米国株、ダウ反落し361ドル安 中国景気懸念や米金融株安が重荷 ナスダックは反落

米国株、ダウ反落し361ドル安 中国景気懸念や米金融株安が重荷 ナスダックは反落

米国・欧州株概況

2023年8月16日 5:33



【NQNニューヨーク=戸部実華】15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比361ドル24セント(1.0%)安の3万4946ドル39セントで終えた。中国景気の減速懸念が強まったうえ、米金融セクターを取り巻く不透明感が米株相場全体の重荷となった。米長期金利の上昇も株式の相対的な割高感につながり、幅広い銘柄に売りが出た。

15日発表の中国の7月の工業生産高などの経済指標が軒並み市場予想を下回った。同日には中国人民銀行(中央銀行)が期間1年の中期貸出制度(MLF)金利を引き下げた。中国の不動産大手の経営不安も浮上しており、同国経済の先行き不透明感が高まった。

中国など海外の売上高比率が高い銘柄が売られやすく、ダウ平均の構成銘柄では化学のダウが3%安、工業製品・事務用品のスリーエム(3M)が2%安となった。中国の原油需要が伸び悩むとの観測から米原油先物相場が下落。原油安が業績の逆風になるとみて、石油のシェブロンと建機のキャタピラーも下げが目立った。

米金融株が軒並み売られたことも、投資家心理を悪化させた。格付け会社フィッチ・レーティングスが大手米銀を含む70行以上を格下げする可能性があると米CNBCが15日に報じた。銀行の経営環境の厳しさが改めて意識され、JPモルガン・チェースゴールドマン・サックスが安かった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、バンク・オブ・アメリカシティグループなどが売られた。地銀も下げ、地銀株で構成する上場投資信託(ETF)「SPDR S&P地銀ETF」は3%安となった。

米長期金利の指標である10年債利回りが一時前日比0.08%高い(債券価格は安い)4.27%と昨年10月以来の高水準を付けた。朝方発表の7月の米小売売上高は前月比0.7%増とダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.4%増)を上回った。市場では「良いニュースは(米追加利上げ観測を強める)悪いニュースとして受け止められる局面だ」(LPLファイナンシャルのクインシー・クロスビー氏)との声も聞かれた。

ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は15日、インフレは依然として高水準との認識を示し「(利上げが)終わったとはまだ言えない」と話したと伝わった。金融引き締めの長期化観測も株売りにつながった。

一方、朝方発表した5~7月期決算が市場予想を上回ったホームセンターのホーム・デポは買われた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反落し、前日比157.284ポイント(1.1%)安の1万3631.047で終えた。電気自動車のテスラは3%、ネット通販のアマゾン・ドット・コムは2%下げた。交流サイトのメタプラットフォームズやネット検索のアルファベットも安い。半面、複数のアナリストが目標株価を引き上げた画像処理半導体のエヌビディアは上昇した。

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