのであり、誤っている。被害者から偽装結婚を頼まれショックを受けており、酌量の余地はある。死体遺棄の態様、特段犯情は悪くない。死者への畏敬の念、全く感じられないというの、相当ではない。検索システムの活用、誤っている。被害者二名の事件で有期懲役となった事例はたくさんある。裁判員裁判以前の多数の裁判例を無視している。被害者との濃厚な人間関係あった。動機や経緯に酌むべき事情あった。
裁判所としては、量刑評価の事実認定に、不合理なところ認められない。事実認定の誤りについて、関係証拠によれば、Aが帰宅してから外出していない。被告人は「まだ寝ないの」とLINEを複数回送信している。3時18分頃、部屋に入った時、自ら鍵を開けている。就寝中と承知して侵入し、抵抗できないAを殺害した。原判決の評価、誤っているとは言えない。2時38分ごろにBとやりとりし、5時まで仕事があると返信を受けていた。突発的に殺害したという主張は、採用できない。
危険性についての主張も、採用できない。5分程度、頸部圧迫を続けた。危険な態様であり、認定相当。Aは身長152センチ、Bは身長153センチと認められ、体格、被告人はそれを上回る。不合理とは言えない。
総合的に評価すれば、凶器用いなかった事例のみ、参考にすべきではない。
第三の主張、採用できない。注射器、ロープ、補修テープ犯行に用いていない。場当たり的と言える面がある。計画性否定されない。Aへのメッセージは、体調を気遣ったとは思えない。驚かせるためにマスクをつけたとも思えない。
死体遺棄の計画性は認めがたい。
それぞれ5分の間、頸部圧迫を続けており、計画性、殺意の強さ、認められる。
Aは偽装結婚を求めるなどし、被告人は不満を抱いた。しかし、Aに落ち度ないとした原判決は相当。B殺害については、発覚を防ぐため以外、さしたる意味はない。
死者への敬意感じさせない。特段悪質、という意味であれば、賛同できない。しかし、指摘は判決に影響を与えない。
反省の念がないということは、ことさら不利に考慮されていない。第八の主張にも相当性を欠く。
殺人既遂二件と検索するのは、相当ではない。処断刑のほか、主要な罪ないものを参照すべき。裁判員裁判以降の判決を、検索対象としたのは相当である。
親族間殺人のような人間関係、酌量は、考えられない。
無期懲役に処したのは、重すぎて不当ではない。
控訴に理由はなく、棄却する。未決拘留日数中170日をその刑に参入する。
訴訟費用は負担させない。

裁判長『以上です。不服あるなら、上告できる』
被告人は、頷いた。
裁判長『14日以内に、上告できる』
被告人は、頷く。
裁判長『申立書を作って、提出すること。言渡し、終わります』

14時22分に、言渡しは終わり、閉廷した。
被告人は、身じろぎせず、言渡しを聞いていた。弁護人の方を向きながら、退廷した。


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