米国株、ダウ9日続伸し163ドル高 決算を好感した買いが支え ナスダックは反落

米国株、ダウ9日続伸し163ドル高 決算を好感した買いが支え ナスダックは反落

米国・欧州株概況

2023年7月21日 5:31



【NQNニューヨーク=戸部実華】20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は9日続伸し、前日比163ドル97セント(0.5%)高の3万5225ドル18セントで終えた。2022年3月以来の高値を更新した。9日続伸は2017年9月以来の長さとなる。市場予想を上回る四半期決算を発表した銘柄を中心に買いが入り、ダウ平均を押し上げた。

医薬・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は6%高で終えた。20日に発表した2023年4~6月期決算が市場予想を上回ったうえ、12月期通期の業績見通しを引き上げた。IT(情報技術)のIBMは2%上昇した。19日夕に発表した四半期決算で1株利益が市場予想以上だった。前日の決算発表とあわせて経営陣が事業環境に改善の兆しがあるとの見方を示した金融のゴールドマン・サックスは3%高となった。20日に決算を発表した保険のトラベラーズも高い。

前週発表の米物価指数が軒並み市場予想を下回ったことを受け、米国の景気後退を避けながらインフレが落ち着く方向にあるとの楽観も引き続き市場心理を支えた。これまで今年の相場をけん引してきた主力ハイテク株と比べ、出遅れ感があった銘柄に買いが入りやすくなっている。航空機のボーイングや機械のハネウェル・インターナショナルといった景気敏感株のほか、製薬のメルクや飲料のコカ・コーラなどディフェンシブ株も高かった。

一方、主力ハイテク株には売りが広がった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、前日夕に発表した決算で売上高が市場予想に届かなかった動画配信のネットフリックスは8%安となった。電気自動車のテスラは前日夕に市場予想を上回る増収増益決算を発表したが、利益率の低下が嫌気され、10%ほど下げた。

これまで上昇が目立っていた主力株には「期待値に届かない決算を発表すれば利益確定売りが出やすい」(Bライリーのアート・ホーガン氏)との見方があった。他のハイテク株に売りが波及し、ダウ平均の構成銘柄ではソフトウエアのマイクロソフトやスマートフォンのアップルが下げた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに反落し、前日比294.711ポイント(2.1%)安の1万4063.307で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムやネット検索のアルファベットなど主力株が軒並み売られた。エヌビディアアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体株も下げが目立った。半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)が20日に決算発表とあわせて示した23年12月期通期の売上高見通しを引き下げ、半導体関連銘柄の重荷となった。

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