なんのために

子もおらず
この世に残すものもない
わたしは
生きるために
生きている
この世の
哀しく
淋しい
よろこびを
笑うために
泣くために
吸い込むために
吐き出すために
それは育つのか
きっと育ちはしない
わたしの微笑みも
涙も
息も
鼓動も
熱く
流れ続ける血も
すべて
わたしとともに
老いて
朽ちるものだから
何も残さないのなら
今に
追いつくためだけに
間に合わなくなった
身体が
土に落ちるまで
飛んでいるのか
落ちているのか
わからないけれど
わたしは
わたしのために
生きている
何かを残すために
生きるのだとしても
それでも
何かが育つなら
それをいつか
よろこべる日がくるかもしれない

2024.06.23

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