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大寒 第七十二候 鶏始乳

今日は節分。二十四節気 大寒の末候、1月30日にはじまった「鶏始乳」である「にわとりはじめてとやにつく」も今日2月3日でおしまい。つまりは、明日から新たに立春を迎え、季節は春となります。

そんな季節のあるいは、旧暦の新年という節目を迎え、チェンマイは1月31日の夜には、以前よりは控えめとはいえ、それでも賑やかな爆竹と花火が鳴って春節を迎えましたが、でも大寒もいよいよ大詰めなのですよ?とでも言うように、朝の気温は更に下がって9度、8.5度とこの寒季になって初めて10度を割り込みました。

それでも、七十二候は「にわとりはじめてとやにつく」とは、つまり卵を産み始める頃。(今では無精卵が一年中手に入るようになってしまいましたが)あたりに命の気配が満ちて張る(つまり春)予兆がある頃。

チェンマイも日の入りは少し遅くなったのを実感できるようになっていたところへ、更に冬至の後もなお、遅くなり続けていた夜明けもまた少しずつ早くなりはじめました。
おかげで朝は寒くとも、太陽の空にある位置が少しずつ高くなるおかげで強くなりつつある日ざしに、昼前は春の気候、午後には初夏、夕方は秋、そして夜から明け方にかけては冬と、まるで1日に四季が入っているよう。
服も朝はセーターにストールで出かけて、午後にはそれを脱いでブラウスか何か薄着にならなくてはならず、毎日どんな風に装うか悩んでしまいます。
けれど日のあるうちの、春から初夏めくお天気は爽やかで心地よく、温帯生まれの身はあの駘蕩とした「春」の感覚でいっぱいになってきてしまいます。

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そんな気分に誘われてセーターを脱いで庭へ出て、日本の5月のような風の匂いをかいでいると、鶏ではありませんが、インドカッコウやムネアカゴシキドリたちが次の世代を生み出すために恋の歌が聞こえてきます。
マンゴーは水のように儚くうす甘い香りの花を咲かせ、ライチも木がクリーム色に見えるほどたくさんの小さな象牙色の花に覆われて、そこには何種類ものミツバチたちが蜜を求めて群がり、その羽音は木が歌っているようです。小花はミツバチの体重で間断なく静かな雨音のような音をたてて地面に散り、それらのさまざまな幽けき音や香りのゆったりと、そしてどこか喜びに満ちた気配を感じていると、「春だね。」「春だよ?」と、誰に言うでもなく、つぶやいてみたくなります。

昨日の午後は、そんなふわふわした気分にぴったりの彩雲が現れました。
今日は節分。夜はお年取り。そして明日は立春です。

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