慎ましやかに

溺れる心で見た夢は
どぎつい夕日に染まる部屋と
叶わない願いと
鏡の中の本当の姿を
開かない眼で見る夢だった

心が溺れはじめたのは
もう何年も前
溺れているとわかっているのに
水面へ浮かぶ術さえわからず
その苦しみを忘れた頃から
大切な何かを失った気がする

本当の感謝とは
「なんにもない」
から生まれる気がするのだ
しいんとしたところの、
底の方から湧き上がってくる何か
それを感じることだと思うのだ

ここにいることに
歓びを感じるとき
心は生まれたときと同じ
すきまのない、
優しさが溢れる世界にいられる

だからもう、これ以上
欲することをやめよう
意識的にモノやコトを少なくしておこう
本当に大切なものは何か
心に問い続けることだけ
それだけを大切にしたい
そうすれば、与えることだって
できるようになる
たとえ他のすべてを失ったとしても
それだけで、生きていける
それだけで、幸せでいられる


2023.03.12

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