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「自分とは違う人をお互いに尊重しながら、エネルギーあふれる表現の場をつくる」 ダンサンブル主宰・藤平真梨インタビュー(後編)

ダンサンブル主宰・藤平真梨のダンス、そしてダンサンブルへの想いに迫る、ダンサンブル初(!)インタビュー。前編では藤平のダンスとの出会いやダンサンブルを始めたきっかけについて紐解きました。

後編となる今回は、ダンサンブルの課題として考えていること、そして活動のテーマである「多様性」について語ります。

たとえダサくても踊れてしまう人生と、踊れない人生と二択だったら……やっぱり踊れる人生の方が楽しい

インタビュー前編の最後で、「ダンサンブルのインスタ見ると面白そうだけど、参加するのはちょっと怖い」と言われてしまったことがあると話しました。
怖いって、色々あると思うのですが……。

まず、投稿の写真や動画、その大爆笑して踊ってる大人たちが映ってるのは、単純に「わけがわからない」。
……入るの怖いですよね!!笑  なんだ. ここ!みたいな!
色んな方が踊りを通して自分を開放している絵ってのは、ちょっと怪しげな空気を醸し出しちゃうんだな〜とも思います。

それからダンスを経験した事のない方にとっては、人の前で踊るって、ものすごく恥ずかしくて怖いことなんじゃないでしょうか。
上手く踊れないし、なんか自信ないし、人に見せるなんてもってのほか……

でも本当は、上手く踊る必要なんて全然ないんです。
誰がうまく踊るのがダンスなんて教えたんだ〜!
学校の先生なのか〜〜でてこい〜!怒 

いや、昔の私にも言ってあげたかった!!笑

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▲青空ダンス広場の様子。緊急事態宣言が出る前も、参加者の皆さんが安心し、思い切り踊れるよう工夫していました

実は、ダンスってどう身体を動かしてもいいんです。
これ、子供に教えると 「え?そうなの?」 っとすぐ勝手に踊れるようになるのですが、大人の方はやっぱり時間がかかります。

でも人生の中で、たとえダサくても踊れてしまう人生と、踊れない人生と二択だったら……やっぱり踊れる人生の方が楽しいなと思うし、鎧もプライドもするっと捨てられて、生きやすいかな、と!笑

という感じで、とにかく色んな人に、踊りたいように踊ることを体験してもらいたいと思っています。
なので、怖がっている人も 「気付いたら踊ってしまっていた……!」 みたいな楽しい仕掛けをつくっていきたいですね!

多様さが活きる “生物” の表現でエネルギーの循環を生み出したい

ダンサンブルのテーマの一つは「多様性」。
壮大なテーマなのでまだ私も迷いながら向き合っています。

「多様性にあふれた社会を作ろう!多様性を大事にしよう!」 と言うのは簡単ですが、本当の意味で多様性を認めてそのような社会を実現するのは、大変なこと、壁も多いと思います。
小さなコミュニティーの中でも、多様性を重んじてひとつのことを進めて行くのは、達成までに時間もかかります。衝突もあります。

悲しいことですが、大きいコミュニティーであればあるほど、何も意見のない、個性のない、同じロボットのような人を扱う方が、何かを動かしていく時にスピードとしては早く、多様性が排除されてしまうことも多いかと思います。これは舞台創りでも、社会でも同じ側面があるのではないでしょうか。

ダンサンブルに置き換えて考えます。

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▲第1回ダンサンブル自主公演の様子。個性豊かな表現が爆発しました(笑)
(写真:松本和幸)

ダンサンブルではプロのダンサー、ダンスを初めて踊る方、という多様性だけでなく、職業、身体性、集まれる時間帯、そして何よりも一人一人が歩んできた歴史、個性、バラバラです。

その一人一人の個性を紐解いていきながら、物理的にも可能なスケジュールで、こんなシーンを作っていこう、こんなダンスもアリかもしれない、と皆さんの意見と共に舞台を作っていきます。

様々な色の絵具を混ぜ合わせたり、パズルのように組み合わせたり、時間のかかることですが、プロのダンサーだけを集めただけではできない、それぞれの日常に根付いたパワーのあるシーンができてきます。

そして何よりも……生き生きとした生物(なまもの)の舞台が出来上がります。

上演後に多くのアンケートを読んで、 「観にきて下さったお客さんも “生物” のエネルギーをもらって元気になる方もいらっしゃったんだな」 と教えられました。
これは、とてもとてもいい循環です。

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▲第1回自主公演・カーテンコールの様子。あたたかい拍手に包まれました

一筋縄ではいかない、異なる個性の共存

舞台作りの途中、色んな意見もでます。そして、舞台作り以外のところで 「ちょっとこの人とは合わない」 「この人が苦手だった」 もちろんあったかと思います。だけど今の時点では大変な問題にはなっていません。

そこにはダンサンブル に参加して下さっている方が「他の人の個性を認めたい」をいう共通の意識があり、もしどうしても分かり合えなくても「その人は、その人」として存在をきちんと認めながら舞台に向けて、共存していたのではと、思います。

主宰としての私も、皆さんをまとめて舞台をつくっていく時、「一人一人に命があり、一人一人大切な人生を過ごしている」という当たり前のことを忘れないように、だけど物事を前に進めるために時にはルールを決め、 私一人ではでききれないことは誰かにお願いして役割分担してもらったり、そうして本番を迎えます。
めちゃくちゃ迷いまくっています。

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▲第1回自主公演の出演者は20代から50代まで、ダンス歴も職業もバラバラでした
(写真:松本和幸)

うまく言えませんが、本当の意味で多様性のある舞台を創り上げるには、主宰の私だけが頑張っててもできないことがあるんです。参加者全員の意識、そして、何よりも皆さんが何かひとつのことに向けて希望をもって楽しんで取り組んでいく姿勢が、舞台創りを支えているんだと思います。

社会ではもっと複雑かと思います。
だけど、この舞台で取り組んでいることは必ず多様性を認める社会に役立つヒントがあると思って、壁に当たりながらも一つ一つ向き合っていこうとしています。

こんなこと書くと 「ダンサンブルの舞台に参加するの、怖い!むずかしそう!」 と思われたらどうしよう!!!!笑

改めて考えたのでこんな堅苦しくなっちゃいましたが、多分、参加して下さっている皆さんも、私も、大して深いことは考えずに、楽しいから、いいもの作りたいから、みんなをできるだけ尊重したいから、成り立っている多様性のある舞台なのだと思います。

色んな方がお互いの存在を認めて生きていける
そんな寛容な社会が、ゆっくりと時間をかけて作られていくと素敵ですよね。

最後に…

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ダンサンブル Dancensemble の語源は、ダンス+アンサンブル(Dance + Ensemble)。色んな楽器が一曲を奏でるように、色々なカラダで、舞台を創ったり、場を作っていきたい。そんな気持ちでつけました。
そして偶然にも!フランス語では 「一緒に踊ろう〜」 という意味らしい。

ますます色んな方が「踊っちゃった〜!」を体験して楽しい人生を送っていってくださったら嬉しいです ♪


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https://note.com/embed/notes/nb1f4f7bc922a

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