人形

おさないわたしは
人形だった
そうとはしらずに
とじこめられた
自我のなかで
わたしは
ひとり
自由だった
うちがわの
宇宙に
与えられた
色彩があって
それだけが
すべてだった
なにも
見えなかったのか
見なかったのか
なぜ叱られるのか
それは
わたしが
人形だからで
わたしが
わたしだからだと
かんちがいして
それで
わたしは
ことあるごとに
みずから
心を閉ざしてしまう
宇宙がちいさくなってしまう
うちがわで
えらんだ
よいことと
わるいことは
宇宙のそとでは
しぼんでしまう
ひとは
こわい
そとがわは
いまでも
人形で
うちがわは
いまでも
ひとり
にんげんだ

2024.01.30

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