WHO’S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT👑👑 FIGHT WEEK ー坂晃典選手

■OPBF東洋太平洋 Sフェザー級タイトルマッチ12R
坂 晃典（仲里）
VS
波田 大和（帝拳）

坂 晃典ってどんなひと？

★OPBF東洋太平洋S.フェザー級王者、WBC世界S.フェザー級31位、WBOアジアパシフィックS.フェザー級15位

所属ジム：仲里
生年月：1992年2月(32歳)
出身地：大阪府岸和田市
スタンス：オーソドックス(右構え)
身長：169cm
プロデビュー：2012年3月
アマ戦績：42戦31勝11敗
プロ戦績：30戦23勝(20KO)7敗

気持ちは常に挑戦者。
会長の故郷・沖縄でのスパーリング合宿を経た
今回の試合はどうなる？

ー今回の試合、現在お持ちのタイトルの初防衛戦となりますが、どんな気持ちでお過ごしですか？

僕が形式上チャンピオンですし、周りからもそう思われているんですが、そういうことよりも、1選手として1人間として、強くなるための試合だと思っています。常に挑戦者の気持ちです。

ー沖縄合宿に行っていたと伺いました。どんなトレーニングをされてたんですか？

スパーリングをしてきました。ずっと一緒にやってきた会長の生まれの地でもう一度練習して、気持ちを新たに入れ直したいと思って行きました。会長も一緒に。

與座 ディシャーンJr選手がスパーリング相手になってくれて、サウスポー対策になりました。僕より年下の選手ですが上手でしたね、練習になりました。

ーディシャーン選手は大学リーグでもずっと勝っていた選手だったと記憶しています！続いて、今回の波田大和選手はどんな印象ですか？

帝拳ジムでキャリアを積んできた選手でしっかり王道でボクシングをしているんだなという印象です。原優奈選手との試合の動画は少しだけですが、観ています。

ーそんな波田選手にどう攻略して勝つイメージですか？

あんまり対策はしていないんですよね。自然とかみ合う選手だと思っています。基本の徹底をして、地力をつける練習をしています。

ーちなみに、前回の試合は2月でしたが、その試合はどういうお気持ちで挑まれましたか？

あの試合は昨年の12月31日に他の選手と試合する予定のものが延期して実施されたので、「ここはなんとしても」という思いが強かったです。とにかく勝ちたい、という気持ちでしたね。

ー今回の波田選手もKO勝率が高いのですが、坂選手もKO勝率が高いですよね。KOするときってどんな感じなんですか？

最近のレフェリーは止めるのが早くなってきましたよね。どう止めてもらえるか、どう見せるかを考えています。スコン、と当たってKOというよりは、有利な展開になってきたとき、ダメージをどこまで負わせればいいのか、という見方でTKO狙いで考えています。

LIFE TIME BOXING FIGHTS 19[OPBF] 2024年2月16日(金)
OPBF東洋太平洋Sフェザー級 王座決定12回戦 VS.鯉渕 健(横浜光)
出典：ボクシングモバイル

人生の転機①父の急逝。
本気で取り組み始めたボクシング

僕は中学2年生からボクシングを始めたんですが、中学3年生の時に父親が過労死で亡くなりました。ボクシングを辞めるか辞めないか、と続けるか迷いました。というもの、両親が離婚して僕は父親に付いていって、その後亡くなったので、精神的に追い詰められました。お金に困るとか仕事をするしないとかを考えたわけではないんですが、ボクシングをどういうつもりでやるのか、悩みました。「遊びなのか？遊びならそこまでしてやるものなのか？」というふうに考えてました。で、本気でやると決めて、ボクシングとのスタンスが明確になりました。

今思えば、金銭的にも追い詰められていたと思いますけど…。
これはあんまり言ったらあかんねやろうけど、強制的に自立させられた出来事で、まともな人間になったとも思えています。

ー大変だったことをお話いただき、本当にありがとうございます。インタビュアーの個人的な感想ですが、ポジティブに捉えられているのは坂選手がしっかり成長されている証拠なのではないかと思います。

高校生頃のお写真。
出典：ご本人Instagram

人生の転機②
大学2回生でプロ転向。「見とけよ」

人生の転機の2つ目は大学2回生の頃にプロになったことですね。父のことがあってから、母の元で暮らすようになりました。アマチュアでタイトルを獲得したことがなく、お母さんからは「日本一になれないのにプロに行って何がしたいん？」と言われました。「アマチュアとプロって色々違うから」と反論したい気持ちがあったのですが、「ほんまそうやな」と母の言葉に言い返せなかったんです。核心をついていますし。でも、俺は違うし、プロでやりたいという気持ちがあって。「見とけよ」と思いました。反骨心ですね。

ー浪速高校を経て関西大学にスポーツ推薦でご入学されてますよね。どうしてまた途中でプロに？

高校時代は、大学卒業後は就職するのかなとぼんやり思っていて、勉強を頑張らないといけない経済学部に入学しました。大学は頑張って卒業しました。
プロになろうと思ったのは端的に言うと、部活の雰囲気が合わなかったと当時は感じたからですね。

オフシーズンに強くなるために練習をやってたんです。で、先輩がそこに来て、「オフなのになんで練習してんの？」と言った先輩がいました。そこで僕は「あと2年もしたらボクシングできへんねんで？」という感覚だったんでやりたかったんです。

覚悟を決めてやっていたボクシングで、あと数年したらボクシングをできなくなる、という感覚があって。ボクシングは精神的な支えになっていたので、どこか軽んじられたような気持ちでした。

今思えば先輩は「オフにしっかり休まないと回復できないぞ」という意味だったのかなとも思いますが。その時は「こういう人がどうせ大学卒業して、ボクシングやりたいなあ、とか言い出すんやろうな」と思ってました（笑）

ーご同期には寺地拳四朗選手（B.M.B）がいらっしゃいますよね？

同級生で一緒に練習していました。昔から練習を頑張ってましたよ。昼ごはんとかも一緒に食べてましたし、今でもたまに連絡を取り合います。

新王者の拳四朗と坂晃典、母校の関西大学で対談 2017年6月9日
出典：BOXING NEWS

人生の転機③「試合を通して喝を入れられた」2014年の大沢戦

プロ転向してから勝ち星を重ねて、新人王の全日本決勝で伊藤雅雪さんに負けました。その後は杉田聖さんに勝ったり、B級トーナメントに出たり、良いモチベーションでやってきました。

帝拳ジムの濱名潤さんに負けたところから、ボクシングに対する情熱が薄れていたというか…。ちゃんとしないと、向き合わないと、という気持ちがあったんですが、整理がつかなくて。

その後、大沢宏晋さんと試合をしました。スパーリングなどで直接交流がありました。大沢さんには負けて、両目眼窩底骨折をやってしまって。試合を通して喝を入れられた気持ちでした。「なんとかしないと。この程度では上に行けない」と思わせられました。

ーそこからどういう風に変わっていったんですか？ぜひ詳しく聞きたいです。

変えるべきは、メンタルだと思ったんですよね。そこで学んだのは、ボクシングは工夫やテクニックじゃなくて、精神性。「そこなんや」と改めて教えてもらった。今でも考えています。

具体的には「逃げない」ということ。ボクシングの練習はみんなしていて、当たり前。それで得られることはあるようでない気がしていました。それ以外で、どれだけ人間的に強いか、大きいのか、という部分で変わってくると最近よく思います。マインドを変えてもらいましたね。

風間ボクシング 2014年5月3日(土)フェザー級10回戦 VS 大沢 宏晋(大星)
出典：ボクシングモバイル

同級生は寺地拳四朗選手。
坂選手との違いは自我の強さ？
「僕の悩みは僕が解決する」

ー先ほども少しお話に上がりましたが、寺地拳四朗選手から何か影響を受けてますか？

最初はうらやむ気持ちがありました。でも逆にああいう評価になるまで時間がかかりましたよね。「ええな」と思うけど、「あんだけやってたらそこまでいくやろ？評価されるの遅ない？」とも思いますね。

ーた、確かに…。拳四朗選手とは似ている点はありますか？

似てないですね。違うタイプです。拳四朗は素直な選手なイメージです。僕はもっとひねくれてます（笑）僕は自分がやりたいこと、間違ってないと思うこと以外はやらないですし、頭にも入ってこないんです。でも拳四朗は人の言うことも聞けるし、それをちゃんと実践しています。
なにかのインタビューか読んだのか、一緒にインタビューを受けていた時に聞いたのか忘れたのですが、「加藤トレーナー（三迫）にラジコン持って動かしてもらっているような感じなんですよー」って言ってたんです。
僕にはない感覚ですね。自分が大好きなので（笑）、自分の感覚が一番だと思ってます。

ー冒頭、自分が強くなるために、そのために練習しているというお話があったので、坂選手は自分の人間的な成長のためにボクシングをされてらっしゃるのかなと思いました。その目的であれば全く問題ないですよね。

あーでもそれ言われて思ったんですけど、「なんで本を読むのか」っていう読書の意義にも通じると思っていて、俺らが考えていること/感じていることは過去の人たちがすでに経験していて、その問題解決を学べるから本を読むんだと思うんです。あと、年を取っている人の話を聞くのも本を読むのと一緒で、その方が早く次の問題に向かっていけるからだと思います。

それでも僕は自分の感覚を大切にしたいんですよね。早く成長するためには読書や他の人に話を聞くって大事だと思うんですけど…。でも僕は僕以上になれないから、僕の悩みは僕が解決する。
多感な時期に父親が亡くなっているので、自分でなんとか解決しないと、という局面が多かったから今に至るんですかね。

「物差しは自分の中にある」
人と比べず更なる高みへ。

ー憧れのボクサーは赤井英和さんと記載がありました。浪速高校の大先輩ですよね？

そうですね。赤井先輩に憧れてます。
すごいと思われる人はそれなりにみんなすごいなと思っていて、いろんな選手を調べるのが好きです。

ーそうなんですか。最近はどんな選手を調べましたか？

最近はロベルト・デゥランの伝記を読んでいます。偉大なボクサーを知るのは楽しいですね。他の競技の選手だと、イチローが好きなんです。イチロー選手の言葉は、鋭く斜めから切っていて、響いていくるんですよね。「人より頑張ることはできない」っていう言葉があるんですけど、どういうこと？ってなるじゃないですか。この言葉の意味は「人より頑張るんじゃなくて、昨日の自分よりちょっとがんばる。その積み重ねでしか、すごいところにいけない」という意味で。野球も人と戦うスポーツですが、物差しは自分の中にある。人と比べてもどうしようもないですよね。

「人より頑張るなんてとてもできない」イチロー選手が振り返った、28年間の野球人生
出典：ハフィントンポスト

試合前の息抜きは、試合に対する不安や問題を自分の中で解決すること

息抜きは何か違うことをするよりも、試合に対する不安や問題を自分の中で解決することが一番ですね。
特に長い距離をロードワークしているときに解決しやすいです。整理して瞑想状態に近いですし、マインドフルネスを意識してやることもあります。

ランニングをする坂選手
出典：ご本人Instagram

田んぼ道をロードワーク中に野菜の差し入れも？地元・岸和田の住民はみんな情に厚い。

ー地元の好きなところはありますか？

みんな情に厚い人間が多いところですね。
ボクシングの王者と言ったら、「応援するわ」と言ってもらって、マルシェでの大きな買い物を全て奢ってくれました。初めて会った方だったのですが、男気がありました。その場限りですが、それはよく印象に残ってますね。商店街をロードワークしていたりすると、ちょいちょい差し入れをもらうんですよ。正直その時いただいてもちょっと困っています（笑）本当に有難いですけどね。

たまに田舎のたんぼ道も走ったりします。音楽を聞いて走っていたら、おばあちゃんがなすびやトマトなどの野菜をたくさんくださいました（笑）嬉しいんですが、ロードは半分くらい残ってたので残りはビニール袋を持って走っていました（笑）

ご地元で営まれる焼肉牛王岸和田店のお肉
出典：ご本人Instagram

ー人情の街ですね（笑）素敵です！何かと学ぶことが多いインタビューでした。本日はありがとうございました！

WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE BOXING vol.17
6月1日 17:20 配信開始
https://video.unext.jp/live/LIV0000005411

配信前の詳細はこちら
https://video.unext.jp/livedetail/LIV0000005411

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