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【疑問】疾患や状況に応じたアドレナリンの具体的な使用方法は?

今回は、臨床や医学の勉強をしていて感じる疑問の一つ、

疾患や状況に応じたアドレナリンの具体的な使用方法は?

についてまとめました。

アドレナリンは救急の現場で重要な役割を担っている一方、その強力な作用ゆえに実際に使用するとなると、研修医や若手医師にとっては少し勇気がいると思います。

自信をもって使用できるよう、今回の記事で復習していただけると幸いです。

1.ポイント

●アドレナリンは使用する場面は限られる。
相対されるシチュエーションを意識して、適切な投与方法を覚えておく

【投与法まとめ】
詳細は3.具体的使用方法をチェック

●心肺停止
1回1mg(1ml)静注 ※骨髄内投与も同様

●アナフィラキシー
大腿外側広筋 0.3-0.5mg 筋注

●閉塞性気道疾患
1mg/ml(1000倍) 皮下注
成人:0.1-0.5mg
小児:0.01mg/kg

●ショック
0.01-0.5μg/kg/min 静注
イノバン0.3%シリンジ、5ml/hrで開始すると覚える!(50kgの時)

2.薬理作用

・心臓のβ1アドレナリン受容体に作用
⇒洞結節での陽性変時作用により心拍数増加&陽性変力作用により心筋収縮力増大
⇒心拍出量・心筋酸素消費量・心仕事量増大

・心静止を洞調律に復する可能性あり

・VFでは細動波の振幅増大させ、除細動が容易となる

・αアドレナリン作用により大動脈拡張期圧を上昇させることで冠動脈還流圧が上昇する為、結果として冠動脈は拡張させ、末梢血管は収縮させるので血圧は上昇させる
⇒自己心拍再開に重要な薬物であり、全ての心停止に対し使用される。

※ショックの場合、心筋の酸素需要を増加させてしまうため成人への使用は制限する。特に冠動脈疾患がある場合は注意

3.具体的使用方法

●心肺停止
1回1mg(1ml)を静注する。
静脈路が末梢であれば20mlの生理食塩液などで後押し静注し、必要であれば3~5分毎に繰り返す。
※骨髄内投与も同様

●アナフィラキシー
大腿外側広筋 0.3-0.5mg 筋注
効果が乏しければ5-15分おきに再投与を検討
2度投与して効果が乏しければ、グルカゴン投与検討

●閉塞性気道疾患
1mg/ml(1000倍) 皮下注
成人:0.1-0.5mgを20-30分で繰り返す
小児:0.01mg/kg
小児のクループや咽頭浮腫にはラセミ体アドレナリンの吸入(0.05mg/kg, 生理食塩水3ml中に最大0.5mg)

●ショック
0.01-0.5μg/kg/min
・具体的には0.05μg/kg/minから開始して効果を確認しつつ調整する。
初療で焦っているときは、イノバン0.3%シリンジ、5ml/hrで開始すると覚える!(50kgの時)
・小児の輸液に反応しないcold shockの患者の2nd choice(1stはドパミン)

4.参考ページ・医学ノート

アナフィラキシーの際のアドレナリン投与はなぜ大腿外側なのか?
https://dancing-doctor.com/2020/05/09/anaphylaxis-2/

5.引用文献

Allergy. 2014 Aug;69(8):1026-45. doi: 10.1111/all.12437. Epub 2014 Jun 9.
Anaphylaxis: guidelines from the European Academy of Allergy and Clinical Immunology.
Muraro A他
Ann Allergy Asthma Immunol. 2014 Dec;113(6):599-608. doi: 10.1016/j.anai.2014.10.007.
Emergency department diagnosis and treatment of anaphylaxis: a practice parameter.
Campbell RL
FCCSプロバイダーマニュアル第3版

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