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#現代詩

ちかごろ
猫で泣く
野良が
雨に打たれて
助けを求めている話
死んだ飼い猫が
お盆に飼い主の元へ
帰ってくる話
電車の中だろうが
人前だろうが
涙が
胸の奥の方から
目頭へと込み上げる

猫の一途さ
健気さ
無邪気さが
あまりに愛おしくて
あまりに切なくて
猫は哀しい
可愛いだけじゃない
哀しくて
哀しくて
そして
人間も
哀しい
猫だったら
どうだろか

2024.08.11

永遠

あのころ、永遠は
すぐそこにあった
手を伸ばせば

時間に区切られた
生活に慣らされて
わたしはいつも
数えている
あと何日
あと何時間
あと何分
いまこの時よりも
タイムリミットが気になって

あのころ、手を伸ばせば
触れられた
永遠は
この世界の真実の姿
わたしはちょっと前に生まれて
やがてちょっとして死ぬ
けれどその背後に
大きな永遠という流れがあって
それは変わらないんだ

そういうことは

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心の花

あのひとの言葉が
わたしの中で花ひらく
そして根を張って
散ってもなお
わたしとともに生きていく
心の種を
生む人でありたい
誰かの心で咲く花を
わたしの心で咲く花を
育てられる人でありたい

2024.07.30

絵手紙

わたしの手元に
つかのま訪れた
見知らぬひとの
絵手紙集
一月三日の
書き初めからはじまり
四季折々の
あるがままの自然と
あるがままに生きることの
ちいさく
きよらかな
開眼
言葉があってよかった
人があってよかった
自然があってよかった
なにものをも否定せず
時に悩み
時にめげながら
光をもとめ
喜びを感じる
そんな一生のすばらしさ
言葉は生きている
わたしの知らないところで
みんなの知らない

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自由

誰もが生まれ持った自由を
ほんとうに生きるための自由を
どうして手放さなければならないのかと
抗うことが若さなら
なんの抵抗もなく
手放せることが大人になることなら
わたしは子どものままがいい
誰にも依存せず
自分の頭で考え
嫌なことには嫌だと言い
嬉しい時には思い切り笑う
こころは子どものままがいい
大人たちは目に見えないたくさんのきまりに縛られて
何にも縛られない子どもたちが理解できない
いつ

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詩/ひとみ

なにが見えているんだろう
なにが見えていたんだろう

わたしたちが手に入れたものは
わたしたちがつくった世界で
必要なものばかり

わたしたちがつくらなくても
はじめからあった世界には
必要のないものばかり

あのころ見ていた世界に必要なものは
ぜんぶ生まれながらに持っていた
けれどいつしか忘れてしまった

世界とおなじ
きらきらのひとみ
それをうしなうことが
生きることだろうか
うしなわないこと

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ふたり

あなたとわたしの
重ならない過去
あなたが、いま
教えてくれる
好きだった音楽
好きだった映画
好きだったテレビ
好きだった人や物
わたしのしらない
あなただけの人生
あなたと出会って
同じときを過ごすうち
一緒に聴いた音楽
一緒に観た映画
一緒に観たテレビ
一緒に見た人や物
あなたとわたし
重なってゆく
それでも届かない
あなたの過去に
手を伸ばす
そのしゅんかん
あなたという存在を
その輪郭と

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猛暑

今年の夏は異常に暑い
まだ七月なのに
痛い直射日光
防ぎようのない紫外線
息ができないほどの熱風
ほんの少し外に出ただけで噴き出る汗
まだ七月なら
扇風機で過ごせた今は昔
なんでもできると信じ込んでいる人間は
平気で
これからも生きられると信じて
今日も仕事へ行き
いつもの日常を繰り返す
しかし確実に今わたしたちは
滅びの道を歩んでいる
自然の前に
神の前に
人間は無力だ
そのことを知っていたなら

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詩/課題

ネットやSNSには
出来合いの答えが溢れてる
コンビニ弁当を食べるように
他人の答えを喰らう
AかBか
白か黒か
マルかバツか
生き方にも答えがあるようで
誰かに否定されたら
いいねがつかなかったら
それは間違いのようで

だけど
答えのない
この感情
矛盾
迷い
それらひっくるめて
わたしなんじゃないか
生きるって
わかんないことだ
結論づけないこと
それこそが成長だ

ネットやSNSは
今も疑

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詩/正しさ

何が正しいとか
何が正しくないとか
言い出すと
なんだかおかしくなる

正しいからするのではないし
正しくないからしないのでもない
自分は正しいと信じることは
時に必要だけれど
信じすぎては盲目的になってしまう

正しいことをするのではなくて
信じることをするだけ
自分を信じるのではなくて
神様を信じる
人が信じられなくても

正しさはある
けれど
今は見えないもの
それほどに
難しいもの

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憂い

優しいという字は
憂いを抱えて生きること
だからこそ
他者の憂いに
寄り添うことができるのだ
憂いのない人生なんて
まがいもので
幸せだけで生きることなど
人の世では不可能だ
正しい眼を持っているからこそ
憂いが生まれるのだから
本当の幸せとは
この世ぜんたいに憂いが無くなってはじめて
現れるのだから
そのために生きること
それを忘れてはいけないのだと思う

2024.07.10

信じること

相手を思い遣っているような言動をしていても
いざとなったら平気で傷つけてくる人もいるし
ぶっきらぼうで言葉を選ばない人が
決して人を傷つけないこともある
難しいけれど
何も考えないことだ
自分の勘を信じることだ
そしてもうひとつ
人を疑うこと
簡単に信じないこと
辛いけれど
賢くなること
あなたが誰かを心から信じるということは
それほど貴重で
それほど価値があることなのだ
誰にでも易々と
差し出し

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詩/プライド

大人になると共にプライドを作って
気づけばプライドと共に生きている
傷つくのもプライドゆえだし
怒るのもプライドから
けれど笑うのはプライドのためじゃない
それはプライドを忘れるときだ
誇りは払うもの
払って生まれるのが誇りだ
歳をとって
握りしめていたものを
手放すことができたなら
きっと
人生はなんて豊かだったのだろうと気づくだろう
もっと早く
手放していれば
美しかったのにと
きっと
思うだ

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詩/自然に

いい子にならなくていいよ
感情をむき出しにしていいよ
感情を抑えて
頭の中でひとりモヤモヤして
辛くなるくらいなら
ひとりで「むかつく!」って
怒ればいいよ
そしたらその後で
自分にも間違いがあると自然とわかるから
「ああ、誤解してたな」とか
「わたしがいけなかったな」って思えたら
ひとつ成長した証
自然にまかせて
生きやすくしていこう

2024.06.28