言い訳

世の中には
あたまのいい人と
そうでない人がいる
わたしはそうでない方の人間
あたまのいい人の
かんがえかたや
もののみかたを目の当たりにすると
自分にはとうていできない
そう思って
すこしなさけなくなって
自分がばかに思えて
胸がきゅっとなる
同時に
わたしはやさしい人に恵まれて
許されてきたんだと
申し訳ない気持ちになる
許されなかったことも
たくさんあったけれど
わたしは何かを始めるとき
まず、はじめ
できないって思うんだ
その癖に気づいたのは最近のこと
できないって思うから
あせって
気が動転して
もっとできなくなってしまう
かんがえてみれば
ほんとうに好きなことは
できるとかできないとか
はじめからどうでもよかった
ただ楽しいからやる
その繰り返し
楽しければ
困難も乗り越える
その術を
自分で見つけだす
というか
乗り越えるまであきらめないから
いつのまにか乗り越えている
できるできないの計算は
自信のなさと
失敗のおそれから
自分をまもるために
やる前からあきらめるために
自分に言い訳するために
でも
あきらめている自分も
人間らしくて嫌いじゃなかった
そんなものだ、とつぶやく
ちいさな世界を
愛していた
甘い
どれだけ叩かれても
甘さがのこる
その甘さを守りながら
そのぶん他者を許しながら
それでも
真摯に
他者を無意識にでも
傷つけないようにと
気をつけても
傷つけてしまう
いま、わたしは
知らないことだらけ
あたりまえのことをあたりまえにやる
それがずっとできなくて
できるひとがうらやましかったりするけれど
とにかく、もう
できないって思うのは
やめにしよう
たまには
思ってもいいけどね
世の中には
あたまのいい人と
そうでない人がいる
そう
思ってた
でも、それも
やらない言い訳だった

2023.11.08

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