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#ポエム

かつて生きたひとがいる
彼らをみまもった土がある
土を踏み
彼らは
空をみた
海をみた
山をみた
その心に
かなしみがあった
その瞳に
明日がうつった
よろこびを夢みた
そのとき
彼らは花になった
空に咲き
海に咲き
山に咲く
土に根をはっては
風のように
居場所を変えて
彼らが踏んだ土は
彼らをみまもり
明日のよろこびを
孤独に夢見ている

2024.10.17

峙(sowa)

峙(sowa)

すくっと立っていたい
聳える山のように
佇む木のように
はじめて吸いこんだくうきは
瑞々しくて
まあたらしかった
山は
木は
いつも
空を
みている
いつも
はじめてのくうきを
呼吸している
わたしも
いつまでも
まっさらでいたい
わたしを
わたしが追いかけてくるとき
逃げずに
山に
なりたい
木に
なりたい
おもいわずらう
人の間に
胸いっぱいの
深呼吸
そこに山があるかぎり
木があるかぎり

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出逢い

出逢いがうつくしいのは
忘れないからだとおもう
あなたを忘れない
あなたがわたしにとって
いつまでもうつくしくあるために
たとえあなたがわたしを忘れても
けれどもし
あなたがわたしを
忘れないでいてくれたなら
わたしのなかのあなたは
もっともっとうつくしいから
だからわたしは
そのうつくしさを
わすれない
十年後も
二十年後も
たましいが空にかえっても
この世にひとのうつくしさが
生きつづけるため

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たいせつにする

たいせつにする

たいせつにするって
どういうことだろう
どうせこうおもってるんだろう
どうせうまくいかないだろう
なんておもうことは
あきらめだろうか
あきらめは
たいせつにしていないことだろうか
あきらめててばなすことは
たいせつにしていないことだろうか
あきらめてほうりなげることは
たいせつにしていないことだろうか
わたしじゃないもの
ゆだねるしかないもの
あきらめるしかないもの
あきらめられたら
わたしはど

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きれいなものだけみればいい

きれいなものだけみればいい

こころがささくれだって
思っていないような
怒りや文句が沸くときは
きれいなものだけみればいい
そう自分に言い聞かす
いらいらしたら
あ、いけない
もやもや思考にブレーキをかけて
わるくみえたものやひとの
きれいなところに目を向ける
そうすると不思議
心がすーっとかるくなって
つぎからつぎに
きれいなものが見えはじめる
きれいなものだけを見て
生きていこう
きれいな呼吸をして
今日を迎えよう
朝ご

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生きていた

それでも
生きているなと
感じられる
この世は
素晴らしいところだった
そうじゃないか
あなたも
わたしも
生きているのだ
その血
その鼓動
その眼
ほとけさんは
きれいきれいだ
生きているあいだは
神さんがいるから
安心しなさい
文句を言わず
ニコニコしていられるように
勤めなさい
でもあんまり屈託がないと
神さんが欲しがるから
たまにはわがままも言いなさい
生まれたとき
土を駆けるだけで
生き

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あなたと月が見たかった
月の綺麗な日は
あなたと一緒に
見ようと思うのだけど
いつもおしゃべりに夢中になって
翌朝になって思い出す
あなたと月が見たかった
ふと、あなたがソフトクリームを
食べたいと言って
二人で夜のマクドナルドへ
バイクを降りたら
月が大きくまんまるで
「綺麗やね」
二人で見た
やっと見れたのに
もうすぐはなれて暮らすんだね
願いが叶って
ひとつの終わりを告げる
食べたかった月見

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だれかのしあわせ

だれかのしあわせを
もっともっと
喜べるひとになりたい
だれかのしあわせを
こころから喜べないとき
そこにはじぶんという
ものさしだけがあって
つまらない
ものさしだけがあって
じぶんに返ってくるから
人にやさしくするというような
あさましさがあって
じぶんにはいっさい
利益のない
むしろじぶんがすこし
不幸になっても
だれかのしあわせを
どこまでも喜べるように
もっともっと
喜べるように
じぶん

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ひとりでは

ひとりでは
生きていけないと
おもったけれど
ひとりで
生きてきたから
あなたを
大切にできた
きっとあなたも
ひとりで生きてきたのね
いつでも
あなたをおもう
ひといきついたわたしを
待ちかねたように
連絡がくるとき
もう少ししたら
電話するとか
もう寝たかなとか
連絡がなくて
あなたが
きっと汗を流しているときも
落ち込んでいるときも
わたしの知らないところで
ひとり
生きていること

ひとり

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永遠

通り過ぎた過去の
思い出の密度は
いつも
通り過ぎてから
大きくなる
わたしが愛したあなた
あなたが愛したわたし
ふたりの距離が
限りなく近かった
そんなことが
涙がでるほど
いとおしい
失ってはいけないと
しっていた
けれど
わかってはいなかったのだ
永遠に続くなら
それでよかった
けれど
ふたりがどれだけ近くにいても
重力で塞がれた出口からは
どこへもいけない気がして
永遠とは
あなただと思っ

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語る

静かになりたくて本を読む
静かでありたくて書く
けれどそれを出すことで
水面に波紋がひろがる
よくも
わるくも
本当に静かでいたければ
書いても出さないことだ
ひとりでただ
書きつづけることだ
人に読まれるということは
関わるということだ
話すということだ
話さないことは
できないだろう
けれど話すときは
言葉少なに
小さく
とりとめのないことを
語っていたい

2024.08.29

なんでもない一日の終わりに

かみさまの光は
すべてのひとにふりそそぐ
けれど幸運は
うつわがなければ
こぼれ落ちていく
どんよくに
すこしでも
つかみとろうとするひとほど
すこしの不運を堪えられず
わたしは
与えられた幸運さえ
一歩さがって
おずおずと
受け取りそこねる
そんなひとに
かみさまが
住んでいる気がして
なにか
いいことがあっても
喜びすぎない
過剰にもとめない
喜びのうらにある
せかいの哀しみに
自覚的であるこ

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信じること

揉まれていないひとの言葉は
信用しない
そこには「我が」という気持ちが
多分に含まれていて
「あなたが」という
自分の背を少し低くして
それでいて誇らしく立つような
そんな視点が見当たらない
なぜ、そうなったのか
耳を澄ますこともなく

はじめは誰だって
遠慮する
思いやりがあるようなそぶりを
見せる人もいるだろう
よく知らないのに
一方的に距離を縮めてくるひともいる
人を批判することで
偉くなっ

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言葉と土

そのままで
なんと美しいことだろう
変わらないことの中に
変わることがあって
わたしたちは
どんなに変わろうとしても
変わらないのだ
着飾らない
肩肘を張らない
そんな言葉が
どんなに有名な人の名言よりも
どんなに権威のある人の演説よりも
どんなに売れる本の一節よりも
光っている
その光をもとめて
わたしは生まれてきた
言葉は売れると
輝きをうしなう
わたしだけの言葉は
あなただけの言葉は
あえか

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